
中央アルプス、南アルプス、北アルプスに囲まれ、豊かな自然環境と変化に富む地形を持つ長野県。その環境的な特性から、河川の治水対策や山間部の交通インフラ整備は不可欠で、長野県内の建設・土木会社はいずれも災害に強い地域づくりの一翼を担っている。
長野県建設部は、全国に先駆けてi-Constructionの推進に取り組んでいる県のひとつで、県内企業によるICT技術の導入を積極的に支援している。
公共発注工事では、起工測量やBIM/CIM、遠隔臨場などが義務付けられていることによって、生産性向上と技術力の底上げが進んでいる。
また、多くの地場ゼネコンがドローンやレーザースキャナーを活用した3次元測量を導入しており、施工の効率化や安全性の向上に効果を上げている。
長野県DX・i-Construction 推進連絡会を設け、経営者向けのセミナーや、BIM/CIM初心者向けハンズオン講習会などのイベントも開催している。
このように、豊かな自然と共に技術革新を進める姿勢こそが、長野県の建設・土木業界の大きな特徴である。
本記事では、そんな長野の総合土木・建設業界の最前線にいる15社を紹介する。各社の歴史、特徴的な技術、代表的なプロジェクト、そして最新の取り組みなどを詳しく見ていこう。
1946年に設立された北野建設は、長野県を代表する総合建設会社であり、建築・土木に加え、関連事業として広告代理店事業やホテル運営まで多角的に展開する企業でもある。
「建築は造形なり」を掲げる建築事業では、公共施設や美術館、医療・福祉施設、学校、オフィスビル、工場、店舗、住宅、リゾート施設、社寺まで、幅広い実績を積み重ねている。
(画像:北野建設WEBサイトより)
伝統ある門前町長野に本社を置いており、国宝・善光寺本堂の保存修理をはじめ、多くの寺院の保存事業でも高い評価を得てきたほか、培った寒冷地工法は軽井沢をはじめとする県内リゾートでも活かされている。
2023年には、DX推進プロジェクトの戦略的パートナーとして日立ソリューションズを選出しており、2025年度のプロジェクト完遂を目標に、業務の効率化と生産性の向上を進めているところだ。
1920年創業のヤマウラは、「設計・デザイン」「建築」「土木」「エンジニアリング事業」「首都圏事業」の5つの部門を柱に、まちづくりとものづくりを行う総合企業だ。
官公庁工事から民間施設まで幅広い分野をフィールドとしており、数多くの表彰を受けるなど、施工実績と信頼性の高さが際立つ。
(画像:ヤマウラWEBサイトより)
特に、工場、流通、研究所などの生産施設では、建築部門とエンジニアリング事業部門が連携してワンストップ対応。建築・土木・設備一括施工方式を取っている。
近年の施工実績には、南木曽吾妻発電所の新設工事、長野県安曇野市の「あづみ野ランド」大規模改修工事、令和5年度 天竜川水系黒川渓流保全工工事などがある。
DX分野でも先進的で、BIM/CIMを活用した設計施工、現場監視システムやGPSによる施工管理などを実践。2025年5月には、駒ヶ根本社の4階を「デジタルイノベーション空間」として刷新し、ブレインミュージアム、DX推進チームの拠点を新設したばかりだ。
「良い仕事を残せ」を経営理念とする守谷商会は、1916年から100年以上の歴史を積み重ねてきた長野県の老舗総合建設会社である。
創業からまもない1920年には、のちに国重要文化財に指定される旧制松本高等学校本館を建設を行なっている。
(画像:守谷商会WEBサイトより)
売上の約7割を占める建築事業では、オフィスビルや住宅、商業施設、工場など、幅広い工事を行なっている。代表的な実績には、長野県軽井沢市の風越公園カーリングホール棟などがある。
道路、堤防、上下水道、ダムといった社会インフラをつくる土木事業では、長野県外の施工実績も多々あり、静岡県富士市を通る東名高速道路の駒門スマートIC工事などを手がけている。
さらに、建築、土木の両事業と連携しながら、不動産事業も展開している。
守谷商会旧本社ビル・アイビースクエア(守谷第一ビル)が長野市景観賞を受賞するなど、手がける工事のみならず、まちづくりの面でも存在感を見せる企業だ。
1907年に創業した北信土建は、東京と本社を置く長野を拠点として、建築、土木、開発に取り組む総合建築業者だ。
2009年6月決算以降、「実質無借金経営」を10年以上継続しており、2023年からは、新経営体制のもと、「北信土建のファンを増やしていこう!!」をスローガンに事業に取り組んでいる。
(画像元:北信土建WEBサイトより)
建築工事では、主に、新築、改修リニューアル、耐震、長寿命化、メンテナンスを行なっており、高層建築物などの解体工事も守備範囲としている。
また、文化財や歴史的建造物の保存修理は長野県内でもトップクラスの施工数を誇り、職歴40年以上の職人や資格を保有するスタッフも多数在籍している。
土木工事では、社会インフラの築造、建設、耐震化、整備、改修、メンテナンスを幅広く手がけている。
施工実績として、長野県長野市にある電算の本社外構、塩尻市の奈良井宿 歳吉屋 -BYAKU Narai-、東京都内では大田区東六郷小学校、大田スタジアムなどがある。
1916年創業の窪田建設は、長野県駒ヶ根市を拠点とする総合建設会社である。
