行政・政策
デジコン編集部 2023.7.12

令和4年度【インフラDX大賞】受賞者決定!25団体を発表!〜 各受賞者の取組み内容も紹介!〜【完全版】

CONTENTS
  1. インフラDX大賞受賞者一覧
  2. インフラDX大賞 受賞取組 概要 【工事・業務部門】
    1. 国土交通大臣賞 金杉建設株式会社(埼玉県)
    2. 優秀賞  株式会社堀口組(北海道)
    3. 優秀賞  宮坂建設工業株式会社(北海道)
    4. 優秀賞  前田道路株式会社  東北支店(宮城)
    5. 優秀賞  株式会社 水清建設(岩手県)
    6. 優秀賞   株式会社オリエンタルコンサルタンツ 関東支社(東京)
    7. 優秀賞   株式会社パスコ 東京支店(東京)
    8. 優秀賞  東洋建設株式会社北陸支店(石川県)
    9. 優秀賞  株式会社 廣瀨(新潟県)
    10. 優秀賞   みらい建設工業株式会社 中部支店 (愛知県)
    11. 優秀賞 株式会社 荒木組 (岡山県)
    12. 優秀賞  りんかい日産建設株式会社 四国支店
    13. 優秀賞 株式会社 熊野組(熊本県)
    14. 優秀賞  あおみ建設株式会社九州支店
  3. 【地方公共団体等の取組部門】
    1. 国土交通大臣賞  埼玉県
    2. 優秀賞   大阪府
    3. 優秀賞 熊本県
    4. 国土交通大臣賞 株式会社Arent(東京)
    5. 国土交通大臣賞 国際航業株式会社(東京)
    6. 優秀賞 株式会社Polyuse (東京)
    7. 優秀賞 極東建設株式会社 (沖縄)
    8. 優秀賞  宮川興業株式会社(広島県)
    9. 優秀賞 株式会社Liberaware、CalTa株式会社(千葉、東京)
    10. 優秀賞  株式会社フォトラクション(東京)
    11. 優秀賞 シェルフィー株式会社(東京)
国土交通省は、令和4年度「インフラDX大賞」の受賞者を発表した。今回、計 25 団体(国土交通大臣賞 4 団体、優秀賞 19 団体、スタートアップ奨励賞 2 団体)が選ばれた。

建設現場の生産性向上に関するベストプラクティスの横展開に向けて、平成 29 年度より「i-Construction 大賞」を実施してきたが、令和4年度は、この取組みをさらに拡大するため「インフラ DX 大賞」と改称されている。

表彰対象は令和3年度に完了した国や地方公共団体等が発注した工事・業務に関する企業
の取組や地方公共団体等の取組、i-Construction 推進コンソーシアム会員の取組
を対象としている。

インフラDX大賞受賞者一覧



インフラDX大賞 受賞取組 概要
【工事・業務部門】


国土交通大臣賞 金杉建設株式会社(埼玉県)


【取組名】
総A 除)5021社資交付金(街路)整備工事(柳之宮橋迂回路整備工事その1)


推薦者:関東地方整備局/発注者:埼玉県 越谷県土整備事務所
業者名:金杉建設株式会社
工期:2020年08月27日~2022年03月31日
施工場所:埼玉県八潮市
請負金額:454,865,400円

【概要】
施工箇所は民家や大規模工場に隣接しており、交通量も多く、周辺は慢性的な交通渋滞区間となっている。

工事を行うことにより、沿道の土地利用者や住環境への環境負荷が生じることとなり、その大きな影響を最小限に抑えて施工を行うことが柳之宮橋架替えやそれに伴う道路整備事業を円滑に進めるために必要であり、ICT施工や3次元設計データの作成を実施。

【講評】
  • 小規模な土工事(300m3)において、0.25m3級バックホウを後付けシステムでICT建機化を行い、排水構造物の据付けにおいても自動追尾測量機器を活用して丁張レス作業を実施。市街地では、駐車場や工場の出入り等の施工環境の負荷軽減に効果的である。これまで活用が進まなかった小規模土工事でのICT施工等の可能性を確認することが出来た。

  •  ICT施工や3次元モデルのデータ作成を社内で100%内製化することで、施工中に生じる不具合の早期発見を可能にしている。また、各種埋設物の占有管理者より埋設図を入手して埋設物の3次元モデル化や他発注者のインフラ工事の埋設物も3次元化することにより、事業全体での支障箇所の発見や、新たな施工上の問題点を事前に抽出し、協議・合意形成の効率化や、手戻りを防ぐなど、ICT技術を有効的に活用している。

  • 県の担当職員や各市町村職員向け、先進的な取組みを紹介した見学会と研修会を実施するなど、ICT施工や3次元モデルの活用を広める活動も積極的に実施している。


優秀賞  株式会社堀口組(北海道)


