コラム・特集
土木・建設業界関係者が大注目【CSPI-EXPO 2023レポート】〜 建設DX・i-Constructionなど業界の未来を担うソリューションが一堂に集結!〜
- イクシス / ワイヤ吊下型写真撮影式点検ロボットRope Stroller
- ミルトス / iQ3 Connect
- エウレカ/オービジョン
- 日立ソリューションズ/DatuBIM(ダチュビム)
- アイテムワン:煤殺し
- ジオ・サーチ/ スケルカDper
- 7MBクラッシャージャパン / 各建機アタッチメント
- ホロラボ /mixpace 新機能「埋設表現機能」
- セーフィー / ポケット2 ポケット2プラス
- ARAV / 遠隔操作model V
- エアロセンス / エアロボウイング レーザースキャナ搭載モデル
- タイトレック 道路プランくん3D
- ローカスブルー / スキャン・エックス
- CSPI-EXPO2023 フォトギャラリー
2023年5月24日(水)〜26日(金)の3日間、「建設・測量生産性向上展 CSPI-EXPO2023」が幕張メッセで開催された。
土木・建設系のテクノロジーの最先端が集まる、国内最大級の展示会として、毎年業界の注目を集めるCSPI-EXPO。5回目の開催となる今年は、会場の規模をさらに拡大し、前回を上回る数の出展企業が集結。
会場を訪れた来場者数も44,678名にのぼり、業界への期待度の高まりを肌で感じる3日間となった。出展企業と来場者が共通して抱いている“現場の生産性を上げたい”"魅力ある業界にしていきたい”という想い。
それを体現した個性的なプロダクトが集う出展ブースから、デジコン編集部が注目した11のプロダクトを紹介していく。
高所や足場の不安定な現場では、作業員の代わりに現場をチェックするロボットが活躍する。ドローンの活用が広まる以前から、橋梁などの高所で行われる点検作業を遠隔で行ってきたのが、ワイヤ架設式点検ロボットだ。
ワイヤ架設式とは、視線センサを搭載したロボットが検査対象箇所の撮影を行う方法を指す。
しかし、6軸センサを搭載したRope Strollerなら、撮影可能範囲を大幅に広げることが可能だ。
撮影には使用するのは、汎用的なデジタル一眼レフやコンパクトデジタルカメラと、高価な検査機器などが不要な点も魅力の一つ。
ワイヤを伝いロープウェーのように移動しながら撮影を行うのだが、これまでは、ロボットの移動が水平・垂直方向に制限されるため、撮影できる箇所が限定されていた。
撮影と同時に位置情報を取得できるため、画像ファイルを加工・処理する際の図面との紐づけがスムーズにできる。これまで限定されてきたワイヤ架設式点検ロボットの利用シーンが広がり、ドローンに次ぐ選択肢として選ばれる場面も増えそうだ。
近年、急速に普及したテレワークという新しい働き方。このプロダクトを知れば、まだテレワークに積極的でない企業でも、オンラインでの働き方を検討したくなるはずだ。
iQ3 Connectは、ファイルをクラウド上で一元管理し、資料を閲覧しながらオンライン会議もできる業務支援ツール。
どこからでも膨大な数の図面や資料・データにインターネットブラウザを介してアクセスできる。CADモデルやスキャンデータ、メッシュデータもオンライン上で実寸表示可能だ。ハイスペックPCも必要なければ、専用のソフトウェアの購入も必要ない。
さらにiQ3 Connectでは、オンラインミーティング機能が利用できる。
仮想ワークスペース上で写真や図面・動画などのデータを確認したり、アバターを利用して3Dモデル上を自由に移動しながら確認作業できるので、現地を歩き回りながら検査・確認をしているのと同じ感覚で、データをチェックできるのだ。
3Dモデル上で特定の地点の計測をしたり、ホワイトボードを立ち上げ記録をとりながら打ち合わせができるので、オンライン特有の不便さを感じることなく、いつもどおりに仕事ができる。