道路や河川、ダムなどの土木事業から、公共建築物、工場、店舗、住宅まで、多岐にわたる建築事業を展開している。
また、独自技術によるコンクリート構造物の補修・補強を得意としていることが特徴だ。
(画像元:窪田建設WEBサイトより)
建築施工事例としては、官公庁の施設、商業施設をはじめ、特に病院や歯科医院など医療系の建築物件を多く手がけている。
工事にあたっては、新工法の導入による品質と経済性の追求だけでなく、「地域の皆様への配慮」「本当に必要としているのは何か」を常に考え続ける姿勢を重要視している。
そうした姿勢に、長年の経験に裏打ちされた確かな施工力と柔軟な対応力を備え、地域に密着した企業として成長を続けている。
また、2000年から自社でホテルを設立しており、現在、岐阜県、新潟県で計3つのホテルを運営している。
長野県岡谷市に拠点を置く岡谷組は、1920年の創業から100年以上に渡り、県土の発展に力を注いできた建設会社である。
大正時代に建設した諏訪地方初めての鉄筋コンクリート造による諏訪蚕糸学校(現岡谷工業高校)、県立長野図書館など、創業から今日まで長野県を代表する建築物を数多く手がけてきた。
(画像元:岡谷組WEBサイトより)
土木工事においては、多数の実績を持つトンネル工事をはじめ、道路、治山・治水、橋梁などの社会インフラ整備を行なっている。
また、2024年から、担い手育成の一環として奨学金返済支援制度を設けており、入社から15年間は会社が返済を一部を負担し、若手社員が仕事に専念しやすい環境を整え、建築士資格取得もサポートするという独自の仕組みを持っていることも特徴だ。
1935年創業のフクザワコーポレーションは、総合建設業と建築系ソフトウェアの開発を行なう企業だ。
建築部門では、国土交通省から優良工事施工業者として多数の表彰を受けているほか、令和5年度にはICT人材育成推進企業、令和2年度から4年度にはICT活用工事成績優秀企業としてそれぞれ認定を受けている。
(画像元:フクザワコーポレーションWEBサイトより)
また、システム開発部門では、例えば、積雪の多い長野県北部に本社を置く特徴を反映し、除雪日報の作成にかかる時間を従来の1/4に短縮する自動解析システムを開発しており、業務効率化に貢献する有効な技術として、NETIS(国土交通省が運用している新技術に係る情報を、共有及び提供するためのデータベース)に登録された実績も持つ。
1995年に設立された綿半ソリューションズは、江戸時代に長野県飯田市で創業した綿屋をルーツとする綿半グループの一角を担う企業だ。
グループでは、持株会社である綿半ホールディングス株式会社を中核として、小売事業、貿易事業、そして建築事業を展開している。
(画像元:綿半ソリューションズWEBサイトより)
木造建築、建築鉄骨の工場加工製作、内外装工事、自走式立体駐車場建設、土木緑化などを手がけており、グループの総合力を生かし、資材調達から設計・施工・維持管理まで一貫体制を構築している点が特徴である。
また、自走式立体駐車場建設と工場の屋根改修工事でトップシェアを誇るほか造園・緑地維持管理では樹木医6名が在籍し、緑のプロフェッショナルとして提案・設計から施工・維持管理まで一貫して行なっている。
1933年創業の角藤は、建築、土木を中心に、可動式上屋工事や地中熱利用工事も手がける企業だ。
可動式上屋工事は各地の学校や天文台などで、地中熱ヒートポンプシステムは長野県立美術館をはじめとする公共施設や防災センターなどで採用されている。
(画像元:角藤WEBサイトより)
建築分野では、基礎工事や鉄骨工事といった構造系から、内外装工事や屋根工事といった仕上系まで幅広く対応している。
また、土木分野では、山留などの各種土木工事、土壌浄化事業、橋梁工事を行なっている。
長野県を拠点としながら全国で事業を展開しており、施工実績には、羽田空港国際線ビル駅、衆議院新議員会館北棟、グラントウキョウ ノースタワー・サウスタワー、常陸那架珂火力発電所2号機などがある。
1948年に設立された本久は、建設業と資材供給の両面を兼ね備えた独自の体制を持つ総合企業である。
1717年に長野県は善光寺で問屋として創業してから数えると、300年を超える歴史のある長寿企業であることを強みとしている。
また、レジャー事業、外食事業、石油事業も行なっており、グループ会社もあわせると2,000名を超える社員数を抱える。
(画像元:本久WEBサイトより)
建築物の構造・意匠に関わる詳細設計から施工管理まで行う建築景環事業部では、特にプール・体育館などのスポーツ施設で、長野県内トップクラスの工事実績を誇っている。
佐久市陸上競技場の膜上屋と観客席椅子、松本駅お城口のアルミハニカムシェルターなどの実績がある。
基礎建設事業部では、高い技術力を持って、都市再開発にまつわる大型工事、防災における砂防工事、橋梁河川道路工事、下水道などのインフラ整備、民間施設建設工事など、幅広く手がけている。
1919年に創業、1951年に株式会社を設立した宮下建設は、佐久市を拠点に、土木・建築工事を手がける総合建設会社だ。
建築事業の代表的な施工事例として、本社を置く伊那市の顔である伊那市役所庁舎、同じく伊那市の防災コミュニティーセンターや上伊那広域消防本部がある。