【取組名】
一般国道232号 苫前町 力昼防災工事

推薦者:北海道開発局
発注者 :北海道開発局 留萌開発建設部 羽幌道路事務所
業者名 :株式会社堀口組
工 期 :2021年04月01日~2022年03月28日
施工場所: 北海道苫前郡苫前町
請負金額 :444,895,000円

【概要】
現国道に隣接した法高50m程度の長大法面の切土工(片切掘削)という困難な現場条件下で、ワイヤー式法面掘削機によるICT施工を実施。


残土についても、汎用性のある新技術を活用した土砂積込み運搬と工事車両運行管理を実施。DX推進室による現場へのバックアップ体制の構築や、現場見学会・体験学習を行い、担い手確保・人材教育を図った。

【講評】
  • 3次元測量・設計後、ワイヤー式法面掘削機にICTシステムを搭載し、3DMGによるICT施工を実施。長大法面において、ワイヤー式法面掘削機(0.14㎥級)へICTシステムを搭載した事例は、全国的に事例が少なく、道内では初の試み。従来技術に比べ、切土掘削及び法面整形にかかる施工日数を26%削減(34日短縮)。

  • 法面作業における安全性が向上するとともに、荷重判別装置等の導入により土砂積込み量の管理や運行管理を行うことで、過積載対策をクラウドにより記録するなど効率的で生産性の高い工事が実施された。

  • 特に汎用的な機材を使用し、土砂積込み機械のクレーン装置システムを応用しており、波及効果にも期待できる。

  • ICT施工の地域への普及の取り組みの一環として、DX推進室による現場サポート(遠隔含む)や現場見学・体験学習を積極的に実施し、ICT/IOTの人材育成や担い手確保に向けた取り組みも行われている。


優秀賞  宮坂建設工業株式会社(北海道)


【取組名】
天塩川改修工事の内 美深パンケ樋管改築外工事

推薦者: 北海道開発局
発注者 :北海道開発局 旭川開発建設部 名寄河川事務所
業者名 :宮坂建設工業株式会社
工 期 :2021年09月22日~2022年03月25日
施工場所: 北海道中川郡美深町
請負金額 :540,661,000円

【取組概要】
工事箇所が点在し、最低気温-25.1℃、期間降雪量584cmなどの厳しい気象条件の中でICT施工に取り組み、生産性向上を図った。


また、希少猛禽類(オジロワシ)の保全などの各種制約条件がある中で、各種作業にかかる時間を短縮するとともに、施工管理アプリ等を活用し、遠隔臨場による情報共有で、適切に施工管理を行い、工期内に完了した。

【講評】
  • 点在する2工区(樋管の改築、魚道整備)の施工にあたり、厳冬期の気象条件、希少猛禽類の保全などの制約条件を踏まえ、CIMによる施工計画を作成するとともに、施工管理アプリやWebカメラを導入することで、本社と情報の共有、バックアップ体制を確保している。これらにより現場管理がより安全かつ効果的に行われた。
  • 3次元スキャナによる設計データをICT施工及び出来型管理に活用して、作業性・安全性の向上のみならず、出来形・品質・工程管理の効率化、工事書類作成の省力化を図るなど、効果的に活用された。
  • 詳細図が保管されていない既設の構造物等では、3次元スキャナによる設計データを活用するなど、今後の活用方法として、波及性が期待される。


優秀賞  前田道路株式会社  東北支店(宮城)


【取組名】
河辺地区道路改良舗装工事

推薦者: 東北地方整備局
発注者 :東北地方整備局 秋田河川国道事務所
業者名 :前田道路株式会社東北支店
工 期 :2021年04月01日~2022年03月25日
施工場所: 秋田県秋田市
請負金額 :291,170,000円

【取組概要】
一般国道13号(秋田市河辺地区)の拡幅工事において、建設機械搭載型レーザスキャナによる3次元施工管理データのBIM/CIMを活用。


舗装工の3次元データを用いた出来形管理は、事前準備、現場での計測、データ解析等に多くの人員・時間を要していたが、舗装工の出来形管理の効率化を図るため、計測技術の舗装全層への適用、舗装各層の3次元データのBIM/CIM活用について検証を実施。

【講評】
  • 舗装工の出来形管理(合計6層:路床工、路盤工3層、アスファルト舗装工2層)は、従来の検査手法では累計で約173時間要していたが、3次元データの活用により、累計で約56時間と、68%縮減されており、生産性向上に高い効果を有している。
  • また、建設機械に搭載したレーザスキャナで施工面の3次元形状を計測し、リアルタイムに出来形判定を行うとともに、データをクラウドで共有することで、発注者との遠隔臨場にも活用した。
  • レーザスキャナ装置を日本での施工管理に適用するための技術開発や、出来形計測装置の技術開発にあたっては、地元業者が導入しやすい価格帯をコンセプトに開発を行った。さらに、維持管理段階における舗装工の3次元データの利活用方法を提案するなど、波及性の高い取り組み。