iQ3 Connect はVRゴーグルにも対応しているので、装着すればさらに没入感が高まり、本当に現場にいるかのような感覚で業務にあたれるのではないだろうか。
現場作業員の安全確保を徹底したいが、人手不足のため専任の管理者を確保できない、という悩みを抱える担当者に朗報だ。
建機を後付けでICT建機化するソリューションなどを扱うエウレカが、現場の安全管理を効率化するプロダクト「オービジョン」を開発した。
オービジョンを建機に取付ければ、作業に当たっている技術者本人が、安全管理を兼任できるかもしれない。
オービジョンの仕組みはシンプルだ。建機に後付で設置した3台のカメラが作業員の位置から左うしろ・真うしろ・右うしろの270°範囲内をクリアな映像でとらえ、作業範囲内への人の侵入を察知するというもの。
高精度AI、萩原エレクトロニクス社製のサラウンドビューAIヒト検知システム(SVM検知システム)を搭載しており、4.5mの範囲内への人の立ち入りを検知した瞬間、ディスプレイ上に赤いフレームが出現。
同時にアラート音を発して、すぐに危険を知らせるので、たとえ作業に集中していても音と映像で危険を察知できる。
また、現場に設置するタイプのシステムの場合は、作業箇所・内容や危険区域が変化するたびに設置し直す手間が発生したが、建機に直接設置することで、設置し直す手間も削減できるだろう。
このブースで紹介されているのは、ドローン測量をもっと便利に使いこなすためのソリューション「ダチュビム」だ。
ドローン測量の導入を検討する事業者が最初につまずくのが、測量後にやらなければいけないデータ処理・加工作業というハードルだろう。
多くの工数がかかる上に、ソフトウェアの操作を習得するための時間も必須になる。一時的に業務負担が増えるため、導入に踏み切れないという事業所も多いのではないだろうか。
しかしオンライン上で3Dデータを作成できるダチュビムなら、ドローン測量の恩恵をすぐに享受できる。
ファイルの処理・加工に特別なスキルは必要ない。撮影した空撮画像をブラウザーからクラウドへアップするだけで、あとはシステムが点群やオルソ画像といった3次元データを自動で作成してくれる。
撮影時に「標定点」や「検証点」を設定していれば、座標や位置情報を簡単に付与することも可能だ。
たとえば、一日の作業を終えた時点で現場の空撮画像を撮影し、自宅もしくは事務所に戻ってから画像をクラウドにアップロードするだけで、日々の進捗管理記録を簡単に残す、といった使い方もできる。
すべての情報や履歴はクラウド上で管理されているため、スムーズにデータを探したり、関係各社へ共有できる点もうれしいポイントだろう。
デジコンの取材記事はこちら
海外での導入実績も多く、国内でもメインソフトとして広まっていく可能性が高い。いま最も注目を集めているプロダクトの一つだろう。
業務効率化ツールは、ICTに焦点を充てたものが大半を占めるが、生産性向上を実現するための鍵となるのは、徹底した無駄の削減と言えるのではないだろうか。
そういった意味ですでに大きな成果をあげているプロダクトが、この「煤殺し」だ。建機や大型ダンプカーなどに採用されているディーゼルエンジンは、その特性上、煤焼きとは切っても切り離せない。
たとえ土砂の運搬中や掘削作業中であっても、煤焼きがはじまれば、作業を止めざるを得ない。
定期的に煤殺しを使用したメンテナンスを行えばれ、こうした煤焼きが原因となる待ち時間を減らし、工程のズレなどを最小限におさえる効果が期待できるというのだ。
商品は大きく分けて、エンジン洗浄の赤とDPF燃焼強化剤の青、そしてその両方のメリットをあわせもつ極の3タイプが展開されている。
使い方は、給油時にガソリンとともに「煤殺しを」注ぎ入れるだけなので、特別なスキルは一切不要。
走るだけで煤を焼いてくれるので、煤焼きの時間を1/3までに削減。煤をメンテナンスすることで、部品交換費などの修理費用を1/40まで削減できるという。日常的に発生する黒煙が減るので、作業環境の改善効果も期待できそうだ。
