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デジコン編集部 2026.10.23

約3万8000本のボルト腐食を、スマホ撮影とAIで判定。Ristと島根県の松江土建、橋梁補修の診断期間を3カ月から1カ月に短縮

CONTENTS
  1. 老朽化で点検需要が増える一方、地方は技術者不足。目視判定が負担に
  2. 背景の汚れや文字は認識せず、ボルト群のみ抽出。疑似ラベリングで精度改善
  3. 判定期間を3分の1に、後工程を2カ月前倒し。高所・猛暑下の負担も軽減
    1. 生産性の向上
    2. 高品質化
    3. 安全性の向上
AI企業のRist(京都府京都市)は、松江土建(島根県松江市)が施工する「新江川橋 橋梁補修工事」において、AIによるボルト群の腐食判定を実施し、ボルト腐食診断工程を自動化するAIシステムを共同で開発したと発表した。

これにより、約3カ月を要する見込みだった診断工程を約1カ月に短縮し、生産性向上を実現した。

本取り組みは、国土交通省が提唱する「i-Construction 2.0」に沿った、公共インフラ分野での具体的なAI実装事例となる。

老朽化で点検需要が増える一方、地方は技術者不足。目視判定が負担に


橋梁をはじめとする社会インフラは老朽化が進み、全国的に点検・補修需要が増加している。

その一方で、地方の土木建設業界は技術者不足が深刻さを増し、人力に頼ってきた業務の効率化と技能継承が急務となっている。

ボルト腐食診断は、補修工事に先立って交換する必要のあるボルトを選定するための工程だ。


今回の診断対象となるボルトは約3万8000本にのぼり、従来の目視作業では作業員2名で約3カ月の期間を要すると見込まれていた。

しかも、当初予定よりも工期が切迫しており、ボルト腐食診断フェーズの時間短縮が求められていた。

加えて、目視判定は担当者の経験や知識によって精度にばらつきが生じやすく、検査品質の平準化も課題となっていた。

背景の汚れや文字は認識せず、ボルト群のみ抽出。疑似ラベリングで精度改善


今回のシステムでは、AIを活用することで、作業負荷の軽減、判定期間の短縮、検査品質の均質化を図った。AI判定フェーズは、2段階で進められた。

まず、約700本分・画像11枚のサンプル画像を用いたモデルの開発・学習を、5月7日から6月2日にかけて実施。


続いて、約3万8000本・画像3700枚を対象とした推論・判定を、疑似ラベリングによる再学習を含めて、6月30日から7月27日にかけて行った。

判定結果は、腐食ありを赤、腐食なしを緑で示す。

精度向上に向けては、開発モデルを複数比較して選定したうえで、データ拡張や疑似ラベリングなどの前処理でモデルの精度を改善した。

さらに、映り込んだ背景の汚れや文字を認識しないよう、対象となるボルト群の範囲のみを抽出している。

判定期間を3分の1に、後工程を2カ月前倒し。高所・猛暑下の負担も軽減


本取り組みの成果は大きく3点ある。


生産性の向上


判定期間を想定の3カ月から1カ月に短縮し、後工程を2カ月前倒しした。

高品質化


判定のばらつきを解消し、一定基準での判定を実現した。

安全性の向上


高所・狭所・猛暑下での長時間作業を減らし、作業員の身体的・精神的負担を軽減した。

松江土建の土木部工事課・作業所長の須山尚氏は、初の現場へのAI活用であり当初は不安もあったものの、大幅な工期短縮とあわせて社員の働きやすさも実現できたとし、今後は新規構造物など活用の幅を広げたいとの考えを示している。



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