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デジコン編集部 2025.6.9

帆船型ドローンのプロトタイプを共同開発。風車帆でマグヌス効果推進とゼロエミッション航行。エバーブルーテクノロジーズとナブテスコ

エバーブルーテクノロジーズは、ナブテスコと次世代の風力推進システム「風車帆」の実用化・自動航行化を目指す共同研究プロジェクトを発足し、新型風車帆を搭載した帆船型ドローン「AST-201 spec1.4 with Windmill Sail」のプロトタイプを開発したと発表した。

全長1.4m・重量14kgの軽量設計で、風力を利用したゼロエミッション航行により長時間の洋上調査や観測業務に対応し、国際海事機構(IMO)が設定する2050年までのGHG排出量ゼロ目標達成に貢献する。

円筒状風車帆でマグヌス効果推進と発電を同時実現。従来帆比較で小型・高出力・単純構造、小型ドローンから大型タンカーまで応用可能な風力推進技術


国際海事機構(IMO)でも、2050年までにGHG排出量ゼロを目指す国際的な目標を設定しているなど、昨今、船舶の脱炭素化は喫緊の課題となっている。

また燃料費は船舶運用コストの大部分を占めており、省エネかつ高効率な風力推進技術が求められている状況である。

エバーブルーテクノロジーズでは長年、この課題を解決すべく、帆船型ドローンの開発と提供に注力してきた。

その中で、より安定した長時間航行を可能にし、多少の天候不良に負けない小型ドローンの必要性を感じ、研究開発を続けていた。

今回開発された「AST-201 spec1.4 with Windmill Sail」は、全長1.4m・重量14kgの軽量な帆船型ドローンとして設計されている。

この軽量設計により、運搬・設置の容易性と運用コストの削減を同時に実現している。

同機に搭載されるナブテスコが開発中の「風車帆」は、風の力で回転し、マグヌス効果で推進力を生み出す円筒状の風力推進装置である。


マグヌス効果とは、回転する円筒に風が当たることで生じる揚力を利用した推進原理であり、従来の帆船技術とは根本的に異なるアプローチとなっている。

風車帆は、従来の帆と比較して小型・高出力・単純構造という特長を持ち、推進と同時に発電も可能な機構を実現している。

この二重機能により、船舶の推進力確保と電力供給を一つのシステムで賄うことができる。

さらに「AST-201 spec1.4」は、風力を利用したゼロエミッション航行が可能で、長時間の洋上調査や観測業務、再生可能エネルギー自立型システムの研究に理想的なプラットフォームとなっている。

化石燃料を使用しない完全な自然エネルギー航行により、環境負荷ゼロでの海洋調査活動が実現される。

遠隔操作機能に加えて、自動航行技術への今後の対応も予定されている。この自動化により、人的リソースの削減と24時間連続運用が可能となり、海洋調査の効率性と経済性が大幅に向上する。

長時間航行能力により、従来の燃料制約による航行時間の制限が解消される。風力と発電機能の組み合わせにより、理論上は風がある限り無制限の航行が可能となる。

今後の展開として、実海域での試験を通じて風車帆の推進性能・発電能力・自動航行技術の最適化を進める計画である。実際の海洋環境での性能検証により、技術の実用性と信頼性を確立する。

エネルギー自立型海洋ロボティクスとして、自然エネルギーによる長期稼働、災害監視、環境モニタリングなどへの展開が想定されている。これらの用途により、海洋環境保護と災害対策の両面での社会貢献が期待される。




参考・画像元:エバーブルーテクノロジーズプレスリリースより

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デジコン編集部

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