ICT基礎知識
高橋 奈那 2020.9.25
ICT活用工事の基礎をプロセスごとに紐解く

ICT測量の現状とは?【ICT活用工事の基礎その1】

CONTENTS
  1. 上空から広範囲を撮影する、ドローン写真測量
  2. 瞬時に地形データをとらえる、3Dレーザースキャナー測量
  3. UAVレーザースキャナー測量で、さらなる効率化を実現
    1. ICT計測によるデータは、建設現場の新しいスタンダードに
あらゆる建設業務は「調査・測量、設計、施工、検査」という一連のプロセスをたどる。本記事では、建設事業の入り口にあたる「測量」の現場で、どのようにICT技術が活用されているのかについて、紹介していく。

ICT技術が導入される以前、一般的に測量現場では「TS(トータルステーション)」と呼ばれる計測機器を使った測量が行われていた。

「点」として計測されるデータを地道に積み重ね、集計するこの測量方法は、膨大な作業時間を要するものだった。これまで「点」で行われてきた測量を、「面」で行うことで、大幅な効率化を実現したのがICT測量である。

上空から広範囲を撮影する、ドローン写真測量


“新しい建設機器”とも比喩されるUAV/ドローン(以下、ドローン)は、測量の現場にも大きな影響を与えている。 最初に紹介するのが、ドローンによる写真測量だ。

ドローンにデジタルカメラを搭載し、測量現場を上空から撮影していく。より正確な地形データを収集するため、なるべく像が重なるように撮影していくことがポイントになる。


次に大量に撮影した空中写真を、専用のソフトウェアに取り込んでいく。地形の三次元点群データやオルソ画像(空中写真のひずみを補正し、位置情報を付与した画像)を、写真画像を元に作成するためだ。

データ作成はソフトウェア内でほぼ自動的に行われるため、完成した三次元地形データを確認したら測量工程は完了する。写真測量による効率化は、測量の現場に大きな変化をもたらした。

例えば、今までは一週間を要した測量の工程を、わずか一日に削減することができるのだ。さらにその導入コストの低さも本測量法の魅力の一つである。

画期的な新技術は大手建設会社のもの、と思われるかもしれないが、すでに地方の中小建設会社でも実装が進んでいる。ドローンと小型カメラ、そしてソフトウェアの3点が揃えば誰でも始められるという手軽さは、ICT測量推進の鍵となりそうだ。

瞬時に地形データをとらえる、3Dレーザースキャナー測量


上空から地形データを測量する写真測量に対し、地上から三次元点群データを収集する、
3Dレーザースキャナーを用いた測量方法にも注目したい。

3Dレーザースキャナー測量とは、1秒間に数千〜数十万発ものレーザー光を照射する3Dレーザースキャナーを測定対象に照射し、反射光の時間差を元に測定対象の形状を計測する方法である。


これまで使用されてきた計測機器「TS(トータルステーション)」も、レーザー照射を用いた計測方法だが、一度の照射で得られるデータが「単点」に留まっていた。しかし、3Dレーザースキャナーを用いた測量の場合、広範囲の点群データを「面的」に同時計測することができるため、短時間でより広範囲の測量が可能になったのである。

UAVレーザースキャナー測量で、さらなる効率化を実現


ドローンによる測量と3Dレーザースキャナー測量、二つの特性を両立する新たな測量法が、UAV3Dレーザースキャナー測量法。

使用するのは小型の3Dレーザースキャナー、高精度GNSS(GPSなどの衛星を用いた測位システム)そして加速度を計測するIMU(慣性計測装置)などの機器を搭載したドローン。上空から地上にレーザー光を照射し、広範囲の地形データを瞬時に計測していく方法だ。


レーザーを用いれば、写真測量時に障害物となる生い茂った樹木などもすり抜け、地上面の三次元座標を取得することができる。さらにこの技術を応用すれば水中の地形データを測量することも可能になる。

川底や海辺の岩場といった人の立ち入りが困難な水中や、高所や急斜面など測量時に危険性を伴う場所。そして測量に際して大量の樹木伐採を要する森林部など、これまで困難・不可能と考えられてきた場所の測量も、問題なく行うことができる。

またこれらのドローンを活用した測量法は、災害対策の観点からも注目が集まっている。すでに土砂災害発生時の地形データ測定や、河川氾濫時のシミュレーション作成といった災害対策の分野でも活用が進められている。

ICT計測によるデータは、建設現場の新しいスタンダードに


これらの測量から得られた三次元データは、文字通りその後に続く設計や建設といった工程の土台となるものである。

例えば三次元データにアクセスすれば、測量後すぐに必要な材料の総量を確認することができる。また、このデータを活用すれば建設機器を半自動で運転するといった情報化施工も可能になる。BIM/CIM化が進むことで、土木・建設工事の完了後も、メンテナンスでも役立てていくこともできるのだ。

ICT技術を導入する土木・建設会社は増加の一途を辿っており、ICT測量が新しいスタンダードとして定着し始めている。
WRITTEN by

高橋 奈那

神奈川県生まれのコピーライター。コピーライター事務所アシスタント、広告制作会社を経て、2020年より独立。企画・構成からコピーライティング・取材執筆など、ライティング業務全般を手がける。学校法人や企業の発行する広報誌やオウンドメディアといった、広告主のメッセージをじっくり伝える媒体を得意とする。

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