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デジコン編集部 2026.8.14

トリシマ、金属3Dプリンタで老朽化ポンプを長寿命化。羽根車の納期を6カ月から3分の1に短縮し、河川排水ポンプ場に適用

CONTENTS
  1. 分解して初めて判明する腐食。鋳造は長納期と高額な木型費用が課題
  2. 金属積層と5軸削り出しを1台で。「木型レス」で最短2週間、一体造形で電食も排除
  3. 疲労・耐食試験で信頼性を裏付け。全国のプラント整備へ展開
酉島製作所(大阪府高槻市)は、最新の金属AM(Additive Manufacturing:積層造形)技術を活用し、老朽化した社会インフラ用ポンプの納期短縮と長寿命化を両立する「一体型プロペラ(羽根車)」の活用を拡大している。

すでに兵庫県下の河川排水ポンプ場の整備工事に適用され、従来の鋳造で約6カ月を要していた納期を3分の1(1.5〜2カ月)に短縮したという。

分解して初めて判明する腐食。鋳造は長納期と高額な木型費用が課題


現在、全国では納入後20〜30年を経過した排水機場や雨水ポンプ場などのポンプ整備工事が増加している。

これらのポンプは雨の少ない非出水期に工場へ持ち込まれて分解点検されるが、分解して初めて羽根の取り付け中心部「プロペラボス」などの激しい経年劣化や、想定外の腐食が判明するケースが多い。

しかし、従来の鋳造による新製プロセスは、木型の製作から鋳型の作成、金属の鋳込み、仕上げ、精密機械加工までの多くの分業工程を要する。

そのため4〜6カ月の長い納期を余儀なくされ、1点ものの手配ごとに高額な木型費用が発生する点も、インフラ維持の課題となっていた。

金属積層と5軸削り出しを1台で。「木型レス」で最短2週間、一体造形で電食も排除


こうした課題に対し、トリシマは金属積層と5軸削り出しを1台で実現するハイブリッドAM機を導入し納期短縮を実現。

3Dデジタルデータから直接金属粉末を溶融・積層する「木型レス造形」により前準備工程を大幅にカットし、従来約6カ月の納期を、最短2週間での製作を可能にしたという。

さらに、部品の一体造形による弱点の排除により、従来は銅合金製の羽根と鋳鉄製のボスをボルトなどで組み立てていたプロペラを、高耐食ステンレス鋼により完全に一体で造形(総重量43kg)。

ボルト穴や接合部の隙間がなくなることで、長期使用時の「ガタつき」や、異種金属の接触で起こる「電食(腐食)」のリスクを根本から取り除いた。

そして「現物合わせ」の超精密な再現力で、腐食した旧品プロペラを3Dスキャナーで精密に測定し、過去の運転・性能記録と照合したうえで、取付角度を高精度に調整したデジタルモデルを作成し、忠実に造形する。

疲労・耐食試験で信頼性を裏付け。全国のプラント整備へ展開


インフラ設備への導入にあたり、トリシマは学術機関などと連携して品質検証を行った。

疲労評価試験では、AM製プロペラの連続運転後に非破壊検査を実施し、羽根の付け根部分などに応力集中による亀裂が一切発生していないことを確認。

塩水環境下での浸漬試験でも、AM材は従来のステンレス鋳造材と比べて腐食による質量減少率が数分の一にとどまり、優れた耐食性が実証された。

また、最終形状に近い状態まで直接積層する「ニアネットシェイプ」により、鋳造で生じていた廃材を大幅に削減し、省資源な製造も両立している。





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