行政・政策
デジコン編集部 2026.5.26

年間7万件のロードキルをデータで防ぐ。国交省がロードキル対策を全国の地方整備局へ展開

CONTENTS
  1. 「動物が車を避ける」構造対策から「ドライバーが動物を避ける」データ活用型対策へ転換
  2. 北海道モデルでは多発時期・時間帯をデータで特定し路面標示を先行実施。沖縄ではカーナビ音声通知との官民連携も
  3. 全国9整備局が地域固有の動物種に応じた対策を実施
国土交通省道路局環境安全・防災課は令和8年5月22日、国が管理する道路で年間約7万件(令和4年度)発生しているロードキルへの対策として、データを活用した「データ駆動型ロードキル対策」を今年度から全国の地方整備局等で本格展開すると発表した。

昨年度に北海道(エゾシカ)・沖縄(ヤンバルクイナ等)でのモデル実施と、全国のロードキル情報を集約した「ロードキルデータベース」の道路データプラットフォーム「xROAD」での公開を経て、全国規模の展開フェーズへ移行する。

「動物が車を避ける」構造対策から「ドライバーが動物を避ける」データ活用型対策へ転換


従来のロードキル対策は動物の安全な移動経路を確保するカルバートの設置など、道路構造からのアプローチが中心だったが、交通ルールを理解できない動物への対策の限界から新たに「ドライバーが動物を避ける」アプローチを本格化させる。



各地方整備局が取り組む対策の柱は3つだ。大型動物(ニホンカモシカ・シカ)に対しては路面標示・標識やカーナビによる注意喚起を実施し、小型動物(タヌキ・犬・猫)に対しては道路情報板・SNSでの注意喚起と侵入防止フェンスを設置する。


また動物検知センサーによるリアルタイム対策や、地元高校と連携したロードキル意識啓発といった取り組みも各地で展開する。

北海道モデルでは多発時期・時間帯をデータで特定し路面標示を先行実施。沖縄ではカーナビ音声通知との官民連携も


昨年度のモデル地区での実施では、北海道のエゾシカについて国道36号の49.5〜58kp区間をロードキル多発区間として特定し、事故が急増する10月前に路面標示と情報板による注意喚起対策を先行実施した。

沖縄ではケナガネズミの多発区間(国道58号0〜6kp)と多発時期・時間帯を特定し、産官学の「沖縄ゆいまーるプロジェクト」によるカーナビ・路面標示での注意喚起のほか、トヨタ自動車が開発するレンタカー向け運転見守りアプリを通じた車載カーナビへのポップアップ表示・音声通知という官民連携モデルを実施した。

これらのモデル実施で得られた「時期・時間帯・場所のデータに基づいてピンポイントで対策を打つ」手法の有効性が確認されたことで、今年度からの全国展開につながった。

全国9整備局が地域固有の動物種に応じた対策を実施


今年度から全国の地方整備局等はロードキルデータベースを活用し、選定した動物種のロードキル多発区間に対して各地域の実情に応じた対策を先導的に実施していく。



北海道はエゾシカ(国道36・44号等)への路面標示・エゾシカマップ作成、東北はシカ・イノシシへの防害獣アラームや侵入防止柵、関東はシカ・犬猫への路面標記やSNS投稿、中部はニホンカモシカへのカーナビ連携、近畿は高校の課外活動を活用した意識醸成、中国・四国はタヌキ・シカへの侵入防止フェンス、九州はタヌキへの情報板設置、沖縄はヤンバルクイナ・ケナガネズミへのカーナビ音声通知・路面標示の整備などをそれぞれ推進する。

これらの対策は昨年4月の道路法改正に基づき各地方整備局が策定した「道路脱炭素化推進計画」にも位置づけられており、道路のネイチャーポジティブ推進の取り組みの一つとして展開される。







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デジコン編集部

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