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デジコン編集部 2025.6.3

岡山市の荒木組がウェアラブルデバイス活用による熱中症対策を本格導入。体調変化見える化で従業員の熱中症ゼロ目指す

総合建設業の荒木組(岡山市)は6月3日、従業員の熱中症ゼロを目指した独自施策として、体調変化を見える化する仕組みを導入したと発表した。

全国的に熱中症による労働災害が増加する中、2025年6月1日より施行される改正労働安全衛生規則に対応するとともに、法令義務化を超えた独自の健康管理施策を展開する。

ウェアラブルウォッチSmartfitで心拍数や熱ストレスをリアルタイムモニタリング。遠隔からの体調変化確認で早期異常検知と自己判断補助を実現


改正労働安全衛生規則では、WBGT28度以上又は気温31度以上の環境下で連続1時間以上又は1日4時間を超えて実施が見込まれる作業について、熱中症対策が義務化された。

WBGT値は人体と外気との熱のやりとりに着目した指標で、湿度、日射・輻射など周辺の熱環境、気温の3つを取り入れた指標となっている。

義務化される対策には、早期発見のための体制整備として連絡先・報告ルールの明示と周知、重症化防止のための手順作成として作業中止や冷却、水分補給などの明文化、関係作業員への周知徹底として手順・ルールの共有と連絡体制の確保が含まれており、これらには罰則が設けられている。

荒木組ではこれまでも独自の熱中症対策のルール「熱中症対策11箇条」を制定し運用してきた実績がある。具体的な取り組みとして、屋外作業場所近くへの日陰テントとミストファンや扇風機等の設置、経口補水液や塩タブレットの常備などを実施していた背景がある。


今回新たに導入したウェアラブルデバイス「Smartfit」は、作業員の心拍数や熱ストレスなどをリアルタイムでモニタリングできるウェアラブルウォッチとして機能する。

現場作業中の社員や協力会社社員の体調変化を遠隔からも確認でき、早期の異常検知や自己判断の補助に活用できる仕組みとなっている。

熱中症は気温や環境条件だけでなく、個々の体調によってリスクが大きく異なることに着目した荒木組の取り組みは、制度で求められる対応に加えて、より実効性のある予防策として期待される。

法令で義務化されていない独自の健康管理施策として、建設業界における熱中症対策の先進事例となる可能性が高い。




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デジコン編集部

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