道路の陥没事故が発生すると、危険が及ぶばかりか、地中に埋まっている水道管などインフラ設備にまでダメージが広がり、被害は甚大なものとなってしまう。
このような事故は、なんと年間9,000件も発生しているというから驚きだ。こうした事故を未然に防ぎ被害を最小限に抑えるため、スケルカDperのような陥没予防調査車両が存在する。
ジオ・サーチの手掛ける調査車両は、電子レンジと同じマイクロ波を照射することで、路面下の空洞を調査する。スケルカDperは、最高時速100kmで走行しながら、深度3.0kmまでの調査が可能になったモデルだ。普段目の届かない以上を広域の以上を発見してくれる、頼もしいパートナーといえるだろう。
イタリアに本社を構えるMBのこのセットは、一台の油圧ショベルをとことん使いこなすツールだ。
使い方は、油圧ショベルのアームの先に装着されている掘削用のバケットを取り外し、別の機能をもつアタッチメントに付け替えるだけ。
いたってシンプルだが、これまで掘削作業にしか活用していなかった油圧ショベルを、何通りにも変身させることができるプロダクト。
アタッチメントには、バケットクラッシャー、スクリーンバケット、グラップル、ツインヘッダーなどがあり、これだけでも解体工事や土壌改良、採石作業など活用現場は幅広い。
アタッチメントの素材には、厳しい現場条件下の仕様にも耐えうるHARDOX(ハルドックス)を採用しているので、余程のことがない限り、頻繁な修理・交換等は不要だろう。
足場の不安定な山間部、樹林帯での活用や、大型建機の搬入が難しい小規模現場などでの活用に利便性を発揮するのではないだろうか。
地中埋設物の扱いは、土木・建設業界共通の課題の一つ。
これまでも地中埋設物の位置をリアルタイムに把握するプロダクトは存在したが、実際の埋設物と比較して小さく表示されたり位置がずれるなど、実用にはまだまだ課題の残る分野だった。
それらの課題を払拭し、大きさや位置を正しくAR表示するプロダクトとして新たに登場したのがこちらだ。
LiDARセンサーを活用したオクルージョン機能により、埋設物の前に遮蔽物がある場合も、現実に近い形でAR表示されるようになった。
埋設物の把握により、掘削作業中の事故リスクを軽減するだけでなく、工事に携わる関係者間で埋設物の位置関係や形状の認識を共有できるため、事前に課題や工数の共有が図れるようになる。
この技術は、もともと3D CADやBIM/CIM分野のファイルを自動でAR・MRに変換するmixpaceの「埋設表現技術」として利用できるものだ。
地中埋設物の状況を把握できるだけでなく、地中の状況を関係者全員が直感的に理解できるファイルに変換できれば、現場作業員と現場以外にいる関係者との認識のズレをなくし、プロジェクト全体の円滑化に役立つだろう。
土木・建設現場に最適化されたインカムがこちら。
主な機能は、音声・動画通話を利用した遠隔コミュニケーションと、現場のライブストリーミング映像の録画だ。カバーを下ろすだけ録画が開始されるので、ボタン操作などは不要だ。録画中にフルHD写真の撮影も可能なので、確認・共有と報告用の資料を一度に用意できる。
重さは180gと超軽量。作業着に装着したり、三脚やクリップを使って現場に固定するなど、設置方法はさまざま。
バッテリー駆動時間は8時間と充分にあり、防水性能や動作温度も申し分ない。屋外での作業でも問題なく使用できるだろう。
位置情報を映像に紐づけ、地図上で確認できるので、通話中に作業者の正確な位置を確認しながら指示・検査がができる。さらには、報告書や工数の見直しにも役立てられるだろう
Pokcet とPokcet Plus 2タイプあり、上位モデルは手ぶれ補正やズーム機能などカメラ機能が充実しているほか、ヘッドセットなどの付属品が予めパッケージ化されているそうだ。
国交省が示した「建設現場に置ける遠隔臨場に関する実施要領」に示された「動画撮影用カメラとWeb会議システム等に関する参考値」に記載されている仕様をカバーしており、すでに多くの現場で活用が広まっているそうだ。
