ツール紹介
より便利に!建設現場でICTを効果的に使える代表的なサービス5選
国土交通省では、建築・土木の現場で今後予測される労働力不足を補うため、技能労働者ひとりあたりの生産性を5割アップさせることを目標とした、「アイ・コンストラクション(i-Construction)」を平成28(2016)年から推進している。
そして現在、ICT(情報通信技術)を使った技術が続々と現場に導入されているのだ。
ICTの推進には、まず計画段階で電子化することからはじまる。それが計画・設計図面の3次元モデル化だ。
もともと建築の分野で、計画・設計段階から現場を3次元モデルとして可視化し、施工体制に共通認識ができるようにするBIM(ビム=Building Information Modeling)があり、これを土木の分野でも取り入れた、CIM(シム=Construction Information Modeling/Management)が活用されるようになった。
さらにはUAV/ドローン(Unmanned Aerial Vehicle=無人航空機)、3Dスキャナを使った3次元測量などの技術が進歩したことも後押しし、計画段階からの電子化が簡易化された。
そして、その後のプロセス──施工・協議・維持管理など、工事に関わるすべての情報──も、スマートフォンやタブレットなどの普及によって、簡単に共有化できるようになり、作業の効率化、コストの削減が進んでいるのだ。
では、具体的にどのようなサービスがあるのか? 代表的なものを紹介していこう。
施工をする際の重要な書類として、関わるすべての業者名とその範囲、作業員の氏名などを現場ごとに記した労務安全書類がある。これは「グリーンファイル」と呼ばれるが、現場が大きくなればなるほど、書類の数は多くなるため、能率的かつ正確に管理する方法が求められてきた。
株式会社MCデータプラスでは、このグリーンファイルを電子化するクラウド型労務安全書類サービス「グリーンサイト」を提供している。
デジタルで作成するため、書類作成の時間を大幅に削減することができ、チェック漏れなどのミスも起こりにくく、書類の管理もしやすいというメリットがある。また、情報共有のためのチャットサービス「stacc(スタック)」も用意されている。
MCデータプラス「グリーンサイト」
https://www.gs.kensetsu-site.com/
MCデータプラス「stacc(スタック)」※【iOS】【Android】対応
https://www.stacc.chat/
建築・土木の現場において重要な、現地とオフィスとのコミュニケーションを合理的に行うために、スマートフォン・タブレットなどスマートデバイスを活用したサービスが増えている。
そのひとつ「ImageGate®」は、図面や写真をスマートデバイスに取り込み、電子化することで持ち運びの手間をはぶき、指示や点検を遠隔でも効率的に行える工夫がされている。
さらには、画面上の図面に変更した部分を書き込んだり、現場の写真・動画をクラウド上にアップしたり、情報を共有することができる。
通信不能な際にもオフラインで使えるほか、使い方によって細かなカスタマイズができるところも魅力のひとつだ。
ミライト情報システム「ImageGate®」※【iOS】【Android】対応
https://www.miraitsystems.jp/solution/imagegate/index.html
近年、橋梁やトンネルなど、高度経済成長期に多く作られたインフラ構造物の老朽化が懸念されつつあるが、点検方法は人間の目視が基本だったため、時間も手間もかかってしまう。
それをカバーする技術として利用されはじめたのが、高精度化している画像解析システムだ。国土交通省も2019年には近接目視と同等の診断を行える、高精細画像を使用した非破壊検査による点検も許可することになった。
キヤノンマーケティングジャパン株式会社の「インスペクション EYE for インフラ」は、カメラの開発で培ったレンズの技術や画像処理のノウハウを活かし、悪条件でも高精細な写真を撮影し、点検できるところが強みだ。
ドローンなどとの組み合わせで撮影困難な場所の撮影も可能になったうえ、株式会社東設土木コンサルタントと共同開発した変状検知AIによって、幅0.05mmのひび割れも検知でき、近接目視で見逃されるようなひび割れも検知できるまでに至っているという。
キヤノンマーケティングジャパン「インスペクション EYE for インフラ」
https://cweb.canon.jp/imaging-solutions/lineup/inspection-eye/