(画像元:宮下建設WEBサイトより)
ホテルやマンション、商業施設、医療・福祉施設、工場、オフィス、神社仏閣まで手がけている。
土木事業では、道路や河川、上下水道、農業土木など、さまざまな公共インフラの整備を行なう。
また、新築・リフォーム・不動産事業も行なっており、長野県内にも多い古民家再生に取り組んでいることも特徴的だ。創業当時から培った技術力を活かし、地域社会に必要とされる地域密着型の企業として存在感を高めている企業だ。
大松建設株式会社は、1961年に創業し、1973年に法人化された長野県長野市に本社を構える総合建設業者だ。
地域との共存、地域への貢献を念頭に、長野県や長野市、北信地区の市町村、大手ゼネコンとの協力関係を築き、長野県内の土木工事とインフラ工事を主な事業として活動している。
(画像元:大松建設WEBサイトより)
道路の新設や改良工事、維持修繕工事を行なう道路工事、護岸工事や浚渫工事を行なう河川工事、森林の荒廃を防止するための斜面保護工事などを行なう治山工事、宅地などの造成工事、そして水道管や下水道管の敷設や雨水排水用の水路工事を手がけている。
令和3年度の社会資本整備総合交付金工事として実施した信濃信州新線の工事では、令和5年度の長野県優良技術者表彰を受賞するなど、高い評価を得ている。
1897年に創業し、1944年に会社を設立した松本土建は、長野県松本市に本社を構えている。
まつもと市民芸術館や松本市立博物館など、文化の中心となるランドマークから、官公庁や商業施設まで、松本を象徴するような建築を多数手がけてきた。
(画像元:松本土建WEBサイトより)
土木事業では、DXに積極的に取り組んでおり、2021年には「技術情報部」を新設し、専門の技術職を置いて工事の効率化と省力化を進めている。
具体的には、3次元設計データを用いた施工管理やBIM/CIMを導入し、事前シミュレーションによるトラブルの発生防止に努めている。
また、地域住民や発注者との情報共有を円滑にするため、3Dモデルを活用した説明会を実施し、視覚的な情報提供を行なうといった取り組みも実施している。
神稲建設は、長野県安曇野市に本社を構える総合建設業者で、創業は1949年にさかのぼる。地域密着型の施工を重視し、土木・建築の両分野で幅広い工事を手がけている企業だ。
工場や商業施設、医療・福祉施設といった民間の建築工事から、観光庁舎や道の駅といった公共工事、道路や河川を中心とした土木工事を行なっている。
(画像元:神稲建設WEBサイトより)
施工実績としては、豊丘村観光拠点のような長野県内での工事をはじめ、東京都の八王子合同庁舎のように県外での実績も複数ある。
オリジナルブランドとして、総合建設業者としてのノウハウを活かした戸建て住宅専門の「くましろハウジング」を立ち上げて独自の企画住宅を提供しているほか、グループ会社として、農業生産法人と保険・リース業の法人を設立している。
地域密着の土木特殊工事を中心に手がける北陽建設は、1974年に建設業を創業して以来、建設コンサルタント、測量設計、地質調査の分野へと徐々に事業を拡大し、現在では、土地起こしから建設までトータルに事業を展開している。
(画像元:北陽建設WEBサイトより)
地表踏査、ボーリング調査、物理探査などさまざまな手法を駆使して土地の状況を探り、地質に見合った地域防災の設計を行っている。
測量・設計事業では、3次元座標を計測するレーザスキャナや、測位衛星から電波を受信して位置情報を計測するGNSS機、作業エリアを拡大し安全に測量ができるUAV(ドローン)などを導入し、効率的で精密な3次元測量を行なっている。
そうした確かなリサーチを土台とした土木工事を自社でも手がけており、方面緑化工法、グラウンドアンカー工法、吹付法枠工法、落石対策工法、崩壊土砂・雪崩対策工法、砂防堰堤・護岸工を駆使して、安全で経済性の高い工法を選択している。
長野県建設部は、全国に先駆けてi-Constructionの推進に取り組んでいる県のひとつで、県内企業によるICT技術の導入を積極的に支援している。
公共発注工事では、起工測量やBIM/CIM、遠隔臨場などが義務付けられていることによって、生産性向上と技術力の底上げが進んでいる。
また、多くの地場ゼネコンがドローンやレーザースキャナーを活用した3次元測量を導入しており、施工の効率化や安全性の向上に効果を上げている。
長野県DX・i-Construction 推進連絡会を設け、経営者向けのセミナーや、BIM/CIM初心者向けハンズオン講習会などのイベントも開催している。
このように、豊かな自然と共に技術革新を進める姿勢こそが、長野県の建設・土木業界の大きな特徴である。
本記事では、そんな長野の総合土木・建設業界の最前線にいる15社を紹介する。各社の歴史、特徴的な技術、代表的なプロジェクト、そして最新の取り組みなどを詳しく見ていこう。
1. 北野建設
1946年に設立された北野建設は、長野県を代表する総合建設会社であり、建築・土木に加え、関連事業として広告代理店事業やホテル運営まで多角的に展開する企業でもある。
「建築は造形なり」を掲げる建築事業では、公共施設や美術館、医療・福祉施設、学校、オフィスビル、工場、店舗、住宅、リゾート施設、社寺まで、幅広い実績を積み重ねている。

