行政・政策
デジコン編集部 2023.3.24

令和4年度【インフラDX大賞】受賞者決定!!25団体を発表!〜 各受賞者の取組み内容も紹介!〜【3月24日更新】

CONTENTS
  1. インフラDX大賞受賞者一覧
  2. インフラDX大賞 受賞取組 概要【工事・業務部門】
    1. 国土交通大臣賞 金杉建設株式会社(埼玉県)
    2. 優秀賞  株式会社堀口組(北海道)
    3. 優秀賞  宮坂建設工業株式会社(北海道)
    4. 優秀賞  前田道路株式会社  東北支店(宮城)
    5. 優秀賞  株式会社 水清建設(岩手県)
    6. 優秀賞   株式会社オリエンタルコンサルタンツ 関東支社(東京)
    7. 優秀賞   株式会社パスコ 東京支店(東京)
国土交通省は、令和4年度「インフラDX大賞」の受賞者を発表した。今回、計 25 団体(国土交通大臣賞 4 団体、優秀賞 19 団体、スタートアップ奨励賞 2 団体)が選ばれた。

建設現場の生産性向上に関するベストプラクティスの横展開に向けて、平成 29 年度より「i-Construction 大賞」を実施してきたが、令和4年度は、この取組みをさらに拡大するため「インフラ DX 大賞」と改称されている。

表彰対象は令和3年度に完了した国や地方公共団体等が発注した工事・業務に関する企業
の取組や地方公共団体等の取組、i-Construction 推進コンソーシアム会員の取組
を対象としている。

インフラDX大賞受賞者一覧



インフラDX大賞 受賞取組 概要【工事・業務部門】


国土交通大臣賞 金杉建設株式会社(埼玉県)


【取組名】
総A 除)5021社資交付金(街路)整備工事(柳之宮橋迂回路整備工事その1)


推薦者:関東地方整備局/発注者:埼玉県 越谷県土整備事務所
業者名:金杉建設株式会社
工期:2020年08月27日~2022年03月31日
施工場所:埼玉県八潮市
請負金額:454,865,400円

【概要】
施工箇所は民家や大規模工場に隣接しており、交通量も多く、周辺は慢性的な交通渋滞区間となっている。

工事を行うことにより、沿道の土地利用者や住環境への環境負荷が生じることとなり、その大きな影響を最小限に抑えて施工を行うことが柳之宮橋架替えやそれに伴う道路整備事業を円滑に進めるために必要であり、ICT施工や3次元設計データの作成を実施。

【講評】
  • 小規模な土工事(300m3)において、0.25m3級バックホウを後付けシステムでICT建機化を行い、排水構造物の据付けにおいても自動追尾測量機器を活用して丁張レス作業を実施。市街地では、駐車場や工場の出入り等の施工環境の負荷軽減に効果的である。これまで活用が進まなかった小規模土工事でのICT施工等の可能性を確認することが出来た。

  •  ICT施工や3次元モデルのデータ作成を社内で100%内製化することで、施工中に生じる不具合の早期発見を可能にしている。また、各種埋設物の占有管理者より埋設図を入手して埋設物の3次元モデル化や他発注者のインフラ工事の埋設物も3次元化することにより、事業全体での支障箇所の発見や、新たな施工上の問題点を事前に抽出し、協議・合意形成の効率化や、手戻りを防ぐなど、ICT技術を有効的に活用している。

  • 県の担当職員や各市町村職員向け、先進的な取組みを紹介した見学会と研修会を実施するなど、ICT施工や3次元モデルの活用を広める活動も積極的に実施している。


優秀賞  株式会社堀口組(北海道)


【取組名】
一般国道232号 苫前町 力昼防災工事

推薦者:北海道開発局
発注者 :北海道開発局 留萌開発建設部 羽幌道路事務所
業者名 :株式会社堀口組
工 期 :2021年04月01日~2022年03月28日
施工場所: 北海道苫前郡苫前町
請負金額 :444,895,000円

【概要】
現国道に隣接した法高50m程度の長大法面の切土工(片切掘削)という困難な現場条件下で、ワイヤー式法面掘削機によるICT施工を実施。


残土についても、汎用性のある新技術を活用した土砂積込み運搬と工事車両運行管理を実施。DX推進室による現場へのバックアップ体制の構築や、現場見学会・体験学習を行い、担い手確保・人材教育を図った。