3次元モデルの広範利用、さらにAIの開発が進んだことにより、建設現場へロボットの導入がはじまっている。
清水建設株式会社の生産システム「シミズ・スマート・サイト」では、3次元モデルのBIMと、AIを搭載した自律型のロボットが連携し、現場で人と作業する。2018年に初めて現場に投入された。
中核を担うのは、鉄骨柱を自動溶接できるロボット「Robo-Welder」、画像センサとレーザーセンサで部位を確認して施工を行う「Robo-Buddy」、資材の自動搬送をする「Robo-Carrier」という3機種。
このシステムでは、ロボットを現場の人間の相棒的な役割として考えている。反復作業、重労働を乗り越える強い味方として、これからも活躍の場が広まることが期待される。
清水建設「シミズ・スマート・サイト」
https://www.shimz.co.jp/topics/construction/item12/
こういったICTの試みを、建設・土木業界だけではなく他業種の企業と協力し、それぞれのノウハウを使うことによって、より能率的なシステムにしていこう、という動きがある。
IoTを用いた建設生産プロセス全体の基盤となる、新しいプラットフォーム「LANDLOG」は、早くから「スマートコンストラクション」と銘打ちICT建機の先駆としてデータをとり続けてきた株式会社小松製作所、無線通信に関するノウハウを持つ株式会社NTTドコモ、ビジネスソフトウエアの国際的リーディング・カンパニーSAPジャパン株式会社、クラウドデバイス・リモートマネジメントの分野に長けた株式会社オプティムの4社が、企画・運用を共同で行うサービスだ。
日々変化する建設生産プロセスのデータを、効果的に活用する動きとして、大きく注目されている。
ランドログ「LANDLOG」
https://www.landlog.info/
このように、建設・土木現場のICT化を支えるサービスは広がりつつある。
そして、高速で大容量の次世代通信規格・5Gが、この春から日本でサービスが開始されることで、ICT化はより大きく進化していくことだろう。「i-Construction」が唱える、生産性のアップに一役買うことは間違いないはずだ。
そして現在、ICT(情報通信技術)を使った技術が続々と現場に導入されているのだ。
工事に関わるすべての情報を一元化する!
ICTの推進には、まず計画段階で電子化することからはじまる。それが計画・設計図面の3次元モデル化だ。
もともと建築の分野で、計画・設計段階から現場を3次元モデルとして可視化し、施工体制に共通認識ができるようにするBIM(ビム=Building Information Modeling)があり、これを土木の分野でも取り入れた、CIM(シム=Construction Information Modeling/Management)が活用されるようになった。
さらにはUAV/ドローン(Unmanned Aerial Vehicle=無人航空機)、3Dスキャナを使った3次元測量などの技術が進歩したことも後押しし、計画段階からの電子化が簡易化された。
そして、その後のプロセス──施工・協議・維持管理など、工事に関わるすべての情報──も、スマートフォンやタブレットなどの普及によって、簡単に共有化できるようになり、作業の効率化、コストの削減が進んでいるのだ。
では、具体的にどのようなサービスがあるのか? 代表的なものを紹介していこう。
面倒な書類の管理も電子&クラウド化──「グリーンサイト」
施工をする際の重要な書類として、関わるすべての業者名とその範囲、作業員の氏名などを現場ごとに記した労務安全書類がある。これは「グリーンファイル」と呼ばれるが、現場が大きくなればなるほど、書類の数は多くなるため、能率的かつ正確に管理する方法が求められてきた。
株式会社MCデータプラスでは、このグリーンファイルを電子化するクラウド型労務安全書類サービス「グリーンサイト」を提供している。
デジタルで作成するため、書類作成の時間を大幅に削減することができ、チェック漏れなどのミスも起こりにくく、書類の管理もしやすいというメリットがある。また、情報共有のためのチャットサービス「stacc(スタック)」も用意されている。
MCデータプラス「グリーンサイト」
https://www.gs.kensetsu-site.com/
MCデータプラス「stacc(スタック)」※【iOS】【Android】対応
https://www.stacc.chat/
遠隔作業や報告業務を、スマートデバイスで──「ImageGate®」