伝統ある門前町長野に本社を置いており、国宝・善光寺本堂の保存修理をはじめ、多くの寺院の保存事業でも高い評価を得てきたほか、培った寒冷地工法は軽井沢をはじめとする県内リゾートでも活かされている。
2023年には、DX推進プロジェクトの戦略的パートナーとして日立ソリューションズを選出しており、2025年度のプロジェクト完遂を目標に、業務の効率化と生産性の向上を進めているところだ。
2. ヤマウラ
1920年創業のヤマウラは、「設計・デザイン」「建築」「土木」「エンジニアリング事業」「首都圏事業」の5つの部門を柱に、まちづくりとものづくりを行う総合企業だ。
官公庁工事から民間施設まで幅広い分野をフィールドとしており、数多くの表彰を受けるなど、施工実績と信頼性の高さが際立つ。

特に、工場、流通、研究所などの生産施設では、建築部門とエンジニアリング事業部門が連携してワンストップ対応。建築・土木・設備一括施工方式を取っている。
近年の施工実績には、南木曽吾妻発電所の新設工事、長野県安曇野市の「あづみ野ランド」大規模改修工事、令和5年度 天竜川水系黒川渓流保全工工事などがある。
DX分野でも先進的で、BIM/CIMを活用した設計施工、現場監視システムやGPSによる施工管理などを実践。2025年5月には、駒ヶ根本社の4階を「デジタルイノベーション空間」として刷新し、ブレインミュージアム、DX推進チームの拠点を新設したばかりだ。
3. 守谷商会
「良い仕事を残せ」を経営理念とする守谷商会は、1916年から100年以上の歴史を積み重ねてきた長野県の老舗総合建設会社である。
創業からまもない1920年には、のちに国重要文化財に指定される旧制松本高等学校本館を建設を行なっている。

