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デジコン編集部 2025.5.28

ウェーブレット、地熱地帯で超小型振源装置「PASS」を用いた弾性波探査を実施。地下1000m程度の断層構造可視化に成功

ウェーブレット(本社:東京都文京区)は、国内の地熱地帯において弾性波探査を実施し、地下1000m程度におよぶ断層構造の可視化に成功した。

調査では従来の車両型震源装置に加え、超小型振源装置「PASS」を活用し、車両が立ち入れない地形的制約のあるエリアにおけるデータ取得に成功している。

東京大学辻研究室開発のPASSで人力持ち運び可能。山岳地帯の地熱資源探査における地形的制約を解決


地熱開発においては、地下の断層構造を精緻に探査することが重要である。

しかしながら、国内の地熱資源の多くは山岳地帯に存在し、車両の進入が困難なため、従来の車両型震源装置を用いた弾性波探査によるデータ取得が困難だった課題があった。

同社は、東京大学辻研究室が開発した超小型振源装置「PASS」を用いることで、従来の探査ではカバーできなかった地形的制約のあるエリアにも対応し、弾性波探査の対象エリアを拡大させることを目指している。

今回の探査では、従来の車両型震源装置とPASSを組み合わせて探査を行った結果となっている。


PASSは人力での持ち運びが可能なため、これまで地形的な制約から探査が困難だった場所でも設置・稼働が可能となり、従来手法では得られなかったエリアのデータ取得に大きく貢献した。

探査の結果、地下1000m程度まで届く弾性波の伝播を確認し、深部に存在する断層構造の可視化に成功している。

また、得られた探査結果は、過去に同地域で行われた地質調査および他の探査手法によるデータと整合的であり、本技術の有効性と再現性を裏付けるものとなった。

今後も様々な地域での探査を通して知見を蓄積し、技術開発をさらに推進していく方針である。

震源装置のパワーアップによる探査可能深度の拡大と、PASSのみによる探査の実現を目指している。

解析手法の工夫による、より深部のイメージングや可搬性の向上による探査の対象エリアのさらなる拡大も計画されている。




土木やCCS分野への横展開も視野に入れた技術開発を進めていくとしている。

ウェーブレットは2022年に創業した東京大学発のスタートアップ企業で、東京大学の辻研究室で開発された振動計測技術を用いて、二酸化炭素の地中貯留や地盤の監視、資源開発、地熱発電、防犯などさまざまな分野の課題解決に貢献している。





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デジコン編集部

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