東大発のスタートアップ企業、ARAV株式会社のブースで展示されていたこちらのボックス。これさえあれば、さまざまな建設機械を遠隔操作対応建機にバージョンアップすることができる。
必要なものはすべてこの中にパッケージ化されているので、これを建機の足元に設置すれば、準備は完了だ。建機側にセットするボックスからは、操作に使うペダルやハンドルに直接接続するアームが伸びている。
対応する建機は幅広く、およそ20年以上前の建機にも設置が可能。
操作にも特別なデバイスは使わず、スマホやタブレット、ノートPCなどで対応できるのも大きな特徴だ。使用する通信回線は3GやLTE通信なので、5G対応端末でなくても構わない。
操作にはゲーム用のコントローラーやジョイスティックが便利だが、端から見ればゲームをやっているようにしか見えないだろう。しかし、操作しているのは現実にある建機で、1,000km以上離れた場所にある土砂の撤去作業中、なんて働き方が実現するかもしれない。
なめらかな流線型のこの機体は、長距離の点検・巡視・調査、広域測量に活用できるドローンだ。
最長50km、最速100km/時速の高速飛行ができ、40分程度の連続飛行ができる。レーザースキャナ搭載モデルは、200haの広さをわずか30分で測量できるという実力派だ。
これまでドローン活用の分野には、バッテリーの充電切れがネックとなり、活用の場は限定されていた。
しかし、エアロボウイングの登場により高速飛行が可能になったことで、山間部の点検や河川などの測量調査への活用が期待できる。
さらに、1kgまでの軽量物資なら運べるポテンシャルを持っているため、防災・減災時にも重宝されそうだ。災害発生時、レーザースキャナによる被災状況の早期把握と同時に被災地への物資を運搬することもできる。これまでにないパワフルな機体、あらゆる現場での活躍が期待できそうだ。
i-Construction/インフラDX推進のため、現場経験の浅い若手作業員を支援するツールは数多くあるが、現場経験が豊富でもデジタルデバイスの扱いに不慣れな熟練技術者の目線にたったソリューションはそこまで多くはない。
道路プランくん3Dは、高齢の技術者やPC操作が苦手な方でも、指でなぞるだけで三次元の道路設計ができるアプリケーションだ。
新たにソフトウェアの操作やファイルの扱いなどを学ぶ手間なく、直感的な操作で道路計画案の作成ができ、設計した道路はリアルタイムで表示されていくので、その場でルート検討、比較、概算数量の把握もできる。
さらに、道路プランくん3Dで作成したデータを、MG用の設計図としても利用できるというから驚きだ。すでにいくつものソフトウェアを駆使して三次元設計図を作成している方も、この便利さには惹かれるのではないだろうか。
建設DX関連の展示会では、お馴染みの顔になりつつある株式会社ローカスブルーのオンライン点群処理ソフトウェア「スキャン・エックス」。
スキャン・エックスでの点群データの処理は、同時に複数人で、しかも別の現場のデータであっても同時に加工・処理できる。
他ソフトウェアの場合、社内で1つのアカウントしか契約していないと、誰かが使っている間は作業ができない…というケースはあるあるだ。
順番待ちをしている間に作業が滞り、結局就労時間が伸びてしまっては本末転倒。その点、スキャン・エックスは複数人で同時作業ができるため、かなり現場目線に立ったサービスだと言えるだろう。
3次元スマホ測量アプリ「OPTIM Geo Scan」との連携をも行っており、3次元測量からデータ処理、点群の加工までの一連の作業を効率化してくれる。
スキャン・エックスは現場ニーズに即した点が評価され、令和3年 i-Construction大賞において、国土交通大臣賞を受賞。NETIS登録、工事成績表定点の加算対象となっている。
安価で導入ハードルも低く、かつパフォーマンスも申し分ないスキャン・エックス。ICTの入門として始めやすくもあり、3次元点群データを扱いなれた中級〜上級のICT技術者にも選ばれる、確かな品質のプロダクトだ。
