行政・政策
デジコン編集部 2026.4.23

下水道管路の全国特別重点調査、対策必要延長は748km・空洞96箇所を確認。国交省が令和8年2月末時点の結果を公表

CONTENTS
  1. 1. 調査結果の概要(令和8年2月末時点)
    1. 全体の調査状況
    2. 対策が必要な延長
  2. 2. 優先実施箇所とそれ以外の内訳
    1. 優先実施箇所(128団体、813km)
    2. 優先実施箇所以外(531団体、4,519km)
  3. 3. 緊急度Ⅰが確認された地方公共団体
  4. 4.今後の対応と技術基準の見直し
    1. 点検基準の強化
    2. 「重要管路」と「枝線」による戦略的マネジメント
    3. リダンダンシー(多重性)の確保
  5. まとめ
国土交通省は令和8年4月21日、「下水道管路の全国特別重点調査」の令和8年2月末時点の結果を公表した。

本調査は、道路陥没事故の未然防止を目的として実施されているものだ。対象は「管径2m以上かつ設置・改築後30年以上経過した管路」であり、全国535団体・5,332kmが対象となっている。

令和8年2月末時点で、対策が必要な延長は748km、地盤中の空洞は96箇所が確認された(現時点で全て対策済み)。

1. 調査結果の概要(令和8年2月末時点)


全体の調査状況


全国特別重点調査の該当延長5,332km(535団体)のうち、潜行目視やテレビカメラ・ドローン等による目視調査を5,121km実施した。そのうち緊急度判定を4,692kmで実施している。

緊急度の判定にあたっては、現行の基準より強化された判定基準を適用している。

腐食・たるみ・破損をそれぞれ診断し、劣化の進行順にAからCにランク付けした上で対策を確実に実施する仕組みだ。


対策が必要な延長


緊急度Ⅰは「原則1年以内の速やかな対策が必要となる推計延長」、緊急度Ⅱは「応急措置を実施した上で5年以内の対策が必要となる推計延長」だ。

目視調査の結果、対策が必要な延長(緊急度ⅠおよびⅡの要対策延長)は以下の通りだ。


また、緊急度ⅠおよびⅡと判定されたマンホール間延長2,211kmのうち、1,326kmで空洞調査(路面からの空洞調査、簡易な貫入試験など)を実施した結果、地盤中で確認された空洞は96箇所であり、現時点で全て対策済みだ。



2. 優先実施箇所とそれ以外の内訳


本調査では、社会的影響が大きく大規模陥没が発生しやすい管路から優先度をつけて実施している。

以下のいずれかの条件に該当するものが優先実施箇所として選定された。

  • 優先条件①:埼玉県八潮市の道路陥没現場と類似の構造・地盤条件の箇所(立坑接続部付近の曲線部等で地下水位が高い砂質系または緩いシルト質系地盤)
  • 優先条件②:構造的に腐食しやすい箇所または過去の調査で腐食が確認され未対策の箇所
  • 優先条件③:緊急輸送道路で下水道起因の陥没履歴がある箇所
  • 優先条件④:沈砂池の堆積土砂が顕著に増加した処理場・ポンプ場につながる管路

優先実施箇所と優先実施箇所以外の結果を比較すると、要対策割合は優先実施箇所で約41%、それ以外で約11%と大きな差があり、優先実施箇所の選定が適切であったことが確認できる。

優先実施箇所(128団体、813km)


目視調査804km(打音調査等225km)を実施し、緊急度判定を768kmで実施した。

なお優先実施箇所では、緊急度ⅠおよびⅡに至らない場合でも打音調査等により詳細調査を実施している。

  • 緊急度Ⅰ 要対策延長:53km
  • 緊急度Ⅱ 要対策延長:259km
  • 空洞調査:495km実施、空洞が確認された箇所:11箇所(全て対策済み)

優先実施箇所以外(531団体、4,519km)


目視調査4,318kmを実施し、緊急度判定を3,924kmで実施した。

  • 緊急度Ⅰ 要対策延長:147km
  • 緊急度Ⅱ 要対策延長:288km
  • 空洞調査:831km実施、空洞が確認された箇所:85箇所(全て対策済み)

3. 緊急度Ⅰが確認された地方公共団体


全国特別重点調査の対象である地方公共団体535団体のうち、緊急度Ⅰと判定された下水道管路を有する地方公共団体は277団体だ。

市町村等が管理する公共下水道で緊急度Ⅰを有するものは257団体、都道府県が管理する流域下水道で緊急度Ⅰを有するものは20団体となっている。

都道府県が管理する流域下水道で緊急度Ⅰを有する20団体は以下の通りだ。


4.今後の対応と技術基準の見直し


国土交通省は、未了箇所の調査・判定や対策が必要な箇所の更新などを速やかに実施するよう要請しており、引き続きこれらの取組を技術的・財政的に支援していくとしている。

また、調査結果の分析を行い、点検基準等の見直しに反映していく方針だ。

こうした動きと並行して、「下水道管路マネジメントのための技術基準等検討会」が令和8年1月20日に中間整理を公表している。主な内容は以下の通りだ。

点検基準の強化


重要管路における点検頻度が現行より強化される。

特に化学・力学・地盤的弱点が重なる箇所や硫化水素濃度が著しく高い箇所は3年に1回以上の点検が必要となる。

また、健全度Ⅲと診断された箇所は空洞調査を実施するとともに、点検頻度をさらに高頻度化(例:3年に1回→1年に1回)するとされている。

「重要管路」と「枝線」による戦略的マネジメント


社会的影響の大きい大口径管路等を「重要管路」、面的に整備された小口径管路や末端の取付管等を「枝線」として区分し、「メリハリ」をつけた戦略的なマネジメントを進める方針だ。

リダンダンシー(多重性)の確保


災害・事故時の機能確保等のため、「重要管路」の水位を下げることができない箇所で複線化等による多重化を原則化するとされている。

まとめ


全国5,332km・535団体を対象とした下水道管路の全国特別重点調査において、令和8年2月末時点で748kmの要対策延長と96箇所の地盤中空洞が確認された。

特に優先実施箇所における要対策割合が約41%と高く、道路陥没リスクの高い箇所で集中的な異状が確認されている実態が明らかになった。

空洞96箇所については現時点で全て対策済みとなっている。

今後は未了箇所の調査継続とともに、調査結果を踏まえた点検基準の見直しが行われる予定であり、ドローンや貫入試験など新技術を活用した調査方法の高度化も進められていく。


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デジコン編集部

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