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デジコン編集部 2025.3.12

茨城県境町が下水管内のドローン調査を実施。有毒ガスや流入水のある危険区域も安全に点検

茨城県境町は2025年3月3日、町内の下水道管渠内部において閉鎖環境点検ドローンを活用した有償調査を実施した。株式会社ACSLに業務を委託して行われたこの調査は、上下水道管等インフラの老朽化に伴う事故防止を目的としている。

防塵・防水機能を備えた専用ドローン「Air Slider Fi4」でリアルタイム映像確認、作業員の危険回避と点検効率化を実現


下水道管の点検は従来、有毒ガスの発生や雨水の流入等により作業員の進入が困難な箇所が存在し、安全面での課題を抱えていた。

今回使用された点検ドローンは、閉鎖環境を安定して飛行できる特性を持ち、これまで人が立ち入るのが危険だった区域においても安全に調査を行うことが可能となる。


調査で使用されたドローン「Air Slider Fi4」は、株式会社ACSLが株式会社NJSと共同で開発した機体である。

このドローンは管路などの閉鎖環境を安定して飛行することができる特殊設計で、IP55の防塵・防水性を備えているのが特徴となっている。

専用アプリを搭載したスマートコントローラーで管内をリアルタイムに確認しながら操作でき、管のひび割れ等の劣化による不具合を高精細に撮影することが可能だ。

ドローンを開発したACSL社は、下水道管点検における労働力不足や人手で管内点検を実施する危険性に着目し、ドローンによる点検作業の代替を目指して研究開発に取り組んできた企業である。



同社は産業分野における既存業務の省人化・無人化を実現するため、国産の産業用ドローンの開発を行っており、特に画像処理・AIのエッジコンピューティング技術を搭載した自律制御技術に強みを持っている。

同社の産業用ドローンは既にインフラ点検や郵便・物流、防災などの様々な分野で採用されている。

境町がこうした先端技術を活用した下水道点検を導入したのは、急速に進む上下水道インフラの老朽化という全国的な課題に対応するためだ。

高度経済成長期に整備された下水道設備は多くが更新時期を迎えており、限られた予算と人員で効率的に点検・管理を行う必要性が高まっている。





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