土木・建設系のテクノロジーの最先端が集まる、国内最大級の展示会として、毎年業界の注目を集めるCSPI-EXPO。5回目の開催となる今年は、会場の規模をさらに拡大し、前回を上回る数の出展企業が集結。
会場を訪れた来場者数も44,678名にのぼり、業界への期待度の高まりを肌で感じる3日間となった。出展企業と来場者が共通して抱いている“現場の生産性を上げたい”"魅力ある業界にしていきたい”という想い。
それを体現した個性的なプロダクトが集う出展ブースから、デジコン編集部が注目した11のプロダクトを紹介していく。
イクシス / ワイヤ吊下型写真撮影式点検ロボットRope Stroller
高所や足場の不安定な現場では、作業員の代わりに現場をチェックするロボットが活躍する。ドローンの活用が広まる以前から、橋梁などの高所で行われる点検作業を遠隔で行ってきたのが、ワイヤ架設式点検ロボットだ。
ワイヤ架設式とは、視線センサを搭載したロボットが検査対象箇所の撮影を行う方法を指す。
しかし、6軸センサを搭載したRope Strollerなら、撮影可能範囲を大幅に広げることが可能だ。
撮影には使用するのは、汎用的なデジタル一眼レフやコンパクトデジタルカメラと、高価な検査機器などが不要な点も魅力の一つ。
ワイヤを伝いロープウェーのように移動しながら撮影を行うのだが、これまでは、ロボットの移動が水平・垂直方向に制限されるため、撮影できる箇所が限定されていた。
撮影と同時に位置情報を取得できるため、画像ファイルを加工・処理する際の図面との紐づけがスムーズにできる。これまで限定されてきたワイヤ架設式点検ロボットの利用シーンが広がり、ドローンに次ぐ選択肢として選ばれる場面も増えそうだ。
ミルトス / iQ3 Connect
近年、急速に普及したテレワークという新しい働き方。このプロダクトを知れば、まだテレワークに積極的でない企業でも、オンラインでの働き方を検討したくなるはずだ。
iQ3 Connectは、ファイルをクラウド上で一元管理し、資料を閲覧しながらオンライン会議もできる業務支援ツール。
どこからでも膨大な数の図面や資料・データにインターネットブラウザを介してアクセスできる。CADモデルやスキャンデータ、メッシュデータもオンライン上で実寸表示可能だ。ハイスペックPCも必要なければ、専用のソフトウェアの購入も必要ない。
さらにiQ3 Connectでは、オンラインミーティング機能が利用できる。
仮想ワークスペース上で写真や図面・動画などのデータを確認したり、アバターを利用して3Dモデル上を自由に移動しながら確認作業できるので、現地を歩き回りながら検査・確認をしているのと同じ感覚で、データをチェックできるのだ。
3Dモデル上で特定の地点の計測をしたり、ホワイトボードを立ち上げ記録をとりながら打ち合わせができるので、オンライン特有の不便さを感じることなく、いつもどおりに仕事ができる。
iQ3 Connect はVRゴーグルにも対応しているので、装着すればさらに没入感が高まり、本当に現場にいるかのような感覚で業務にあたれるのではないだろうか。
エウレカ/オービジョン
現場作業員の安全確保を徹底したいが、人手不足のため専任の管理者を確保できない、という悩みを抱える担当者に朗報だ。
建機を後付けでICT建機化するソリューションなどを扱うエウレカが、現場の安全管理を効率化するプロダクト「オービジョン」を開発した。
オービジョンを建機に取付ければ、作業に当たっている技術者本人が、安全管理を兼任できるかもしれない。
オービジョンの仕組みはシンプルだ。建機に後付で設置した3台のカメラが作業員の位置から左うしろ・真うしろ・右うしろの270°範囲内をクリアな映像でとらえ、作業範囲内への人の侵入を察知するというもの。
高精度AI、萩原エレクトロニクス社製のサラウンドビューAIヒト検知システム(SVM検知システム)を搭載しており、4.5mの範囲内への人の立ち入りを検知した瞬間、ディスプレイ上に赤いフレームが出現。
