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デジコン編集部 2021.12.20

鹿島建設、「遠隔集中管制システム」開発。建機20台の自動制御と遠隔操作を実現

CONTENTS
  1. 「遠隔集中管制システム」の位置付け
  2. 「遠隔集中管制システム」の概要
鹿島建設は、建設機械の自動運転を核とした次世代の建設生産システム「A⁴CSEL(クワッドアクセル)」を、2015年に世界で初めてダム工事に適用し、以降、ダムをはじめとする数々の工事に試行導入しながら、その機能と性能の向上を目指し研究開発を継続してきた。

こうした中、鹿島はクワッドアクセルを導入する複数現場の建設機械を一括管制し、自動化施工を同時に実施できる「遠隔集中管制システム」を2021年10月末に開発したと発表した。

本システムを活用した技術実証として、成瀬ダム堤体打設工事(第1期)(秋田県)、赤谷3号砂防堰堤工事(奈良県)、西湘実験フィールド(神奈川県)の3箇所で稼働している建設機械を、鹿島本社ビル(東京都)に設けた集中管制室から一括管制し、自動運転と遠隔操作による作業を同時に行うことに成功した。



「遠隔集中管制システム」の位置付け


A⁴CSEL(クワッドアクセル)の現場適用には、これまで、現場の近傍に専用の管制室を設ける必要があった。これに対し、2021年3月には、JAXAとの共同研究の一環として、JAXA相模原キャンパスの宇宙探査実験棟から約1,000km離れた種子島の建設機械を遠隔で操作し、さらには同キャンパスからの指令で自動運転に切り替えて作業できることを確認。鹿島は、生産性および安全性を飛躍的に向上する究極の建設生産システムとして、これらの技術を組合せ、A⁴CSELが稼働するあらゆる工事の管制機能の一元化の検討を進めていた。

「遠隔集中管制システム」の概要


今回の実証実験では、集中管制室と複数の現場を公衆回線(NTTドコモの法人向け閉域接続サービス「アクセスプレミアム」 他)で結び、各所にて自動運転および遠隔操作による作業を実施。

集中管制室には、施工管制システムをはじめとする自動化施工システムを搭載したコンピュータと各所の状況を確認できるモニターを設置し、自動化施工を管制するとともに、建設機械の遠隔操作も集中管制室の管制員が行った。




各所で実施した内容と稼働した建設機械は、以下の通り。

(1)成瀬ダム堤体打設工事(第1期)
施工内容:ダム堤体CSG打設(材料運搬、敷均し、締固め転圧、仕上げ転圧)
建設機械:自動ダンプトラック6台、自動ブルドーザ3台、自動振動ローラ4台、自動仕上げローラ2台

(2)赤谷3号砂防堰堤工事
施工内容:堰堤背面埋戻し(敷均し、締固め転圧)
建設機械:自動ブルドーザ1台、自動振動ローラ1台

(3)西湘実験フィールド
施工内容:自動化施工試験(材料運搬、敷均し、締固め転圧)
建設機械:自動ダンプトラック1台、自動ブルドーザ1台、自動振動ローラ1台

この結果、(1)~(3)の3箇所、20台での自動化および遠隔操作による施工を、4名の管制員で一括して円滑に行えることを確認した。


今後は今回得られた「遠隔集中管制システム」の成果を活用し、A⁴CSELによる自動化施工の更なる省人化および生産性の向上を目指すとともに、国内外の造成工事をはじめとする他工種への展開を推進していく。(参考:鹿島建設プレスリリースより


またデジコン では「A⁴CSEL(クワッドアクセル)」の開発者である三浦 悟氏(鹿島建設、技術研究所プリンシパル・ リサーチャー兼 機械部自動化施工推進室長)に特別インタビューを行なっている。ぜひこちらの記事も合わせてご覧いただきたい。

WRITTEN by

デジコン編集部

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