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デジコン編集部 2023.11.17

日建設計、3D-LiDARシステムで人流をリアルタイム計測。都市・建築の空間評価に活かす

日建設計は、デンソーウェーブと協働し、3D-LiDARを用いて人流をリアルタイムで計測するシステムのプロトタイプを開発した。

日建設計の東京オフィスのパイロットフロアにて本システムの本格運用を開始していく。

近年、自動運転や交通量調査に応用されている3D-LiDARを用いた人流計測技術は、カメラやビーコンに比べて位置検出の正確性が高く、個人情報を取得せずにリアルタイムで計測できるなどのメリットがある。

一方、大量の点群データによって人の形状を認識するためには莫大な計算資源が必要であり、広い空間内で不特定多数の行動を把握するには、操作や処理が重いという課題があった。


そこで日建設計とデンソーウェーブは、現時刻と前時刻の点群の差分によって移動体を抽出するという解析方法に「人は突然出現・消失しない」という前提に基づくポスト処理アルゴリズム(特許出願中)を組み込んだ。

これにより、移動体が停止しても見失わず、人の移動と滞在を少ない計算資源でも把握できる3D-LiDARのシステムを実現。



どの空間を、いつ、どの程度の人が利用しているのかが分かることで、空間の利用実態に応じた改修計画、人流と連動した設備の省エネ制御やロボット運行経路の補正、リアルタイムの人流把握による災害時の避難誘導やイベント時の混雑検知などに役立てることができるという。

2013年完成の東京駅八重洲口開発・グランルーフでは、パブリックスペース活性化に向けた約234mのペデストリアンデッキのリニューアル工事に際して、新たな植栽と什器が先行的に設置された箇所において、本システムによる効果検証を行った。


本システムが実測したデータの分析結果によれば、滞在人数が平日で約12%、休日で約84%増加しており、これまでの通行空間が滞在空間に転用されていることを確認。

この評価が、長大なデッキ全域への工事実施という大きな投資判断につながった。



参考・画像元:日建設計プレスリリース
WRITTEN by

デジコン編集部

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