コラム・特集
創業76年目にして初の女性所長が誕生!【三和建設(大阪)】の働き方改革とは 〜誰でも、何歳からでも挑戦できる環境を〜
大阪府に拠点を設ける老舗総合建設企業「三和建設株式会社」が、総合メーカーの倉庫兼本社事務所の設計・施工を手掛け、2023年4月に竣工した。
着工は遡ること約1年前。そして、この工事現場の責任者を務めたのが、三和建設創業76年目にして初の女性所長となる中嶋佳子氏だ。
中嶋氏の入社は2018年8月。当時40歳で前職は建材資材メーカーにて施工管理に従事していた。在職中は、30代後半で1級施工管理技士の資格を取得。専門工事会社として建物の部分的な施工に関わっていたとはいえ、「建築一式」での施工管理はまったくの異業種への転職だった。
三和建設から入社5年、毎年、現場プロジェクトに関わり経験を積みながら、今回の工事にて初の所長登用となった。社内には、ロールモデルとなるような人材がいない中の所長職。ただそれでも中嶋氏は「不安はなかった」と話す。
「なぜなら、三和建設はとても信用できる会社だからです。安心できる環境の中、5年間常にベストを尽くし次席として各作業所経験を経て修行させていただいたおかげで、わたしは所長職をやり遂げると確信していました。」と自信をのぞかせて続けた。
建設現場は今でこそ女性の作業員も増えているが、圧倒的に男性が多い業界だ。
総務省の「労働力調査」によると、建設業における近年の女性就業者数の比率は17.7%で、全産業の平均値である51.7%に比べると、建設業で働く女性はとても低い水準を示す。まして、建設現場勤務に従事している女性となれば、さらに少数であることは、容易にイメージが湧くだろう。
2014年、建設業団体5団体と国土交通省が共同で「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を策定し、官民一体で、様々な取組を行っている。三和建設でも、2016年から女性の施工管理職の採用をスタートさせ、2018年に今回のキーマン中嶋氏が入社した。
三和建設では、女性の採用を積極的に推進していくにあたり、社内の制度も見直した。
業界に蔓延る「3K(きつい、汚い、危険)」と揶揄されるイメージ、さらには施工管理職に女性を迎えるにあたって「難しいかもしれない」というアンコンシャス・バイアス(かくれた気づき)に全社で徹底的に向き合った。
ソフト面では女性特有の体調不良による制度改善、ポイント制導入による明確な評価制度を導入。ハード面では女性専用のトイレや更衣室、作業服などのソフト面とハード面双方の整備を行っていった。
責任者を務めた今回の現場の話に戻ろう。中嶋氏がつねに意識していたのが『チームビルディング』。
毎日のように大小の決断を行わなければならない作業所運営の中で、チームビルディングが破綻していると工程遅延、労働災害、品質管理事故に直結してしまう。
「働く仲間同士や協力会社の皆さまとのコミュニケーションを怠らず感謝し、互いに思いやりと尊敬の気持ちを忘れずに接してきました。その積み重ねにおいて日々、仲間同士の力学が合ってくるのを実感しました」と中嶋氏が語るように、建設業は他産業と同様に、年齢や性別に関わらず強い志をもつ多彩な人財が活躍できるという魅力もある。
紆余曲折ありながらも、約1年間のプロジェクトが2023年4月に無事終了した。
竣工の挨拶での中嶋氏の挨拶を紹介してこの記事を締めくくろう。
「この度、作業所長として監理技術者として作業所運営・管理を任せていただき、責任者として難しい判断に頭を悩ませることも多々ありました。」
「しかし、過去に次席として学ばせて頂いた経験を生かし技術者として日々の研鑽を怠らず、追求することを忘れずにひとつひとつの仕事に実直に向き合いました。」
「ちょうど5年前、舞い散る桜を眺めながら“何事を始めるのに遅すぎることなんてない”と前職と全く異なる職種に転職しようと奮い立ちました。40歳を過ぎた自分も成長することができ、同じこの桜の季節に2名の所員やお客さま、協力会社の皆さまのおかげで無事に竣工を迎えたことを大変うれしく思います。」
あらゆる可能性を否定せず、チャレンジする人をサポートする。そんな土壌を耕し続ける、三和建設。中嶋氏の活躍と同社の柔軟な取組みには、業界の未来を明るするヒントが隠されているような気がした。
三和建設株式会社
大阪府大阪市淀川区木川西2丁目2番5号