同時にアラート音を発して、すぐに危険を知らせるので、たとえ作業に集中していても音と映像で危険を察知できる。
また、現場に設置するタイプのシステムの場合は、作業箇所・内容や危険区域が変化するたびに設置し直す手間が発生したが、建機に直接設置することで、設置し直す手間も削減できるだろう。
日立ソリューションズ/DatuBIM(ダチュビム)
このブースで紹介されているのは、ドローン測量をもっと便利に使いこなすためのソリューション「ダチュビム」だ。
ドローン測量の導入を検討する事業者が最初につまずくのが、測量後にやらなければいけないデータ処理・加工作業というハードルだろう。
多くの工数がかかる上に、ソフトウェアの操作を習得するための時間も必須になる。一時的に業務負担が増えるため、導入に踏み切れないという事業所も多いのではないだろうか。
しかしオンライン上で3Dデータを作成できるダチュビムなら、ドローン測量の恩恵をすぐに享受できる。
ファイルの処理・加工に特別なスキルは必要ない。撮影した空撮画像をブラウザーからクラウドへアップするだけで、あとはシステムが点群やオルソ画像といった3次元データを自動で作成してくれる。
撮影時に「標定点」や「検証点」を設定していれば、座標や位置情報を簡単に付与することも可能だ。
たとえば、一日の作業を終えた時点で現場の空撮画像を撮影し、自宅もしくは事務所に戻ってから画像をクラウドにアップロードするだけで、日々の進捗管理記録を簡単に残す、といった使い方もできる。
すべての情報や履歴はクラウド上で管理されているため、スムーズにデータを探したり、関係各社へ共有できる点もうれしいポイントだろう。
デジコンの取材記事はこちら
海外での導入実績も多く、国内でもメインソフトとして広まっていく可能性が高い。いま最も注目を集めているプロダクトの一つだろう。
アイテムワン:煤殺し
業務効率化ツールは、ICTに焦点を充てたものが大半を占めるが、生産性向上を実現するための鍵となるのは、徹底した無駄の削減と言えるのではないだろうか。
そういった意味ですでに大きな成果をあげているプロダクトが、この「煤殺し」だ。建機や大型ダンプカーなどに採用されているディーゼルエンジンは、その特性上、煤焼きとは切っても切り離せない。
たとえ土砂の運搬中や掘削作業中であっても、煤焼きがはじまれば、作業を止めざるを得ない。
定期的に煤殺しを使用したメンテナンスを行えばれ、こうした煤焼きが原因となる待ち時間を減らし、工程のズレなどを最小限におさえる効果が期待できるというのだ。
商品は大きく分けて、エンジン洗浄の赤とDPF燃焼強化剤の青、そしてその両方のメリットをあわせもつ極の3タイプが展開されている。
使い方は、給油時にガソリンとともに「煤殺しを」注ぎ入れるだけなので、特別なスキルは一切不要。
走るだけで煤を焼いてくれるので、煤焼きの時間を1/3までに削減。煤をメンテナンスすることで、部品交換費などの修理費用を1/40まで削減できるという。日常的に発生する黒煙が減るので、作業環境の改善効果も期待できそうだ。
ジオ・サーチ/ スケルカDper
道路の陥没事故が発生すると、危険が及ぶばかりか、地中に埋まっている水道管などインフラ設備にまでダメージが広がり、被害は甚大なものとなってしまう。
このような事故は、なんと年間9,000件も発生しているというから驚きだ。こうした事故を未然に防ぎ被害を最小限に抑えるため、スケルカDperのような陥没予防調査車両が存在する。
ジオ・サーチの手掛ける調査車両は、電子レンジと同じマイクロ波を照射することで、路面下の空洞を調査する。スケルカDperは、最高時速100kmで走行しながら、深度3.0kmまでの調査が可能になったモデルだ。普段目の届かない以上を広域の以上を発見してくれる、頼もしいパートナーといえるだろう。
7MBクラッシャージャパン / 各建機アタッチメント
イタリアに本社を構えるMBのこのセットは、一台の油圧ショベルをとことん使いこなすツールだ。
