コラム・特集
デジコン編集部 2023.10.11
i-Constructionの先駆者たち

2024年問題を見据えて、宮城の【石井土木】が他社向けにDXソリューション事業を開始。〜業界全体の底上げのために 〜

CONTENTS
  1. 競業より協業へ。同じ建設企業として、土木・建設業界の魅力向上を狙う
  2. 3Dレーザースキャナーを活用し、起工測量を迅速かつ正確に
  3. デジタルツインで試算やシミュレーションを効率的に
  4. 施工プランの提案からICT建機用のデータ作成も
1996年の創業以来、長きに渡り社会インフラの整備に貢献してきた、石井土木(宮城県仙台市)が、建設DXソリューションを他社向けに提供するサービスを開始した。

丁張や測量などの準備工が煩雑、関係者同士で意思疎通ができない、手戻り作業が頻発する…そんな悩みを抱える同業者に向けて、施工業者ならではのノウハウを活かし、施工性が高くローコストな最適プランを提供していくという。

具体的には、3Dレーザースキャナーを用いて取得した「現況地盤スキャンデータ」と、設計図書を基に制作した切土・盛土・仮設構造・躯体の「BIM/CIMモデル」を統合することで、施工予定地と全く同じものをデジタル空間内に出現させる「デジタルツイン」を構築し、データとして納品する。

デジタルツインを用いたトータルシミュレーションを行うことにより最適な施工プランを立案することができ、合意形成の迅速化・生産性向上・工期短縮・コスト低減・原材料のロス率減少・危険箇所や干渉部分といった不整合箇所の発見など、さまざまな効果が期待できるという。

競業より協業へ。同じ建設企業として、土木・建設業界の魅力向上を狙う


2023年度より、国土交通省直轄工事におけるBIM/CIMモデル活用が原則適用された。

この流れは地方自治体の施工案件にも遠からず波及することが予想されているが、多くの土木・建設企業では専門人材・設備が不足しており、いまだに社内環境の整備が進んでいないのが現状だ。

加えて、5年間の猶予期間が設けられていた土木・建設業界においても働き方改革が2024年4月からいよいよ導入されるため、業務効率化、生産性向上、労働環境の改善といったアプローチによる対応が急務となっている。

これらの社会的要請により、建設企業は組織としての在り様を問われる時代に突入してきた。


そこで、石井土木では、かねてから業務効率化・生産性向上の一環として取組んできた、ICT施工およびデジタルツイン制作技術を他社に提供する「DXソリューション事業」として事業化するに至った。

石井土木は今日に至るまで多くの施工現場でデジタルツイン制作を精力的に行ってきたが、その際に工事発注者、地権者、地域住民などからは「視覚的に分かりやすく、不安や疑問が払拭できた」「こんなに早く着手できるとは思わなかった」「打合せがスムーズに進んだ」といった好評の声を多数もらっていたという。

では今回、同社が提供するソリューションにはどんなものがあるのか、もう少し具体的に見ていこう。

3Dレーザースキャナーを活用し、起工測量を迅速かつ正確に


まずは、地上型3Dレーザースキャナーの活用だ。地上型3Dレーザースキャナーを使用することで、10分弱で直径数百m圏内の現況地盤を高速スキャニングし、最小1.6mm単位の正確な点群データを取得することができる。

設計の大前提となる測量を、迅速かつ正確に行うことができ、プロジェクト全体の精度が高まる。


あらゆる形状の地形に対して有効なので、急峻な山間部で危険を伴う起工測量作業が不要になる。

※基本的に3Dレーザースキャナーによる「出前測量」は弊社拠点から半径約150km圏内の企業が対象。点群データがない場合でも等高線・標高値・寸法が一通り揃った設計図書さえあればデジタルツイン制作は可能。


デジタルツインで試算やシミュレーションを効率的に


施工予定地と全く同じものをデジタル空間に出現させるのが、デジタルツインだ。

これまで多くの手間がかかっていた原料の試算や構造のシミュレーションも、詳細かつ迅速に行うことができるようになるため、プロジェクトの生産性が大幅に向上する。


切土・盛土量、1リフト毎の生コン打設量、型枠総面積、足場・支保工材料数量等の情報は全てBIM/CIMモデルに集約されているため、今まで手作業で何時間も費やしていた数量算出作業が正確かつ迅速に完遂できる。

また、納品したデジタルツインはURLさえ共有すればいつでも、どこでも、だれでも無料で、かつインストール不要のオンラインビュアーを通して全方向から閲覧することができるので、イメージ共有を図りやすくなる。

施工プランの提案からICT建機用のデータ作成も


石井土木のDXソリューションは、ただデータを納品して完了ではない。

デジタルツインをもとに施工現場で想定される危険箇所や干渉部分を発見し、フィードバックまでもしてくれるのだ。



そのうえで、自社で施工を行っているからこそ導き出せる、適切な施工プランも提案する。(※施工プランが確定するまでの間、予算に応じた回数分修正作業も含む)

また、制作したBIM/CIMモデルはファイル変換しICT建機へ取り込むことで、無丁張施工を可能とし、数百m、数kmもの施工区間に延々と丁張を掛けていく作業が不要になるので、大幅な時間短縮が期待できる。

石井土木 工事部SE・ICT担当 土田氏は今回のDXソリューション事業開始についてこう述べる。

「デジタルツインの効果を最大限発揮するため、時間の許す限り細部までこだわってモデリングしています。お客様の施工がスムーズに進行し、モデリングしたとおりのものが現場にできあがったときの達成感は筆舌に尽くしがたく、この仕事で最もやり甲斐を感じる瞬間です。 」

「3Dによる技術革新は建設業全体の省力化・効率化、利益の最大化に寄与できると確信しています。まずは、あなたの現場のDX化のサポートを、私たち石井土木にお任せください!」

DXソリューション事業を皮切りに、石井土木は今後も、デジタルツインを活用した生産的なビジネスモデルを土木・建設業界に対して明示し、啓蒙活動を行っていくことにより、「社会インフラ整備に貢献」、「建設業全体の省力化・効率化・利益最大化に寄与」、「地域社会における雇用創出」といった社会的ミッションを果たしていく。


株式会社石井土木
本社所在地:宮城県仙台市青葉区片平1-2-22
HP:https://www.ishiidoboku.co.jp


参考・画像元:石井土木プレスリリース
WRITTEN by

デジコン編集部

建設土木のICT化の情報を日々キャッチして、わかりやすく伝えていきます。
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