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デジコン編集部 2025.8.6

熊谷組、トンネル発破作業の親ダイ装填機械化技術を開発。無線電子雷管活用で32現場実績の遠隔装填システムを完全自動化へ

熊谷組は8月1日、山岳トンネル工事における切羽作業の安全性向上と自動化を目的として、爆薬の遠隔装填システムにおける「親ダイ装填の機械化技術」を開発したと発表した。

ニシオティーアンドエムとキヨモトテックイチの協力のもと実現し、人力作業を一切介さない装薬作業を確認している。

親ダイ供給装置と挿入装置でバックホウベース機械に搭載、完全無人化を実現


山岳トンネル工事では機械化による作業の省力化と安全性が図られているものの、依然として切羽付近における落盤・土砂崩壊災害が発生する可能性は高く、重大災害に繋がることが多い。

特に発破方式における爆薬の装薬作業は、肌落ちや崩落の発生の可能性が高い切羽に密着しての長時間の人力作業となっている。

すべての孔に爆薬及び込め物を挿入し、込め棒で突いて装填する作業の繰り返しは疲労度の高い作業となり、作業環境や姿勢なども厳しい状況での作業となるため、装薬作業は苦渋性の高い作業である。

同社の従来のシステムでは、切羽から1.5m以上離れた位置から親ダイを装填パイプ先端にセットして、人力により発破孔内へ挿入していた。

挿入後は手元のボタン操作のみで、増ダイ・込め物が後方の遠隔装填装置よりホースを経由して自動で圧送・装填し、装薬作業が完了する仕組みである。

しかし親ダイ装填は人力であるため、完全な無人化には至っていなかった課題があった。

今回の開発では、内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム」にて実用化を目指している無線電子雷管を利用した親ダイを使用している。



これまで起爆に必要な脚線あるいは導火管があるために人力によらないと装薬ができなかった親ダイの装薬作業を機械化するシステムを開発し、試験施工を行った。

親ダイを機械装填するために開発したシステムは、親ダイを装填パイプの先端に供給する「親ダイ供給装置」と、供給された親ダイを装填パイプにて発破孔内に挿入する「親ダイ挿入装置」で構成されている。

試験施工では親ダイの供給・挿入装置からなる機械化したシステムをバックホウベースのクローラドリルのガイドセルに搭載し、機械による遠隔操作で親ダイを挿入した。

続けて従来の爆薬の遠隔装填システムと連携して、増ダイ・込め物の装填を行う一連の装薬作業を実施した。

試験施工は既施工区間のトンネル側壁に試験用の削孔を行い、模擬爆薬を使用して実施している。

その結果、人力作業を一切介さずに一連の装薬作業をスムーズに行えることを確認した。




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デジコン編集部

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