行政・政策
デジコン編集部 2026.5.8

国交省「i-Construction 2.0」2年目の成果を公表。自動遠隔施工が倍増、ICT施工StageⅡは111件に拡大

CONTENTS
  1. 自動遠隔施工が前年度から倍増。AIや海上工事へも展開が拡大
  2. ICT施工StageⅡは111件に拡大。3次元モデルの契約図書化も試行
  3. 2026年度は「躍動の年」へ。「導入型ICT活用工事」も新設
国土交通省は2026年4月28日、「i-Construction 2.0」の2年目(2025年度)の取組成果を公表した。


建設現場のオートメーション化による省人化(生産性向上)を目的とした本取組では、自動遠隔施工の実施件数が前年度から倍増したほか、ICT施工StageⅡの取組件数も111件に拡大するなど、各分野で進展が見られた。


3年目となる2026年度は「躍動の年」と位置づけ、「AI活用」「規模に依らない普及」「試行から本格運用へ、さらに原則化へ」の3つをキーワードに取組を加速させる方針である。

自動遠隔施工が前年度から倍増。AIや海上工事へも展開が拡大


2025年度は直轄工事における自動施工・遠隔施工の実施件数がいずれも前年度から倍増した。

自動施工は前年度の4件から9件へ、遠隔施工は前年度の21件から41件へと拡大している。

これまで自動施工はダム工事、遠隔施工は砂防工事が中心であったが、令和7年度には河川工事や道路工事、海岸工事へと工事種別の拡大が進んだ。



特筆すべきは、大手企業に加えて地域建設業による自動化の取組が進展した点である。

例として、金沢河川国道事務所発注の海岸工事「R6小松養浜工事」(受注者:株式会社吉光組)では、遠隔施工バックホウによる積込と自動運搬クローラダンプによる運搬・投入が実施された。

受注者の等級区分を見ても、令和6年度はA等級1件・C等級3件であったのに対し、令和7年度はA等級3件・B等級5件・C等級1件と、より幅広い規模の企業が参画している。

海底測量の分野でも新たな展開があった。



海底地形の3次元測量に用いるマルチビーム測深はこれまでノイズ除去を手動で行っており多大な時間を要していたが、AIを活用してノイズを自動除去する「マルチビームデータクラウド処理システム(MBC)」が開発された。

これにより、従来は約1週間を要していた解析期間が、約1時間程度にまで短縮される。

2025年度はICT活用工事における全直轄工事の起工測量でのMBC使用を開始しており、2026年度からはICT浚渫工の出来形測量(水路測量)にも適用範囲を広げる予定である。

海上工事については、2025年度に検討ワーキングを設置し、安全対策の検証や自動運転に必要となる施工データを収集するため現地試験を6件実施した。

2026年度は作業船の実証試験を4件程度実施し、安全管理・施工管理ルール等をとりまとめる計画である。

ICT施工StageⅡは111件に拡大。3次元モデルの契約図書化も試行


ICT施工StageⅡ(施工データの活用)の取組件数は、令和6年度の45件から令和7年度には111件へと大幅に増加した。

このうち69件は一般土木C等級の企業による実施であり、中小規模の企業への浸透も進みつつある。

具体的な活用事例として、中国地方整備局浜田河川国道事務所発注のアスファルト舗装工事(受注者:今井産業株式会社)では、ダンプトラックの位置情報を活用することで電話連絡を10回/日から0回/日に削減し、現場担当者を12人から6人へ省人化した。


九州地方整備局菊池川河川事務所発注の掘削工事(受注者:株式会社熊野組)では、出水時の流出土量をICT建設機械の施工履歴データにより見える化することで、設計変更協議までの工程を5日から2.1日に短縮している。


これらの成果を踏まえ、ICT施工StageⅡは2026年度から本格運用に移行する。

実施要領が改訂され、適用項目には「作業の最適化」「工程の最適化」「予実管理」「安全等」「環境等(CO2排出量の見える化)」が含まれる予定だ。


データ連携の分野では、3次元モデルの工事契約図書化に向けた取組も進んだ。

2025年度は設計段階で3次元モデルと2次元図面を別々に作成した場合の整合確認方法を標準化し、工事契約図書化の試行工事として183件の工事でアンケート等により課題整理を実施した。

2026年度には3次元モデルの工事契約図書化に関するガイドラインの作成検討が開始される。

加えて、3次元モデルから自動算出される数量を積算に活用するBIM/CIM積算の取組では、2024年度は橋梁下部で11件、2025年度は新たに砂防堰堤で11件の試行業務を実施した。


この取組は、国際組織が主催する「openBIM Awards 2025」(2025年9月24日、ドイツ・ベルリンにて授賞式)において、日本初となる部門最優秀賞を受賞している。

施工管理の分野でも、ICT技術を用いた新たな品質管理手法として、地盤変形量測定装置を用いたプルーフローリング管理要領(案)と、表面温度測定装置を用いたアスファルト舗装の温度管理要領(案)が令和7年度末に新たに要領化された。


これにより、従来の出来形管理から品質管理へとICTの適用範囲が広がる。

プレキャスト製品の活用については、コスト以外の価値を評価する「Value for Money(VFM)」の手法を導入する。


2026年度からはVFM実施要領を直轄工事に適用するとともに、内空断面積35㎡以下で標準寸法の大型構造物についてはPCa(プレキャスト)の原則適用とする方針である。

2026年度は「躍動の年」へ。「導入型ICT活用工事」も新設


国交省は3年目となる2026年度を「i-Construction 2.0躍動の年」と位置づけている。


AI活用では、OPERAを中心とした自動施工フィジカルAIの開発や、AIを活用した海底測量の効率化を推進する。

規模に依らない普及策として、簡易な施工技術(2DMG)を活用する「導入型ICT活用工事」が新設される。

これは、ICT施工未経験企業や地方自治体工事を主に受注している企業へのICT技術導入を促すための新たな枠組みである。

3次元建設機械を用いる「全面活用型」に加え、2次元マシンガイダンス建設機械による施工を行う「ステップアップ型」と、ICT建設機械を用いずトータルステーション等のICT機器を活用する「ファーストステップ型」の3類型が用意される。

これに合わせて、既存の手引きを拡充した「導入型ICT活用工事の手引き」も整備される予定だ。

自治体発注工事へのICT施工の普及促進に関しては、札幌市が令和7年度から本格運用を開始した「First Step SAPPORO型(FSS型)」が事例として紹介されている。


これは小規模の市街地施工現場に最適となるよう国交省のICT要領をカスタマイズし、自動追尾型TSを使用機器に指定したうえで、起工測量・丁張設置・出来形管理の3つの作業にICTを導入するパッケージ型の運用方針である。


国交省は今後もICT専門家の派遣を通じて自治体への支援を継続し、地域特有のニーズに応じた運用方針の検討をサポートしていく方針だ。

ICT施工Stage Ⅱの本格運用やプレキャスト原則適用、ICT舗装工の発注者指定型範囲の拡大など、「試行から本格運用へ、さらに原則化へ」の流れが2026年度から各分野で加速していくことになる。






WRITTEN by

デジコン編集部

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