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デジコン編集部 2025.3.6

bestatの3Dデータ処理技術が福島第一原発の廃炉作業に導入。高放射線環境の可視化で作業安全性を向上

3Dデータ処理に特化したbestatは、東京パワーテクノロジー株式会社による福島第一原子力発電所の廃炉作業のために、AI技術を活用した3Dデータ自動生成サービス「3D.Core」を提供開始したと発表した。

独自AIアルゴリズムで撮影データから高速・高精度に3D空間を構築、放射線分布の可視化と作業リスクの事前検知を実現


福島第一原発の廃炉作業では、これまで実装置を配置した模擬現場でのモックアップ訓練や、2D図面による位置把握、テキストマニュアルによる作業手順・安全性確認が行われてきた。

しかし、模擬現場の再現や図面・マニュアルの確認作業には膨大な時間がかかり、作業者の感覚に依存する工程も存在していたため、作業者間の認識共有やノウハウの蓄積が困難な状況だった。


また、建屋内のデジタルツイン環境構築は進められていたものの、撮影から3D再現までに時間を要し、完成時点では現場状況が変化していることも多く、作業状況に合わせたシミュレーション環境の随時更新には課題が多く残されていた。

bestatの「3D.Core」は、特殊機材や専門的な撮影スキルを必要とせず、一般的な撮影データからスピーディに精度の高い3D空間を構築できる点が評価され、今回の導入に至った。


このシステムを活用することで、安全な場所にいながら3D空間での実作業シミュレーションが可能となり、動画や図面からは察知しづらいリスクの発見に寄与することが期待されている。

さらに、作業者の経験や勘に頼るのではなく、3D技術による体系化や作業の標準化を加速させる効果も見込まれている。

今回の検証では、まず福島第一原発の作業空間の一部および放射線量の分布マップを、計測装置により取得した画像と点群データからbestat独自のアルゴリズムで3D化する。

得られた作業空間と高放射線の分布マップを統合し、現地のリアルな状況を再現するとともに、放射線量の高い箇所や分布を3Dで可視化する。

さらに、VR技術を用いてメタバース空間に入り込み検証を行う予定である。

また、作業員・設備を3D化して仮想空間上に配置し、作業場のリスク(転倒や躓きの可能性がある場所、設備配置による作業妨げなど)をシミュレーションすることで、作業関係者間の共通理解向上を図る取り組みも実施される。



参考・画像元:bestat株式会社プレスリリースより
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デジコン編集部

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