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デジコン編集部 2021.11.5

大成建設、橋梁架設CIMシステム「T-CIM®︎ / Bridge」を構築。施工管理の自動化・省力化の実現へ

大成建設株式会社は、張出し架設工法により施工する橋梁上部工工事において、自動化システムや情報通信技術を活用して施工管理の自動化・省力化を図る「T-CIM®︎/Bridge」を構築したと発表した。

橋梁の張出し架設工法では、コンクリートの品質管理に加えて、移動作業車の移動・設置、プレストレス導入時のPC鋼材の緊張管理、橋面高さに係る上げ越し管理※1および桁断面形状の出来形管理を繰り返し行う必要がある。

これらの管理は、従来、技術者が現場に常駐して行うことが一般的で、また管理項目が多岐に渡り、かつ連携も必要になるため、多くの時間と労力が費やされてきた。そこで大成建設は、橋梁上部工工事での各主要の管理工程において、これらの課題を解決するため、自動化された管理システムとクラウドなど情報通信技術を用いた橋梁架設CIMシステム「T-CIM®︎/Bridge」を構築。

「T-CIM®︎/Bridge」は、張出し架設工法の管理で必要となる以下の4つのシステムから構成されている。各システムで自動計測された各種データをクラウドに集約・解析し、一元管理することで、発注者を含めた工事関係者間で現場での管理状況の見える化と共有化を行い、遠隔から端末機器やパソコンによる現場管理や施工状況確認・現場立会などを行う遠隔臨場が可能となる。

各システム概要



図1 T-CIM®︎/Bridgeのシステム構成

1.移動作業車管理システム
電子制御化した油圧ユニットなどの各種機構と無線タブレットを連携することで、張出し架設工法で使用する移動作業台車を一元管理。移動作業車の制御や設置位置などの管理の省力化や誤操作防止機能により、移動作業車による作業効率と安全性の向上が図れる。

2.自動緊張管理システム
プレストレス導入作業時に緊張用ジャッキの荷重値とPC鋼材の伸び量を自動計測し、各データから緊張管理図を自動作成。現地での計測作業員の削減が可能で、緊張管理の省力化と安全性を向上させることが可能。

3.上げ越し管理※1システム
橋面高さや温度などを自動計測し、各データをクラウドに自動転送される。クラウド上では、上下床版の温度差等を補正した自動計算を行い、上げ越し値を評価できるため、現場での計測や型枠高さの管理を省力化し、出来形の品質向上が図れる。

4.自動出来形管理システム
従来の出来形管理では、計測員が断面寸法を計測し、出来形帳票に数値を記入して管理していた。自動出来形管理システムでは、3Dスキャナを用いて断面寸法を自動計測し、計測値の帳票への記入も自動化できる。計測作業員と書類作成を省略できるため、現地作業の省力化と安全性を向上させることが可能だ。

大成建設は、「T-CIM®︎/Bridge」を、建設DXを担う技術のひとつと位置づけており、今後、様々な橋梁現場に適用するとともに、継続してシステムの改良と開発を行い、橋梁工事管理の自動化・省力化を図ることで施工品質、生産性および安全性の更なる向上を推進していく。

※1上げ越し管理:橋梁工事では、打ち込んだコンクリート、プレストレス、その他の荷重によって生じる桁の変形を考慮して出来形管理を行う。各施工段階の桁の変形と予測値を比較・評価して型枠の設置高さを決定する管理のこと。

参考:大成建設リリースより
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