ニュース
デジコン編集部 2022.1.20

清水建設とグルーヴノーツ、量子コンピュータを活用して建設発生土の運搬計画を最適化。運搬量10%増の効果を確認

量子コンピュータ関連ビジネスを手掛ける株式会社グルーヴノーツと清水建設株式会社は、土木工事の生産性向上を目的に、量子コンピュータなどのICT技術を活用してダンプトラックによる建設発生土(土砂)の運搬計画を最適化する共同実証を実施した。


清水建設による土木工事の土砂運搬ルートに量子コンピュータを適用したシミュレーションでは、できることを確認した。


最新の量子コンピュータを活用して、建設現場の生産性向上に着手


高速道路やトンネル、ダムなど、土砂の搬出入量が膨大な建設現場では、運搬作業の効率が工事全体の進捗を大きく左右する。土砂の搬出入ルートが複数ある場合、ダンプトラックごとに当日のルートを固定して運搬していた。しかし、この方法では突発的な渋滞などへの対応が難しく、状況に応じたリアルタイムなルート選択が課題になっていた。

清水建設はこれまで、国土交通省が掲げる建設現場の生産性20%向上を目指す方針を受け、建設現場においてICT 技術を積極的に活用するさまざまな取組みを行っており、今回、最新技術の活用により運搬効率の課題解決に取組むべく、先進のテクノロジー発想と量子コンピュータ活用等において高い技術力を有するグルーヴノーツをパートナーに、土砂運搬計画に関する実証プロジェクトを2020年3月より開始した。


リアルタイムに最適ルートを計算、走行実証も開始


本プロジェクトでは、土木工事においてダンプトラックが土砂の搬出場所と搬入場所、一部は待機場所を経由して行き来する際に、それぞれの場所での運搬条件や各ルートの混雑具合などを踏まえてタイムロスの最も少ないルートを導き出す。




この最適なルート計画は、清水建設の工事現場で稼働するダンプトラック約40台に対して、グルーヴノーツの量子コンピュータを活用できるクラウドプラットフォーム「MAGELLAN BLOCKS(マゼランブロックス)」を用いて計算している。

プロジェクトではまず、ダンプトラックに搭載されたGPSのログデータをもとに、「MAGELLAN BLOCKS」でルートごとのダンプトラックの走行車数や速度、滞留時間、ダンプトラックと土量の稼働率等の分析を行い、顕著な低速運行エリアなど滞留状況を可視化。

こうした滞留状況や運搬条件を考慮して、最適なルートを探索する量子コンピュータモデル(イジングモデル)を「MAGELLAN BLOCKS」で構築し、量子コンピュータマシンを通じて検証を行った。その結果、走行台数を変えることなく1日当たりの運搬量を約10%増加できることを確認。現在は、「MAGELLAN BLOCKS」でGPSデータやナビデータ等をリアルタイムに取得し、実際の道路交通状況を加味した最適なルートをドライバーに指示する走行実証へと移行している。


印刷ページを表示
WRITTEN by

デジコン編集部

建設土木のICT化の情報を日々キャッチして、わかりやすく伝えていきます。

建設土木の未来を
ICTで変えるメディア

会員登録

会員登録していただくと、最新記事を案内するメールマガジンが購読できるほか、会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。