売上の約7割を占める建築事業では、オフィスビルや住宅、商業施設、工場など、幅広い工事を行なっている。代表的な実績には、長野県軽井沢市の風越公園カーリングホール棟などがある。
道路、堤防、上下水道、ダムといった社会インフラをつくる土木事業では、長野県外の施工実績も多々あり、静岡県富士市を通る東名高速道路の駒門スマートIC工事などを手がけている。
さらに、建築、土木の両事業と連携しながら、不動産事業も展開している。
守谷商会旧本社ビル・アイビースクエア(守谷第一ビル)が長野市景観賞を受賞するなど、手がける工事のみならず、まちづくりの面でも存在感を見せる企業だ。
4. 北信土建
1907年に創業した北信土建は、東京と本社を置く長野を拠点として、建築、土木、開発に取り組む総合建築業者だ。
2009年6月決算以降、「実質無借金経営」を10年以上継続しており、2023年からは、新経営体制のもと、「北信土建のファンを増やしていこう!!」をスローガンに事業に取り組んでいる。

建築工事では、主に、新築、改修リニューアル、耐震、長寿命化、メンテナンスを行なっており、高層建築物などの解体工事も守備範囲としている。
また、文化財や歴史的建造物の保存修理は長野県内でもトップクラスの施工数を誇り、職歴40年以上の職人や資格を保有するスタッフも多数在籍している。
土木工事では、社会インフラの築造、建設、耐震化、整備、改修、メンテナンスを幅広く手がけている。
施工実績として、長野県長野市にある電算の本社外構、塩尻市の奈良井宿 歳吉屋 -BYAKU Narai-、東京都内では大田区東六郷小学校、大田スタジアムなどがある。
5. 窪田建設
1916年創業の窪田建設は、長野県駒ヶ根市を拠点とする総合建設会社である。
道路や河川、ダムなどの土木事業から、公共建築物、工場、店舗、住宅まで、多岐にわたる建築事業を展開している。
また、独自技術によるコンクリート構造物の補修・補強を得意としていることが特徴だ。

建築施工事例としては、官公庁の施設、商業施設をはじめ、特に病院や歯科医院など医療系の建築物件を多く手がけている。
工事にあたっては、新工法の導入による品質と経済性の追求だけでなく、「地域の皆様への配慮」「本当に必要としているのは何か」を常に考え続ける姿勢を重要視している。
そうした姿勢に、長年の経験に裏打ちされた確かな施工力と柔軟な対応力を備え、地域に密着した企業として成長を続けている。
また、2000年から自社でホテルを設立しており、現在、岐阜県、新潟県で計3つのホテルを運営している。
6. 岡谷組
長野県岡谷市に拠点を置く岡谷組は、1920年の創業から100年以上に渡り、県土の発展に力を注いできた建設会社である。
大正時代に建設した諏訪地方初めての鉄筋コンクリート造による諏訪蚕糸学校(現岡谷工業高校)、県立長野図書館など、創業から今日まで長野県を代表する建築物を数多く手がけてきた。

