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デジコン編集部 2025.10.29

トプコンと大和ハウス工業、BIMとデジタル施工で生産性20%向上。トプコン山形工場の建設で実証

トプコンと大和ハウス工業は、2025年10月23日に竣工したトプコン山形(トプコンの製造子会社)の工場建設工事において、BIM(Building Information Modeling)とデジタル施工技術を活用することで、さらなる省力化と生産性向上を実現した。墨出し作業では生産性が20パーセント向上した。

BIMを施工フェーズに拡張しバーチャル空間と現場を連動


両社は協業第一弾として、2019年12月に着工したトプコンオプトネクサス(福島県田村市)の工場建設工事では、BIMを用い、敷地測量や基礎工事などの各工程において、トプコンのデジタル測量機器ICT自動化施工技術を導入。

その結果、現場作業の省力化、生産性が大幅に向上し、BIMと建設工事現場の連携に向けた実践的な取り組みの有効性が実証された。



2020年11月には、デジタルコンストラクションの実現に向けて「基本合意書」を締結。

その後、両社の知見を活かし、トプコンが鉄骨建方をサポートするスマートフォンアプリ『楽直』を発売した。

大和ハウス工業では、施工現場で測量作業の省力化を実現するレイアウトナビゲーターの活用が定着するなど、現場のDX化を推進することで、現在では同社の全国の施工現場(賃貸住宅・商業施設・事業施設)において、トプコンの機器を導入している。



今回竣工したトプコン山形の工場建設工事において、両社のこれまでの取り組みをさらに進化させ、設計段階での活用にとどまっていたBIMを施工フェーズにも拡張。

現場の工事担当者からは「施工現場での計画ミスや是正工事が少なくなった」「作業の進捗がすぐにわかるので、次の施工段取りや判断が早くできるようになった」との声が上がるなど、バーチャル空間と現場が連動する建設プロセスの進化が具体的に示された。

特に、現場の墨出し作業では、BIMデータとレイアウトナビゲーターを組み合わせることで、生産性が20パーセント向上した。



検証事例として、バーチャル空間での検証では、ショベルの刃先の軌跡から取得した根切り出来形をBIMモデルに取り込み、地足場の検討に利用した。

自動墨出しロボットの検証では、建設工事現場における複雑な設計図面データをそのまま床面に再現する墨出し作業を、BIMモデルから自動墨出しロボットへデータを取り込み、従来の職方作業ではなくロボット作業で省人化を実現した。


遠隔での施工状況把握検証では、ICT建機の掘削状況が専用ソフトを介して、どこにいても遠隔から施工状況の進捗を把握できるようにした。コンクリート荒均し可視化検証では、3Dスキャナを使用しコンクリートの平坦性を可視化し品質を向上させた。

現場の工事担当者からは「BIMモデルからトプコンの機器(レイアウトナビゲーター)へデータを転送することで、タブレット端末に表示されている図面の位置で検査ができる」「データ活用の将来性を感じた」「今後ますますDXツールやDX施策を取り入れていきたい」「建設業の人手不足を解消するためにもDXを導入しなければならないと感じた」との声が上がったという。




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デジコン編集部

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