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国交省発表「i-Construction 2.0」2025年度の取組予定を解説!〜 建設現場のオートメーション化による省人化(生産性向上)加速へ!~

日本の建設業界は今、大きな変革の時を迎えている。労働力不足や高齢化という課題に直面する一方で、テクノロジーの進化が新たな可能性を開きつつある。
そんな中、国土交通省は「i-Construction 2.0」の2025年度の取組予定をまとめた。
これは建設現場のオートメーション化による省人化(生産性向上)を目指す取り組みだ。
2040年までに建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性を1.5倍向上させることを目標としている。
今回は、このi-Construction 2.0の概要と2025年度に予定されている取り組みについて分かりやすく解説していく。
そもそもi-Constructionは、国土交通省が2016年に開始した、建設現場の生産性向上を目指す取り組みだ。
建設現場の建設プロセスにおいて、ICT(情報通信技術)を全面的に導入することで生産性向上を図ってきた。
そして2024年、「i-Construction 2.0」として深化させている。

これは単なる技術導入にとどまらず、建設現場のオートメーション化に重点を置いた取り組みだ。
少子高齢化による生産年齢人口の減少や、災害の激甚化・頻発化、インフラの老朽化など、社会情勢の変化に対応するためである。
AIをはじめとするデジタル技術の進展を活かし、データとデジタル技術を駆使して建設現場のオートメーション化を目指している。
i-Construction 2.0では、以下の3つの柱を中心に取り組みが進められている。
これらを通じて、建設現場で働く一人ひとりが創出する価値を向上させ、少ない人数で、安全に、快適な環境で働く生産性の高い建設現場の実現を目指している。
2024年度は実現場における試行工事を4件実施し、「安全ルール」を改定。
2025年度はさらに試行工事を実施するとともに、取組の対象を拡大する予定だ。
具体的には……
また、遠隔施工の推進も重要な取り組みの一つだ。
2024年度は国土交通省発注工事において21件の工事で遠隔施工を実施。

2025年度は、さらなる遠隔施工の実施に向け、工事発注に関するルールを策定する予定である。

人材育成にも力を入れており、自動施工や現場に関する幅広い知識を持ち、中小の建設企業への自動施工の導入を支援する人材(自動施工コーディネーター)を育成する。
2025年度からは人材育成プログラムを実施予定だ。
この分野では、BIM/CIMを活用したデジタルデータの最大限の活用を図るとともに、現場データの活用による書類削減(ペーパーレス化)・施工管理の高度化、検査の効率化を進める。

2025年度の主な取り組みとしては……
これらの取り組みにより、建設現場のペーパーレス化とシームレスなデータ共有・連携を実現することを目指している。
オートメーション化を進めても、建設現場に人の介在は不可欠だ。
そこで、働き方改革の推進も必須となる。3Dプリンタも含めプレキャスト部材の活用や施工管理、監督・検査等のリモート化を実現することで、現場作業を省力化するなど、建設現場のリモート化・オフサイト化を推進する。

2025年度は、施工段階で作成した3次元モデルや出来形管理図表をAR技術を用いて現地へ投影する取り組みを強化。
これにより、視覚的に出来形の良否を把握しやすくなり、出来形管理図表が不要になる(ペーパーレス化)というメリットがある。

他にも、AIを活用した海底測量の省力化や、海上工事における自動・自律化施工の取り組みなど、様々な施工管理の効率化が計画されている。
i-Construction 2.0の取り組みによる成果も出始めている。
i-Construction 2.0は、日本の建設業界が直面する労働力不足や生産性向上の課題に対する具体的な解決策として期待されている。
2025年度の取り組みでは、自動施工技術の拡大や、BIM/CIMを活用したデータ連携の強化、ARなどのデジタル技術による施工管理の効率化などが予定されている。
これらの取り組みにより、2040年までに建設現場の生産性を1.5倍に向上させるという目標の達成に向けて着実に前進しているといえるだろう。
建設現場のデジタル化・オートメーション化は、単に人手不足を解消するだけでなく、安全性の向上や働き方改革の推進にもつながる重要な取り組みだ。今後の展開に注目していきたい。
そんな中、国土交通省は「i-Construction 2.0」の2025年度の取組予定をまとめた。
これは建設現場のオートメーション化による省人化(生産性向上)を目指す取り組みだ。
2040年までに建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性を1.5倍向上させることを目標としている。
今回は、このi-Construction 2.0の概要と2025年度に予定されている取り組みについて分かりやすく解説していく。
i-Construction 2.0とは
そもそもi-Constructionは、国土交通省が2016年に開始した、建設現場の生産性向上を目指す取り組みだ。
建設現場の建設プロセスにおいて、ICT(情報通信技術)を全面的に導入することで生産性向上を図ってきた。
そして2024年、「i-Construction 2.0」として深化させている。