使い方は、油圧ショベルのアームの先に装着されている掘削用のバケットを取り外し、別の機能をもつアタッチメントに付け替えるだけ。
いたってシンプルだが、これまで掘削作業にしか活用していなかった油圧ショベルを、何通りにも変身させることができるプロダクト。
アタッチメントには、バケットクラッシャー、スクリーンバケット、グラップル、ツインヘッダーなどがあり、これだけでも解体工事や土壌改良、採石作業など活用現場は幅広い。
アタッチメントの素材には、厳しい現場条件下の仕様にも耐えうるHARDOX(ハルドックス)を採用しているので、余程のことがない限り、頻繁な修理・交換等は不要だろう。
足場の不安定な山間部、樹林帯での活用や、大型建機の搬入が難しい小規模現場などでの活用に利便性を発揮するのではないだろうか。
ホロラボ /mixpace 新機能「埋設表現機能」
地中埋設物の扱いは、土木・建設業界共通の課題の一つ。
これまでも地中埋設物の位置をリアルタイムに把握するプロダクトは存在したが、実際の埋設物と比較して小さく表示されたり位置がずれるなど、実用にはまだまだ課題の残る分野だった。
それらの課題を払拭し、大きさや位置を正しくAR表示するプロダクトとして新たに登場したのがこちらだ。
LiDARセンサーを活用したオクルージョン機能により、埋設物の前に遮蔽物がある場合も、現実に近い形でAR表示されるようになった。
埋設物の把握により、掘削作業中の事故リスクを軽減するだけでなく、工事に携わる関係者間で埋設物の位置関係や形状の認識を共有できるため、事前に課題や工数の共有が図れるようになる。
この技術は、もともと3D CADやBIM/CIM分野のファイルを自動でAR・MRに変換するmixpaceの「埋設表現技術」として利用できるものだ。
地中埋設物の状況を把握できるだけでなく、地中の状況を関係者全員が直感的に理解できるファイルに変換できれば、現場作業員と現場以外にいる関係者との認識のズレをなくし、プロジェクト全体の円滑化に役立つだろう。
セーフィー / ポケット2 ポケット2プラス
土木・建設現場に最適化されたインカムがこちら。
主な機能は、音声・動画通話を利用した遠隔コミュニケーションと、現場のライブストリーミング映像の録画だ。カバーを下ろすだけ録画が開始されるので、ボタン操作などは不要だ。録画中にフルHD写真の撮影も可能なので、確認・共有と報告用の資料を一度に用意できる。
重さは180gと超軽量。作業着に装着したり、三脚やクリップを使って現場に固定するなど、設置方法はさまざま。
バッテリー駆動時間は8時間と充分にあり、防水性能や動作温度も申し分ない。屋外での作業でも問題なく使用できるだろう。
位置情報を映像に紐づけ、地図上で確認できるので、通話中に作業者の正確な位置を確認しながら指示・検査がができる。さらには、報告書や工数の見直しにも役立てられるだろう
Pokcet とPokcet Plus 2タイプあり、上位モデルは手ぶれ補正やズーム機能などカメラ機能が充実しているほか、ヘッドセットなどの付属品が予めパッケージ化されているそうだ。
国交省が示した「建設現場に置ける遠隔臨場に関する実施要領」に示された「動画撮影用カメラとWeb会議システム等に関する参考値」に記載されている仕様をカバーしており、すでに多くの現場で活用が広まっているそうだ。
ARAV / 遠隔操作model V
東大発のスタートアップ企業、ARAV株式会社のブースで展示されていたこちらのボックス。これさえあれば、さまざまな建設機械を遠隔操作対応建機にバージョンアップすることができる。
必要なものはすべてこの中にパッケージ化されているので、これを建機の足元に設置すれば、準備は完了だ。建機側にセットするボックスからは、操作に使うペダルやハンドルに直接接続するアームが伸びている。
対応する建機は幅広く、およそ20年以上前の建機にも設置が可能。
操作にも特別なデバイスは使わず、スマホやタブレット、ノートPCなどで対応できるのも大きな特徴だ。使用する通信回線は3GやLTE通信なので、5G対応端末でなくても構わない。