建築・土木の現場において重要な、現地とオフィスとのコミュニケーションを合理的に行うために、スマートフォン・タブレットなどスマートデバイスを活用したサービスが増えている。
そのひとつ「ImageGate®」は、図面や写真をスマートデバイスに取り込み、電子化することで持ち運びの手間をはぶき、指示や点検を遠隔でも効率的に行える工夫がされている。
さらには、画面上の図面に変更した部分を書き込んだり、現場の写真・動画をクラウド上にアップしたり、情報を共有することができる。
通信不能な際にもオフラインで使えるほか、使い方によって細かなカスタマイズができるところも魅力のひとつだ。
ミライト情報システム「ImageGate®」※【iOS】【Android】対応
https://www.miraitsystems.jp/solution/imagegate/index.html
カメラ会社の画像解析システム──「インスペクション EYE for インフラ」
近年、橋梁やトンネルなど、高度経済成長期に多く作られたインフラ構造物の老朽化が懸念されつつあるが、点検方法は人間の目視が基本だったため、時間も手間もかかってしまう。
それをカバーする技術として利用されはじめたのが、高精度化している画像解析システムだ。国土交通省も2019年には近接目視と同等の診断を行える、高精細画像を使用した非破壊検査による点検も許可することになった。
キヤノンマーケティングジャパン株式会社の「インスペクション EYE for インフラ」は、カメラの開発で培ったレンズの技術や画像処理のノウハウを活かし、悪条件でも高精細な写真を撮影し、点検できるところが強みだ。
ドローンなどとの組み合わせで撮影困難な場所の撮影も可能になったうえ、株式会社東設土木コンサルタントと共同開発した変状検知AIによって、幅0.05mmのひび割れも検知でき、近接目視で見逃されるようなひび割れも検知できるまでに至っているという。
キヤノンマーケティングジャパン「インスペクション EYE for インフラ」
https://cweb.canon.jp/imaging-solutions/lineup/inspection-eye/
心強いロボットの相棒──「シミズ・スマート・サイト」
3次元モデルの広範利用、さらにAIの開発が進んだことにより、建設現場へロボットの導入がはじまっている。
清水建設株式会社の生産システム「シミズ・スマート・サイト」では、3次元モデルのBIMと、AIを搭載した自律型のロボットが連携し、現場で人と作業する。2018年に初めて現場に投入された。
中核を担うのは、鉄骨柱を自動溶接できるロボット「Robo-Welder」、画像センサとレーザーセンサで部位を確認して施工を行う「Robo-Buddy」、資材の自動搬送をする「Robo-Carrier」という3機種。
このシステムでは、ロボットを現場の人間の相棒的な役割として考えている。反復作業、重労働を乗り越える強い味方として、これからも活躍の場が広まることが期待される。
清水建設「シミズ・スマート・サイト」
https://www.shimz.co.jp/topics/construction/item12/
ICTのトータルソリューションとして──「LANDLOG」
こういったICTの試みを、建設・土木業界だけではなく他業種の企業と協力し、それぞれのノウハウを使うことによって、より能率的なシステムにしていこう、という動きがある。
IoTを用いた建設生産プロセス全体の基盤となる、新しいプラットフォーム「LANDLOG」は、早くから「スマートコンストラクション」と銘打ちICT建機の先駆としてデータをとり続けてきた株式会社小松製作所、無線通信に関するノウハウを持つ株式会社NTTドコモ、ビジネスソフトウエアの国際的リーディング・カンパニーSAPジャパン株式会社、クラウドデバイス・リモートマネジメントの分野に長けた株式会社オプティムの4社が、企画・運用を共同で行うサービスだ。
日々変化する建設生産プロセスのデータを、効果的に活用する動きとして、大きく注目されている。
ランドログ「LANDLOG」
https://www.landlog.info/
次世代通信規格・5GでICT化は広がる!?
このように、建設・土木現場のICT化を支えるサービスは広がりつつある。
そして、高速で大容量の次世代通信規格・5Gが、この春から日本でサービスが開始されることで、ICT化はより大きく進化していくことだろう。「i-Construction」が唱える、生産性のアップに一役買うことは間違いないはずだ。
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