WEBサイト: https://www.sgc-web.co.jp/
着工は遡ること約1年前。そして、この工事現場の責任者を務めたのが、三和建設創業76年目にして初の女性所長となる中嶋佳子氏だ。
中嶋氏の入社は2018年8月。当時40歳で前職は建材資材メーカーにて施工管理に従事していた。在職中は、30代後半で1級施工管理技士の資格を取得。専門工事会社として建物の部分的な施工に関わっていたとはいえ、「建築一式」での施工管理はまったくの異業種への転職だった。
三和建設から入社5年、毎年、現場プロジェクトに関わり経験を積みながら、今回の工事にて初の所長登用となった。社内には、ロールモデルとなるような人材がいない中の所長職。ただそれでも中嶋氏は「不安はなかった」と話す。
「なぜなら、三和建設はとても信用できる会社だからです。安心できる環境の中、5年間常にベストを尽くし次席として各作業所経験を経て修行させていただいたおかげで、わたしは所長職をやり遂げると確信していました。」と自信をのぞかせて続けた。
建設現場は今でこそ女性の作業員も増えているが、圧倒的に男性が多い業界だ。
総務省の「労働力調査」によると、建設業における近年の女性就業者数の比率は17.7%で、全産業の平均値である51.7%に比べると、建設業で働く女性はとても低い水準を示す。まして、建設現場勤務に従事している女性となれば、さらに少数であることは、容易にイメージが湧くだろう。
2014年、建設業団体5団体と国土交通省が共同で「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を策定し、官民一体で、様々な取組を行っている。三和建設でも、2016年から女性の施工管理職の採用をスタートさせ、2018年に今回のキーマン中嶋氏が入社した。
三和建設では、女性の採用を積極的に推進していくにあたり、社内の制度も見直した。
業界に蔓延る「3K(きつい、汚い、危険)」と揶揄されるイメージ、さらには施工管理職に女性を迎えるにあたって「難しいかもしれない」というアンコンシャス・バイアス(かくれた気づき)に全社で徹底的に向き合った。
ソフト面では女性特有の体調不良による制度改善、ポイント制導入による明確な評価制度を導入。ハード面では女性専用のトイレや更衣室、作業服などのソフト面とハード面双方の整備を行っていった。
責任者を務めた今回の現場の話に戻ろう。中嶋氏がつねに意識していたのが『チームビルディング』。
毎日のように大小の決断を行わなければならない作業所運営の中で、チームビルディングが破綻していると工程遅延、労働災害、品質管理事故に直結してしまう。
「働く仲間同士や協力会社の皆さまとのコミュニケーションを怠らず感謝し、互いに思いやりと尊敬の気持ちを忘れずに接してきました。その積み重ねにおいて日々、仲間同士の力学が合ってくるのを実感しました」と中嶋氏が語るように、建設業は他産業と同様に、年齢や性別に関わらず強い志をもつ多彩な人財が活躍できるという魅力もある。
紆余曲折ありながらも、約1年間のプロジェクトが2023年4月に無事終了した。
竣工の挨拶での中嶋氏の挨拶を紹介してこの記事を締めくくろう。
「この度、作業所長として監理技術者として作業所運営・管理を任せていただき、責任者として難しい判断に頭を悩ませることも多々ありました。」
「しかし、過去に次席として学ばせて頂いた経験を生かし技術者として日々の研鑽を怠らず、追求することを忘れずにひとつひとつの仕事に実直に向き合いました。」
「ちょうど5年前、舞い散る桜を眺めながら“何事を始めるのに遅すぎることなんてない”と前職と全く異なる職種に転職しようと奮い立ちました。40歳を過ぎた自分も成長することができ、同じこの桜の季節に2名の所員やお客さま、協力会社の皆さまのおかげで無事に竣工を迎えたことを大変うれしく思います。」
あらゆる可能性を否定せず、チャレンジする人をサポートする。そんな土壌を耕し続ける、三和建設。中嶋氏の活躍と同社の柔軟な取組みには、業界の未来を明るするヒントが隠されているような気がした。
三和建設株式会社
大阪府大阪市淀川区木川西2丁目2番5号
WEBサイト: https://www.sgc-web.co.jp/
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