操作にはゲーム用のコントローラーやジョイスティックが便利だが、端から見ればゲームをやっているようにしか見えないだろう。しかし、操作しているのは現実にある建機で、1,000km以上離れた場所にある土砂の撤去作業中、なんて働き方が実現するかもしれない。
エアロセンス / エアロボウイング レーザースキャナ搭載モデル
なめらかな流線型のこの機体は、長距離の点検・巡視・調査、広域測量に活用できるドローンだ。
最長50km、最速100km/時速の高速飛行ができ、40分程度の連続飛行ができる。レーザースキャナ搭載モデルは、200haの広さをわずか30分で測量できるという実力派だ。
これまでドローン活用の分野には、バッテリーの充電切れがネックとなり、活用の場は限定されていた。
しかし、エアロボウイングの登場により高速飛行が可能になったことで、山間部の点検や河川などの測量調査への活用が期待できる。
さらに、1kgまでの軽量物資なら運べるポテンシャルを持っているため、防災・減災時にも重宝されそうだ。災害発生時、レーザースキャナによる被災状況の早期把握と同時に被災地への物資を運搬することもできる。これまでにないパワフルな機体、あらゆる現場での活躍が期待できそうだ。
タイトレック 道路プランくん3D
i-Construction/インフラDX推進のため、現場経験の浅い若手作業員を支援するツールは数多くあるが、現場経験が豊富でもデジタルデバイスの扱いに不慣れな熟練技術者の目線にたったソリューションはそこまで多くはない。
道路プランくん3Dは、高齢の技術者やPC操作が苦手な方でも、指でなぞるだけで三次元の道路設計ができるアプリケーションだ。
新たにソフトウェアの操作やファイルの扱いなどを学ぶ手間なく、直感的な操作で道路計画案の作成ができ、設計した道路はリアルタイムで表示されていくので、その場でルート検討、比較、概算数量の把握もできる。
さらに、道路プランくん3Dで作成したデータを、MG用の設計図としても利用できるというから驚きだ。すでにいくつものソフトウェアを駆使して三次元設計図を作成している方も、この便利さには惹かれるのではないだろうか。
ローカスブルー / スキャン・エックス
建設DX関連の展示会では、お馴染みの顔になりつつある株式会社ローカスブルーのオンライン点群処理ソフトウェア「スキャン・エックス」。
スキャン・エックスでの点群データの処理は、同時に複数人で、しかも別の現場のデータであっても同時に加工・処理できる。
他ソフトウェアの場合、社内で1つのアカウントしか契約していないと、誰かが使っている間は作業ができない…というケースはあるあるだ。
順番待ちをしている間に作業が滞り、結局就労時間が伸びてしまっては本末転倒。その点、スキャン・エックスは複数人で同時作業ができるため、かなり現場目線に立ったサービスだと言えるだろう。
3次元スマホ測量アプリ「OPTIM Geo Scan」との連携をも行っており、3次元測量からデータ処理、点群の加工までの一連の作業を効率化してくれる。
スキャン・エックスは現場ニーズに即した点が評価され、令和3年 i-Construction大賞において、国土交通大臣賞を受賞。NETIS登録、工事成績表定点の加算対象となっている。
安価で導入ハードルも低く、かつパフォーマンスも申し分ないスキャン・エックス。ICTの入門として始めやすくもあり、3次元点群データを扱いなれた中級〜上級のICT技術者にも選ばれる、確かな品質のプロダクトだ。
CSPI-EXPO2023 フォトギャラリー
WRITTEN by
高橋 奈那
神奈川県生まれのコピーライター。コピーライター事務所アシスタント、広告制作会社を経て、2020年より独立。企画・構成からコピーライティング・取材執筆など、ライティング業務全般を手がける。学校法人や企業の発行する広報誌やオウンドメディアといった、広告主のメッセージをじっくり伝える媒体を得意とする。