ニュース
外環道の利便性とリスク 〜 住宅地で起こった道路陥没 〜
2020年10月18日、東京都調布市東つつじヶ丘2丁目付近の住宅街を通る道路で、幅5m、深さ5mほどの陥没事象が発生した。工事関係者や近隣住民が見守る中、音もなく静かに地表が吸い込まれていったという。幸いけが人などはいなかった。
東日本高速道路株式会社(以下、NEXCO東日本)によると、 10月18日、9:30、巡回中に当該箇所で地表面沈下を確認。11:50、現場担当者が到着し、付近の住民などに注意を促した。12:20、調布警察が現場に到着し市道通行規制開始。
そして12:30、地表面の陥没が発生。17:00には19日以降のシールド(掘削機)トンネル工事は一時中止を指示。その後、原因究明のため調査をすることを発表した。この時点では『東京外かく環状道路(以下、外環道)』との因果関係は不明としている。
下水管の老朽化による道路の陥没は年間3,000件以上も発生しており、当初はその可能性も指摘されていた。実際、令和10年には標準対応年数50年を経過した管渠が総延長の14%になると言われており、身近な、そして大きな問題のひとつでもある。
11月3日には陥没箇所の北側約40m付近で、地表から約5mの深さに、幅約4m、長さ約30m、厚さ約3mの空洞が、さらに同月21には南側約30m付近で、地表からの深さ約4m、幅約3m、長さ約27m 、厚さ約4mの空洞が、ボーリング調査(地面円筒状などの孔をあけて土質や強度を調べる)をしたことで見つかった。
12月18日にはNEXCO東日本の有識者委員会による会見にて中間報告が公表され、外環道のトンネル工事が、陥没箇所を含む地盤の空洞化の要因のひとつである可能性が高いと推定されたと発表。
そして今年、2021年1月14日にも地表からの深さ約16m、幅約4m、長さ約10m、厚さ約4mの空洞が見つかっている。同月27日に行った定例会見で、NEXCO東日本の小畠徹社長は、市道陥没、及び現在見つかっている3箇所の空洞と外環道工事の因果関係を認め陳謝し、住民に対しての損害の保証に言及した。現在、工事は中断されており、再開時期などはまだ公表されていない。
今回、陥没を引き起こしてしまった原因のひとつである外環道、関越自動車道〜東名間の工事。開通すれば都心を経由せずに南北を縦断することができるようになり、その利便性によって、首都圏における重要な交通インフラを担うことは間違いないだろう。
しかしその直上には住宅があり、人々が日々生活を営んでいる。10月の市道陥没が発生する前にも、工事による振動や騒音に対する苦情は頻繁に出ていたという。万が一、深さ5mの陥没に巻き込まれてしまったら命の危険もはらむ。
もし利便性が人間を脅かしてしまうというのであれば、本末転倒どころの騒ぎではない。必要で重要なインフラ施設だからこそ、安全を担保し、そして住民の理解を得て進めていくことが大切だろう。
住人の目の前で起こった深さ5mの陥没
東日本高速道路株式会社(以下、NEXCO東日本)によると、 10月18日、9:30、巡回中に当該箇所で地表面沈下を確認。11:50、現場担当者が到着し、付近の住民などに注意を促した。12:20、調布警察が現場に到着し市道通行規制開始。
そして12:30、地表面の陥没が発生。17:00には19日以降のシールド(掘削機)トンネル工事は一時中止を指示。その後、原因究明のため調査をすることを発表した。この時点では『東京外かく環状道路(以下、外環道)』との因果関係は不明としている。
下水管の老朽化による道路の陥没は年間3,000件以上も発生しており、当初はその可能性も指摘されていた。実際、令和10年には標準対応年数50年を経過した管渠が総延長の14%になると言われており、身近な、そして大きな問題のひとつでもある。
新たに発見された地盤の空洞。その原因は
11月3日には陥没箇所の北側約40m付近で、地表から約5mの深さに、幅約4m、長さ約30m、厚さ約3mの空洞が、さらに同月21には南側約30m付近で、地表からの深さ約4m、幅約3m、長さ約27m 、厚さ約4mの空洞が、ボーリング調査(地面円筒状などの孔をあけて土質や強度を調べる)をしたことで見つかった。
12月18日にはNEXCO東日本の有識者委員会による会見にて中間報告が公表され、外環道のトンネル工事が、陥没箇所を含む地盤の空洞化の要因のひとつである可能性が高いと推定されたと発表。
そして今年、2021年1月14日にも地表からの深さ約16m、幅約4m、長さ約10m、厚さ約4mの空洞が見つかっている。同月27日に行った定例会見で、NEXCO東日本の小畠徹社長は、市道陥没、及び現在見つかっている3箇所の空洞と外環道工事の因果関係を認め陳謝し、住民に対しての損害の保証に言及した。現在、工事は中断されており、再開時期などはまだ公表されていない。
利便性と危険性
今回、陥没を引き起こしてしまった原因のひとつである外環道、関越自動車道〜東名間の工事。開通すれば都心を経由せずに南北を縦断することができるようになり、その利便性によって、首都圏における重要な交通インフラを担うことは間違いないだろう。
しかしその直上には住宅があり、人々が日々生活を営んでいる。10月の市道陥没が発生する前にも、工事による振動や騒音に対する苦情は頻繁に出ていたという。万が一、深さ5mの陥没に巻き込まれてしまったら命の危険もはらむ。
もし利便性が人間を脅かしてしまうというのであれば、本末転倒どころの騒ぎではない。必要で重要なインフラ施設だからこそ、安全を担保し、そして住民の理解を得て進めていくことが大切だろう。
WRITTEN by
角田 憲
有限会社さくらぐみにライターとして所属。宅地建物取引士。祖父が宮大工だったことから建築、不動産に興味を持ち、戸建て、マンション等の販売・管理・メンテナンス業務に従事。食、音楽、格闘技・スポーツ全般、健康、トラベルまで幅広く執筆。読書量は年間約300冊。