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デジコン編集部 2025.5.9

セレンディクス。世界初の3Dプリンター駅舎をJR初島駅に建設完了。深夜2時間で躯体組み上げを実現

セレンディクスとJR西日本グループは共同で、JR紀勢本線「初島駅」において世界初となる3Dプリンター技術を用いた駅舎の建設を3月26日に完了した。

終電から始発までの6時間で基礎から躯体まで建設。通常工事より工期を90%以上短縮し夜間工事の課題を解決


建設用3Dプリンターによる初の駅舎建設として注目を集める本プロジェクトは、老朽化した木造駅舎の建て替えを目的としている。

1948年に竣工した現在の初島駅は無人駅となっており、老朽化に伴う保守コストや維持管理の効率化が課題となっていた。

鉄道施設に隣接する建物の建設工事は、安全面から列車の走っていない夜間に限定されるため、通常の建設工事より工期が長期化する傾向がある。

鉄筋コンクリート造駅舎の場合、屋根や壁など躯体の設置に1~2ヶ月を要するのが一般的だ。

セレンディクスは2022年3月にファーストモデル「serendix10」を作業延べ23時間で完成させ、その後3Dプリンターによる建設技術の開発と実用化に取り組んできた。

2024年5月にはJR西日本グループと資本業務提携を締結し、鉄道施設への技術応用を進めてきた経緯がある。

今回のプロジェクトでは、最終列車から始発までの「6時間」で躯体工事を完了することを目標に設定した。




駅舎の部材は熊本県水俣市の協力工場(立尾電設)にて、建設用3Dプリンターを使い専用の特殊モルタルをロボットアームの先のノズルから吐出して出力した。

プリンターで出力したパーツは、その後内部に鉄筋とコンクリートを流し込み一体化させ、強度を向上させている。

製造にかかった日数は7日間で、完成した合計4つのパーツはトラックで現地に輸送された。

施工当日は、3月25日午後11時57分の最終列車出発後に作業を開始した。


駅前ロータリーにパーツを積んだ合計4台のトラックを順番に入れ、荷台からパーツをクレーン車で吊り上げ、直接建築場所に設置していった。

作業はスムーズに進行し、約2時間で組み上げ工程を完了した。

2時間のうち約45分はトラックの入れ替え時間であったため、正味1時間15分程度の作業時間だった。

その後、運搬用金具の取り外しや固定作業などを経て、26日午前5時には作業を終了し、終電から始発までに予定していた全ての工程を終えることができた。

完成した駅舎は、JR西日本にて外構や内装、改札機設置のための電気工事などを実施し、7月頃に供用開始を予定している。




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デジコン編集部

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