【講評】
  • 3次元測量・設計後、ワイヤー式法面掘削機にICTシステムを搭載し、3DMGによるICT施工を実施。長大法面において、ワイヤー式法面掘削機(0.14㎥級)へICTシステムを搭載した事例は、全国的に事例が少なく、道内では初の試み。従来技術に比べ、切土掘削及び法面整形にかかる施工日数を26%削減(34日短縮)。

  • 法面作業における安全性が向上するとともに、荷重判別装置等の導入により土砂積込み量の管理や運行管理を行うことで、過積載対策をクラウドにより記録するなど効率的で生産性の高い工事が実施された。

  • 特に汎用的な機材を使用し、土砂積込み機械のクレーン装置システムを応用しており、波及効果にも期待できる。

  • ICT施工の地域への普及の取り組みの一環として、DX推進室による現場サポート(遠隔含む)や現場見学・体験学習を積極的に実施し、ICT/IOTの人材育成や担い手確保に向けた取り組みも行われている。


優秀賞  宮坂建設工業株式会社(北海道)


【取組名】
天塩川改修工事の内 美深パンケ樋管改築外工事

推薦者: 北海道開発局
発注者 :北海道開発局 旭川開発建設部 名寄河川事務所
業者名 :宮坂建設工業株式会社
工 期 :2021年09月22日~2022年03月25日
施工場所: 北海道中川郡美深町
請負金額 :540,661,000円

【取組概要】
工事箇所が点在し、最低気温-25.1℃、期間降雪量584cmなどの厳しい気象条件の中でICT施工に取り組み、生産性向上を図った。


また、希少猛禽類(オジロワシ)の保全などの各種制約条件がある中で、各種作業にかかる時間を短縮するとともに、施工管理アプリ等を活用し、遠隔臨場による情報共有で、適切に施工管理を行い、工期内に完了した。

【講評】
  • 点在する2工区(樋管の改築、魚道整備)の施工にあたり、厳冬期の気象条件、希少猛禽類の保全などの制約条件を踏まえ、CIMによる施工計画を作成するとともに、施工管理アプリやWebカメラを導入することで、本社と情報の共有、バックアップ体制を確保している。これらにより現場管理がより安全かつ効果的に行われた。
  • 3次元スキャナによる設計データをICT施工及び出来型管理に活用して、作業性・安全性の向上のみならず、出来形・品質・工程管理の効率化、工事書類作成の省力化を図るなど、効果的に活用された。
  • 詳細図が保管されていない既設の構造物等では、3次元スキャナによる設計データを活用するなど、今後の活用方法として、波及性が期待される。


優秀賞  前田道路株式会社  東北支店(宮城)


【取組名】
河辺地区道路改良舗装工事

推薦者: 東北地方整備局
発注者 :東北地方整備局 秋田河川国道事務所
業者名 :前田道路株式会社東北支店
工 期 :2021年04月01日~2022年03月25日
施工場所: 秋田県秋田市
請負金額 :291,170,000円

【取組概要】
一般国道13号(秋田市河辺地区)の拡幅工事において、建設機械搭載型レーザスキャナによる3次元施工管理データのBIM/CIMを活用。


舗装工の3次元データを用いた出来形管理は、事前準備、現場での計測、データ解析等に多くの人員・時間を要していたが、舗装工の出来形管理の効率化を図るため、計測技術の舗装全層への適用、舗装各層の3次元データのBIM/CIM活用について検証を実施。

【講評】
  • 舗装工の出来形管理(合計6層:路床工、路盤工3層、アスファルト舗装工2層)は、従来の検査手法では累計で約173時間要していたが、3次元データの活用により、累計で約56時間と、68%縮減されており、生産性向上に高い効果を有している。
  • また、建設機械に搭載したレーザスキャナで施工面の3次元形状を計測し、リアルタイムに出来形判定を行うとともに、データをクラウドで共有することで、発注者との遠隔臨場にも活用した。
  • レーザスキャナ装置を日本での施工管理に適用するための技術開発や、出来形計測装置の技術開発にあたっては、地元業者が導入しやすい価格帯をコンセプトに開発を行った。さらに、維持管理段階における舗装工の3次元データの利活用方法を提案するなど、波及性の高い取り組み。

優秀賞  株式会社 水清建設(岩手県)


【取組名】
一級河川松川筋川崎地区河川改修その3工事

推薦者:東北地方整備局
発注者:岩手県盛岡広域振興局土木部 河川砂防課
業者名:株式会社水清建設
工 期: 2020年10月22日~2021年11月30日
施工場所: 岩手県盛岡市
請負金額:324,583,600円