これは単なる技術導入にとどまらず、建設現場のオートメーション化に重点を置いた取り組みだ。
少子高齢化による生産年齢人口の減少や、災害の激甚化・頻発化、インフラの老朽化など、社会情勢の変化に対応するためである。
AIをはじめとするデジタル技術の進展を活かし、データとデジタル技術を駆使して建設現場のオートメーション化を目指している。
i-Construction 2.0の3本柱
i-Construction 2.0では、以下の3つの柱を中心に取り組みが進められている。
- 施工のオートメーション化:建設機械の自動化・遠隔操作による作業の効率化
- データ連携のオートメーション化:BIM/CIM(Building/Construction Information Modeling)による3Dモデルの活用
- 施工管理のオートメーション化:AR(拡張現実)技術を活用した現場管理の効率化
これらを通じて、建設現場で働く一人ひとりが創出する価値を向上させ、少ない人数で、安全に、快適な環境で働く生産性の高い建設現場の実現を目指している。
2025年度の主な取り組み
1. 施工のオートメーション化
2024年度は実現場における試行工事を4件実施し、「安全ルール」を改定。
2025年度はさらに試行工事を実施するとともに、取組の対象を拡大する予定だ。
具体的には……
- 安全ルールを適用した自動施工に関する試行工事の実施
- 大規模土工だけでなく山岳トンネルにおいても自動施工の試行工事を拡大
また、遠隔施工の推進も重要な取り組みの一つだ。
2024年度は国土交通省発注工事において21件の工事で遠隔施工を実施。

2025年度は、さらなる遠隔施工の実施に向け、工事発注に関するルールを策定する予定である。

人材育成にも力を入れており、自動施工や現場に関する幅広い知識を持ち、中小の建設企業への自動施工の導入を支援する人材(自動施工コーディネーター)を育成する。
2025年度からは人材育成プログラムを実施予定だ。
2. データ連携のオートメーション化
この分野では、BIM/CIMを活用したデジタルデータの最大限の活用を図るとともに、現場データの活用による書類削減(ペーパーレス化)・施工管理の高度化、検査の効率化を進める。

2025年度の主な取り組みとしては……
- 3次元モデルを契約図書として活用するためのロードマップの作成・公表
- 3次元モデルと2次元図面の連動を確認するためのルール策定
- 3次元モデルを契約図書の一部として活用するための検討・試行
これらの取り組みにより、建設現場のペーパーレス化とシームレスなデータ共有・連携を実現することを目指している。
3. 施工管理のオートメーション化
オートメーション化を進めても、建設現場に人の介在は不可欠だ。
そこで、働き方改革の推進も必須となる。3Dプリンタも含めプレキャスト部材の活用や施工管理、監督・検査等のリモート化を実現することで、現場作業を省力化するなど、建設現場のリモート化・オフサイト化を推進する。

2025年度は、施工段階で作成した3次元モデルや出来形管理図表をAR技術を用いて現地へ投影する取り組みを強化。
これにより、視覚的に出来形の良否を把握しやすくなり、出来形管理図表が不要になる(ペーパーレス化)というメリットがある。

他にも、AIを活用した海底測量の省力化や、海上工事における自動・自律化施工の取り組みなど、様々な施工管理の効率化が計画されている。
i-Construction 2.0の成果事例
i-Construction 2.0の取り組みによる成果も出始めている。
《成瀬ダム堤体打設工事では、現場から400km離れた場所で、3名のITパイロット(監視者)により3機種14台の自動建設機械を昼夜連続で監視に成功》


《施工データの活用により、日当たり施工量を25%増加(420m³→558m³)させ、トータルで8日間の工程短縮》


《生コンスランプの画像解析により従来7人必要だった受け入れ試験の人員を1人に削減》


まとめ
i-Construction 2.0は、日本の建設業界が直面する労働力不足や生産性向上の課題に対する具体的な解決策として期待されている。
2025年度の取り組みでは、自動施工技術の拡大や、BIM/CIMを活用したデータ連携の強化、ARなどのデジタル技術による施工管理の効率化などが予定されている。
これらの取り組みにより、2040年までに建設現場の生産性を1.5倍に向上させるという目標の達成に向けて着実に前進しているといえるだろう。
建設現場のデジタル化・オートメーション化は、単に人手不足を解消するだけでなく、安全性の向上や働き方改革の推進にもつながる重要な取り組みだ。今後の展開に注目していきたい。
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