土木工事においては、多数の実績を持つトンネル工事をはじめ、道路、治山・治水、橋梁などの社会インフラ整備を行なっている。
また、2024年から、担い手育成の一環として奨学金返済支援制度を設けており、入社から15年間は会社が返済を一部を負担し、若手社員が仕事に専念しやすい環境を整え、建築士資格取得もサポートするという独自の仕組みを持っていることも特徴だ。
7. フクザワコーポレーション
1935年創業のフクザワコーポレーションは、総合建設業と建築系ソフトウェアの開発を行なう企業だ。
建築部門では、国土交通省から優良工事施工業者として多数の表彰を受けているほか、令和5年度にはICT人材育成推進企業、令和2年度から4年度にはICT活用工事成績優秀企業としてそれぞれ認定を受けている。

また、システム開発部門では、例えば、積雪の多い長野県北部に本社を置く特徴を反映し、除雪日報の作成にかかる時間を従来の1/4に短縮する自動解析システムを開発しており、業務効率化に貢献する有効な技術として、NETIS(国土交通省が運用している新技術に係る情報を、共有及び提供するためのデータベース)に登録された実績も持つ。
8. 綿半ソリューションズ
1995年に設立された綿半ソリューションズは、江戸時代に長野県飯田市で創業した綿屋をルーツとする綿半グループの一角を担う企業だ。
グループでは、持株会社である綿半ホールディングス株式会社を中核として、小売事業、貿易事業、そして建築事業を展開している。

木造建築、建築鉄骨の工場加工製作、内外装工事、自走式立体駐車場建設、土木緑化などを手がけており、グループの総合力を生かし、資材調達から設計・施工・維持管理まで一貫体制を構築している点が特徴である。
また、自走式立体駐車場建設と工場の屋根改修工事でトップシェアを誇るほか造園・緑地維持管理では樹木医6名が在籍し、緑のプロフェッショナルとして提案・設計から施工・維持管理まで一貫して行なっている。
9. 角藤
1933年創業の角藤は、建築、土木を中心に、可動式上屋工事や地中熱利用工事も手がける企業だ。
可動式上屋工事は各地の学校や天文台などで、地中熱ヒートポンプシステムは長野県立美術館をはじめとする公共施設や防災センターなどで採用されている。

建築分野では、基礎工事や鉄骨工事といった構造系から、内外装工事や屋根工事といった仕上系まで幅広く対応している。
また、土木分野では、山留などの各種土木工事、土壌浄化事業、橋梁工事を行なっている。
長野県を拠点としながら全国で事業を展開しており、施工実績には、羽田空港国際線ビル駅、衆議院新議員会館北棟、グラントウキョウ ノースタワー・サウスタワー、常陸那架珂火力発電所2号機などがある。
10. 本久
1948年に設立された本久は、建設業と資材供給の両面を兼ね備えた独自の体制を持つ総合企業である。
1717年に長野県は善光寺で問屋として創業してから数えると、300年を超える歴史のある長寿企業であることを強みとしている。
また、レジャー事業、外食事業、石油事業も行なっており、グループ会社もあわせると2,000名を超える社員数を抱える。

建築物の構造・意匠に関わる詳細設計から施工管理まで行う建築景環事業部では、特にプール・体育館などのスポーツ施設で、長野県内トップクラスの工事実績を誇っている。
佐久市陸上競技場の膜上屋と観客席椅子、松本駅お城口のアルミハニカムシェルターなどの実績がある。
基礎建設事業部では、高い技術力を持って、都市再開発にまつわる大型工事、防災における砂防工事、橋梁河川道路工事、下水道などのインフラ整備、民間施設建設工事など、幅広く手がけている。
11. 宮下建設
1919年に創業、1951年に株式会社を設立した宮下建設は、佐久市を拠点に、土木・建築工事を手がける総合建設会社だ。
建築事業の代表的な施工事例として、本社を置く伊那市の顔である伊那市役所庁舎、同じく伊那市の防災コミュニティーセンターや上伊那広域消防本部がある。