【取組概要】
一年を通して水量が多い河川であることから、早期の完成を求められる難易度の高い現場において、起工測量における三次元測量、仮設を含む三次元設計及びICT建設機械による河川土工(掘削、法面整形等)まで、一連でICT技術を活用。


特に、三次元測量の際に、ICT建設機械(防水型)による施工履歴機能を応用することで、より精度の高い河床の三次元データを取得する等の工夫を協議により行っている。

【講評】
  • 河川改修工事において、施工面積の約70%が水面下という条件で、起工測量をTS・UAV・地上式TLSを活用するとともに、施工履歴機能を応用したバケットによる現地盤トレースを行い、通常は取得が困難な河床の3次元データを取得したことで、安全で迅速かつ高精度な起工測量を達成している。

  • 瀬替工の計画では、施工履歴機能によって把握した河床形状を基に、掘削土砂による仮締切盛土、大型土のう設置位置を3次元設計で行い、起工測量から本工事に至るまで、全面的にICT技術を活用しており、河川土工では、工程を3割程度短縮する効果が得られている。

  • 当該現場では施工中に3度の出水により瀬替工に被害があったにも関わらず週休2日相当(4週8休)を達成しており、効率的かつ良好な施工性を確保した。社内にICT推進チームを設置し、若手・女性職員が活躍。


優秀賞   株式会社オリエンタルコンサルタンツ 関東支社(東京)


【取組名】
R3東京国道管内交通事故対策検討業務

推薦者: 関東地方整備局
発注者: 関東地方整備局 東京国道事務所
業者名 :株式会社オリエンタルコンサルタンツ 関東支社
工 期: 2021年04月15日 ~ 2022年03月25日
施工場所: 東京都千代田区
請負金額 :48,510,000円

【取組概要】
現地の危険事象を効率的かつ定量的に把握するため、AI技術を活用した調査分析を実施。


危険事象抽出を行うにあたり、車両同士の危険事象は、事故リスク指標の一つである、
「交錯時間差」PET(Post Encroachment Time)を指標とし、横断者と車両の危険事象は、交差する車両と横断者の衝突点を予測し、走行速度と接近距離から 「衝突までの予
測時間」 (あと何秒で衝突するか)を指標として分析。

【講評】
  • 交通事故分析において、危険事象の指標に基づくAI技術の導入により、膨大なビデオ映像データをスピーディーかつ正確に危険事象の抽出が可能となり、従来に比べて、作業時間が5分の1程度に短縮され、より多くの地点の調査を実施することが可能となる技術として有効性が高く、波及性も大いに期待できる手法。
  • また、AI技術を用いた危険事象分析と、ドライブレコーダーの走行ビデオ調査を用いてドライバーの視認性や運転状況の分析を組み合わせることにより、事故発生要因の解明に有用となる危険事象を網羅的(外側、内側)に抽出することで、より実効性の高い対策立案が可能となる。
  • 交通事故件数の減少しない交差点等に実効性の高い事故対策・活用が期待できる。


優秀賞   株式会社パスコ 東京支店(東京)


【取組名】
R2・R3荒川下流管内平面図化業務

推薦者: 関東地方整備局
発注者 :関東地方整備局 荒川下流河川事務所
業者名:株式会社パスコ 東京支店
工 期 :2020年12月16日 ~ 2021年12月17日
施工場所: 東京都北区
請負金額 :54,230,000円

【取組概要】
最新の空中写真等を使用して、荒川下流管内の数値地形図の修正を行うとともに、各種データを統合化したプラットフォームである3D河川管内図を構築。


構築した3D河川管内図は、河川管理業務の効率化・高度化を目的に、あらゆる関係者が荒川下流域に関するデータを閲覧できるよう一般公開を行っている。

【講評】
  • 河川管理業務の効率化・高度化を目的に、全国で初めて「荒川3D河川管内図(下流域)」を公開した。インターネットによる公開は、行政サービス向上や働き方改革に寄与し、年間約300件ある河川区域等の問い合わせ対応に要する時間が1件あたり約10分間削減した。
  • また、PLATEAUで提供されている3D都市モデルデータ等を取り込むことにより、荒川水系洪水浸水想定区域図の浸水深を重ねて表示するなど、水害時の浸水水面が3Dで一目で分かり、地域住民の防災意識の向上も期待できる、効果的な取り組み。
  • これまで部署ごとに所持していた各種台帳等のデータをGISの活用により統合することにより業務の効率を図るなど、先進性が高い取り組み




参考・画像元:国土交通省プレスリリース
WRITTEN by

デジコン編集部

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