コラム・特集
航空宇宙系エンジニアとGISスペシャリストが立ち上げた「ScanX」 ー 圧倒的スピード感で、業界の課題を解決できる理由 ー 【後編】
2020年9月に、月額制で3D点群データをクラウド上で高精度に解析できる「スキャン・エックスクラウド」をリリースした注目のスタートアップ「株式会社ScanX(スキャン・エックス)」。
この後編では、会社としての強みや今後のビジョンについて、引き続き、CEO兼エンジニアである宮谷 聡氏に話をうかがった。
—— 「スキャン・エックスクラウド」は、どんなシーンで使われることが多いのですか?
宮谷氏 夏場によく使われたのが、スピードが求められる災害復旧関連です。2020年の7月にあった九州豪雨の際も、土砂崩れが起きた現場の3D点群データ解析を「スキャン・エックスクラウド」で行いました。
土砂崩れの現場は約100箇所と数が多い上、画像だけでは道路や地面などが木に隠れて被害状況が細かくわかりません。こういう時も、フィルタリング機能やクラウドが便利で、データ上から木の部分を簡単に除いてどこがどれだけ崩れているかを確認でき、すぐに消防署・警察署・役所の方などに状況を共有できます。
だから、「被害が大きいこのエリアから対応しよう」「この道路は片道が通れるように直そう」などの復旧計画をスピーディーに立てられるんです。
——客観的にみる会社としての強みについて教えてください。
宮谷氏 ScanXがお客様に支持される大きな理由は、「スピード感」にあると思います。日本では完璧にしてからソフトウェアをリリースする会社が多いですが、当社ではバグがあってもまずはベータ版で出して、お客様からフィードバックをいただき、改善していく開発サイクルを取り入れています。
また、当社では私も含めたエンジニア陣が、可能な限りお客様から相談やフィードバックを直に受けています。お客様とエンジニアの間に多くの人が入って伝言ゲームのようになることもなく、直接話しながら「これは実装できる、できない」「これは研究開発でいけそう」とわかり、速攻で開発に反映できるので早いですね。
——その早さは現場としても嬉しいですね。
宮谷氏 「スキャン・エックスクラウド」は開発から約半年でリリースし、さらにその後も数ヶ月の間に建設現場のリクエストを取り入れて、様々な機能を実装しています。本来ならリクエストから実装まで2年かかるのを数ヶ月で行っているスピード感なんです。
——宮谷さんをはじめ、建設業界の門外漢の人たちが集まっていることで良い点はありますか?
宮谷氏 私たちは建設業界出身ではないので、既存の概念にはとらわれません。「航空業界ならこうしていたな」と考えて開発に取入れることもあります。
あとは、直販していることですね。建設業界ではソフトウェアなどは代理店販売が基本ですが、代理店経由では価格が高くなり、ユーザーの生の声も届かないというデメリットがあるので、当社では直接自社サイトで無料体験から利用できるようにしています。
——今、会社として力を入れていることはありますか?
宮谷氏 「スキャン・エックスクラウド」は海外にも展開していて、今、どんどん宣伝しているフェーズです。アメリカやマレーシア、オーストラリアなどにはすでにお客様もいらっしゃいます。当社には様々な国籍のメンバーが集まっていて海外在住のスタッフも多いので、その強みを生かしていきたいですね。
あと、日本本社では私が開発もカスタマーサポートも兼任していますが、お客様が増えて人手が足りなさすぎで(笑)。日本語と英語が話せるスタッフや、英語が話せなくても一緒に建設業界をテクノロジーで良くしたい方を絶賛募集中です。日本も海外も両軸で手がけられるので、グローバルなスタートアップで働きたい人はぜひ来てほしいですね。
——最後に、これからScanXとして建設業界にどうコミットしていきたいか教えてください。
宮谷氏 これまでもこれからも、私たちがやっていくのは、現場の方の声から課題を見つけて技術力で解決することを繰り返していくのみです。i-Construction 大賞受賞者など、全国にコアなユーザーの方が多いので、みんながコミットしてScanXを育てていただいている感覚もありますね。
「スキャン・エックスクラウド」はニーズが高いBIM/CIM化なども研究していますし、新しいプロダクトのアイデアもたくさんあります。例えばマネジメント関連から見積もり関連までもっと便利に変えられる部分は多いと思うので、開発に力を入れていきたいですね。
◎ ScanX 【前編】の記事はこちら
【編集後記】
ScanXのCEOとしてエンジニアとして、取材中ずっと熱がこもった口調で語ってくれた宮谷氏。「スキャン・エックスクラウド」は今も建設現場の声を取り入れて進化を続けており、高い技術力や経験だけに頼らずに、ユーザー視点に立って開発している点も特徴だろう。全国の建設業者からの信頼も厚く、ユーザー数も右肩上がりで、グローバルなスタートアップとして期待が高まるばかりだ。
スキャン・エックス 株式会社(2022年より新社名ローカスブルー株式会社に):https://scanx.jp/
この後編では、会社としての強みや今後のビジョンについて、引き続き、CEO兼エンジニアである宮谷 聡氏に話をうかがった。
点群データ解析技術が、災害復旧にも貢献
—— 「スキャン・エックスクラウド」は、どんなシーンで使われることが多いのですか?