ホテルやマンション、商業施設、医療・福祉施設、工場、オフィス、神社仏閣まで手がけている。
土木事業では、道路や河川、上下水道、農業土木など、さまざまな公共インフラの整備を行なう。
また、新築・リフォーム・不動産事業も行なっており、長野県内にも多い古民家再生に取り組んでいることも特徴的だ。創業当時から培った技術力を活かし、地域社会に必要とされる地域密着型の企業として存在感を高めている企業だ。
12. 大松建設
大松建設株式会社は、1961年に創業し、1973年に法人化された長野県長野市に本社を構える総合建設業者だ。地域との共存、地域への貢献を念頭に、長野県や長野市、北信地区の市町村、大手ゼネコンとの協力関係を築き、長野県内の土木工事とインフラ工事を主な事業として活動している。

道路の新設や改良工事、維持修繕工事を行なう道路工事、護岸工事や浚渫工事を行なう河川工事、森林の荒廃を防止するための斜面保護工事などを行なう治山工事、宅地などの造成工事、そして水道管や下水道管の敷設や雨水排水用の水路工事を手がけている。
令和3年度の社会資本整備総合交付金工事として実施した信濃信州新線の工事では、令和5年度の長野県優良技術者表彰を受賞するなど、高い評価を得ている。
13. 松本土建
1897年に創業し、1944年に会社を設立した松本土建は、長野県松本市に本社を構えている。
まつもと市民芸術館や松本市立博物館など、文化の中心となるランドマークから、官公庁や商業施設まで、松本を象徴するような建築を多数手がけてきた。

土木事業では、DXに積極的に取り組んでおり、2021年には「技術情報部」を新設し、専門の技術職を置いて工事の効率化と省力化を進めている。
具体的には、3次元設計データを用いた施工管理やBIM/CIMを導入し、事前シミュレーションによるトラブルの発生防止に努めている。
また、地域住民や発注者との情報共有を円滑にするため、3Dモデルを活用した説明会を実施し、視覚的な情報提供を行なうといった取り組みも実施している。
14. 神稲建設
神稲建設は、長野県安曇野市に本社を構える総合建設業者で、創業は1949年にさかのぼる。地域密着型の施工を重視し、土木・建築の両分野で幅広い工事を手がけている企業だ。
工場や商業施設、医療・福祉施設といった民間の建築工事から、観光庁舎や道の駅といった公共工事、道路や河川を中心とした土木工事を行なっている。

施工実績としては、豊丘村観光拠点のような長野県内での工事をはじめ、東京都の八王子合同庁舎のように県外での実績も複数ある。
オリジナルブランドとして、総合建設業者としてのノウハウを活かした戸建て住宅専門の「くましろハウジング」を立ち上げて独自の企画住宅を提供しているほか、グループ会社として、農業生産法人と保険・リース業の法人を設立している。
15. 北陽建設
地域密着の土木特殊工事を中心に手がける北陽建設は、1974年に建設業を創業して以来、建設コンサルタント、測量設計、地質調査の分野へと徐々に事業を拡大し、現在では、土地起こしから建設までトータルに事業を展開している。

地表踏査、ボーリング調査、物理探査などさまざまな手法を駆使して土地の状況を探り、地質に見合った地域防災の設計を行っている。
測量・設計事業では、3次元座標を計測するレーザスキャナや、測位衛星から電波を受信して位置情報を計測するGNSS機、作業エリアを拡大し安全に測量ができるUAV(ドローン)などを導入し、効率的で精密な3次元測量を行なっている。
そうした確かなリサーチを土台とした土木工事を自社でも手がけており、方面緑化工法、グラウンドアンカー工法、吹付法枠工法、落石対策工法、崩壊土砂・雪崩対策工法、砂防堰堤・護岸工を駆使して、安全で経済性の高い工法を選択している。
WRITTEN by

國廣 愛佳
創業支援や地域活性を行う都内のまちづくり会社に勤務後、2019年よりフリーランス。紙面やwebサイトの編集、インタビューやコピーライティングなどの執筆を中心に、ジャンルを問わず活動。四国にある築100年の実家をどう生かすかが長年の悩み。
建設土木の未来を
ICTで変えるメディア