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デジコン編集部 2023.1.31

自律飛行ドローン活用で山岳トンネル無人点検を本格運用。青木あすなろ建設、Spiral、クオリカ

青木あすなろ建設、Spiral、クオリカは、山岳トンネル坑内で自律飛行ドローンを使用した機械設備の無人点検の本格運用を始めた。

ドローンは、非GNSS(衛星測位システム)環境下で障害物が多い山岳トンネル坑内での自律飛行が可能であり、撮影映像はリアルタイムに事務所などから確認できる。

Spiral社の特許技術、非SLAM型屋内自律飛行システムを活用


山岳トンネル坑内は暗所かつ、セントル(※1)などの機械設備が多く、重機も多く稼働しており、巡視可能時間も限られるため、効果的な点検技術が求められている。

そこで、自律飛行ドローンにより点検作業を行うことで、これらの課題を克服し、日常の点検作業の省力化、生産性の向上と安全性を確保するため、実証実験・本格運用を実施。

※1セントル:トンネル壁面部分のコンクリートを打設するための移動式型枠

自律飛行ドローンによる点検には、Spiralの特許技術である非SLAM型(※2)屋内自律飛行システム「MarkFlexAir(マークフレックスエアー)」を使用。


本システムは、遠隔操作で充電ポートから離陸し、飛行指示情報が入ったマーカーをドローンに搭載されたカメラが読取ることで、自律飛行が可能になる。


※2:非GNSS環境下でドローンの自己位置を把握する方法としてSLAM型(特徴点を認識することで自己位置を把握する)と非SLAM型がある。山岳トンネル坑内のような特徴点の少ない場所では、SLAM型は精度を確保することが難しく、かつ機体サイズが大きくなってしまうことから非SLAM型ドローンを採用した。

セントルを回避しての飛行を実現

2021年11月に近畿地方整備局発注の大野油坂道路大谷トンネル箱ケ瀬工区工事(以下【仮称】大谷トンネル)では、セントルを通過する飛行経路で実証実験を実施。


セントルを避けて飛行するために、セントルの入口や出口など飛行経路が変化する地点にマーカーを設置し、セントル内部の通過を実現した。

2021年12月、2022年3月には、国土交通省国土技術政策総合研究所(以下、国総研)実大トンネルにて実証実験を重ねて自律飛行ドローンの飛行精度を高め、非GNSS環境下でも安定した飛行が可能であることも確認。


2022年10月より、【仮称】大谷トンネルにて本格運用として無人坑内点検を実施。機械設備の定期巡回点検は坑内に現場職員が立ち入り、点検箇所を目視確認していたが、事務所等から現場までの移動や坑内での歩行による点検など多くの時間を要していた。



今回の無人坑内点検では、充電ポートを始点と終点の2ヶ所に設置し、事務所等からPC操作で離陸させ、全長約970mを自動巡回させた。

ドローンの映像はリアルタイムで遠隔地のPC上で確認できるため、事務所等から坑内の点検が可能になり、省力化を実現した。



今後は、ドローンにガス検知器を搭載し、可燃性ガス等の検知や、災害時・停電時の暗闇での点検などさらなる展開を検討していく。


参考・画像元:青木あすなろ建設プレスリリース
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デジコン編集部

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