宮谷氏 夏場によく使われたのが、スピードが求められる災害復旧関連です。2020年の7月にあった九州豪雨の際も、土砂崩れが起きた現場の3D点群データ解析を「スキャン・エックスクラウド」で行いました。
土砂崩れの現場は約100箇所と数が多い上、画像だけでは道路や地面などが木に隠れて被害状況が細かくわかりません。こういう時も、フィルタリング機能やクラウドが便利で、データ上から木の部分を簡単に除いてどこがどれだけ崩れているかを確認でき、すぐに消防署・警察署・役所の方などに状況を共有できます。
だから、「被害が大きいこのエリアから対応しよう」「この道路は片道が通れるように直そう」などの復旧計画をスピーディーに立てられるんです。
数年かかる開発・実装を、数ヶ月で行うスピード感
——客観的にみる会社としての強みについて教えてください。
宮谷氏 ScanXがお客様に支持される大きな理由は、「スピード感」にあると思います。日本では完璧にしてからソフトウェアをリリースする会社が多いですが、当社ではバグがあってもまずはベータ版で出して、お客様からフィードバックをいただき、改善していく開発サイクルを取り入れています。
また、当社では私も含めたエンジニア陣が、可能な限りお客様から相談やフィードバックを直に受けています。お客様とエンジニアの間に多くの人が入って伝言ゲームのようになることもなく、直接話しながら「これは実装できる、できない」「これは研究開発でいけそう」とわかり、速攻で開発に反映できるので早いですね。
——その早さは現場としても嬉しいですね。
宮谷氏 「スキャン・エックスクラウド」は開発から約半年でリリースし、さらにその後も数ヶ月の間に建設現場のリクエストを取り入れて、様々な機能を実装しています。本来ならリクエストから実装まで2年かかるのを数ヶ月で行っているスピード感なんです。
門外漢だからこそ、既存概念や既得権益にはとらわれない
——宮谷さんをはじめ、建設業界の門外漢の人たちが集まっていることで良い点はありますか?
宮谷氏 私たちは建設業界出身ではないので、既存の概念にはとらわれません。「航空業界ならこうしていたな」と考えて開発に取入れることもあります。
あとは、直販していることですね。建設業界ではソフトウェアなどは代理店販売が基本ですが、代理店経由では価格が高くなり、ユーザーの生の声も届かないというデメリットがあるので、当社では直接自社サイトで無料体験から利用できるようにしています。
海外展開やBIM/CIM化、新プロダクトのアイデアも
——今、会社として力を入れていることはありますか?
宮谷氏 「スキャン・エックスクラウド」は海外にも展開していて、今、どんどん宣伝しているフェーズです。アメリカやマレーシア、オーストラリアなどにはすでにお客様もいらっしゃいます。当社には様々な国籍のメンバーが集まっていて海外在住のスタッフも多いので、その強みを生かしていきたいですね。
あと、日本本社では私が開発もカスタマーサポートも兼任していますが、お客様が増えて人手が足りなさすぎで(笑)。日本語と英語が話せるスタッフや、英語が話せなくても一緒に建設業界をテクノロジーで良くしたい方を絶賛募集中です。日本も海外も両軸で手がけられるので、グローバルなスタートアップで働きたい人はぜひ来てほしいですね。
——最後に、これからScanXとして建設業界にどうコミットしていきたいか教えてください。
宮谷氏 これまでもこれからも、私たちがやっていくのは、現場の方の声から課題を見つけて技術力で解決することを繰り返していくのみです。i-Construction 大賞受賞者など、全国にコアなユーザーの方が多いので、みんながコミットしてScanXを育てていただいている感覚もありますね。
「スキャン・エックスクラウド」はニーズが高いBIM/CIM化なども研究していますし、新しいプロダクトのアイデアもたくさんあります。例えばマネジメント関連から見積もり関連までもっと便利に変えられる部分は多いと思うので、開発に力を入れていきたいですね。
◎ ScanX 【前編】の記事はこちら
【編集後記】
ScanXのCEOとしてエンジニアとして、取材中ずっと熱がこもった口調で語ってくれた宮谷氏。「スキャン・エックスクラウド」は今も建設現場の声を取り入れて進化を続けており、高い技術力や経験だけに頼らずに、ユーザー視点に立って開発している点も特徴だろう。全国の建設業者からの信頼も厚く、ユーザー数も右肩上がりで、グローバルなスタートアップとして期待が高まるばかりだ。
スキャン・エックス 株式会社(2022年より新社名ローカスブルー株式会社に):https://scanx.jp/
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いま注目の建設スタートアップ
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