優秀賞  株式会社 水清建設(岩手県)


【取組名】
一級河川松川筋川崎地区河川改修その3工事

推薦者:東北地方整備局
発注者:岩手県盛岡広域振興局土木部 河川砂防課
業者名:株式会社水清建設
工 期: 2020年10月22日~2021年11月30日
施工場所: 岩手県盛岡市
請負金額:324,583,600円

【取組概要】
一年を通して水量が多い河川であることから、早期の完成を求められる難易度の高い現場において、起工測量における三次元測量、仮設を含む三次元設計及びICT建設機械による河川土工(掘削、法面整形等)まで、一連でICT技術を活用。


特に、三次元測量の際に、ICT建設機械(防水型)による施工履歴機能を応用することで、より精度の高い河床の三次元データを取得する等の工夫を協議により行っている。

【講評】
  • 河川改修工事において、施工面積の約70%が水面下という条件で、起工測量をTS・UAV・地上式TLSを活用するとともに、施工履歴機能を応用したバケットによる現地盤トレースを行い、通常は取得が困難な河床の3次元データを取得したことで、安全で迅速かつ高精度な起工測量を達成している。

  • 瀬替工の計画では、施工履歴機能によって把握した河床形状を基に、掘削土砂による仮締切盛土、大型土のう設置位置を3次元設計で行い、起工測量から本工事に至るまで、全面的にICT技術を活用しており、河川土工では、工程を3割程度短縮する効果が得られている。

  • 当該現場では施工中に3度の出水により瀬替工に被害があったにも関わらず週休2日相当(4週8休)を達成しており、効率的かつ良好な施工性を確保した。社内にICT推進チームを設置し、若手・女性職員が活躍。


優秀賞   株式会社オリエンタルコンサルタンツ 関東支社(東京)


【取組名】
R3東京国道管内交通事故対策検討業務

推薦者: 関東地方整備局
発注者: 関東地方整備局 東京国道事務所
業者名 :株式会社オリエンタルコンサルタンツ 関東支社
工 期: 2021年04月15日 ~ 2022年03月25日
施工場所: 東京都千代田区
請負金額 :48,510,000円

【取組概要】
現地の危険事象を効率的かつ定量的に把握するため、AI技術を活用した調査分析を実施。


危険事象抽出を行うにあたり、車両同士の危険事象は、事故リスク指標の一つである、
「交錯時間差」PET(Post Encroachment Time)を指標とし、横断者と車両の危険事象は、交差する車両と横断者の衝突点を予測し、走行速度と接近距離から 「衝突までの予
測時間」 (あと何秒で衝突するか)を指標として分析。

【講評】
  • 交通事故分析において、危険事象の指標に基づくAI技術の導入により、膨大なビデオ映像データをスピーディーかつ正確に危険事象の抽出が可能となり、従来に比べて、作業時間が5分の1程度に短縮され、より多くの地点の調査を実施することが可能となる技術として有効性が高く、波及性も大いに期待できる手法。
  • また、AI技術を用いた危険事象分析と、ドライブレコーダーの走行ビデオ調査を用いてドライバーの視認性や運転状況の分析を組み合わせることにより、事故発生要因の解明に有用となる危険事象を網羅的(外側、内側)に抽出することで、より実効性の高い対策立案が可能となる。
  • 交通事故件数の減少しない交差点等に実効性の高い事故対策・活用が期待できる。


優秀賞   株式会社パスコ 東京支店(東京)


【取組名】
R2・R3荒川下流管内平面図化業務

推薦者: 関東地方整備局
発注者 :関東地方整備局 荒川下流河川事務所
業者名:株式会社パスコ 東京支店
工 期 :2020年12月16日 ~ 2021年12月17日
施工場所: 東京都北区
請負金額 :54,230,000円

【取組概要】
最新の空中写真等を使用して、荒川下流管内の数値地形図の修正を行うとともに、各種データを統合化したプラットフォームである3D河川管内図を構築。


構築した3D河川管内図は、河川管理業務の効率化・高度化を目的に、あらゆる関係者が荒川下流域に関するデータを閲覧できるよう一般公開を行っている。

【講評】
  • 河川管理業務の効率化・高度化を目的に、全国で初めて「荒川3D河川管内図(下流域)」を公開した。インターネットによる公開は、行政サービス向上や働き方改革に寄与し、年間約300件ある河川区域等の問い合わせ対応に要する時間が1件あたり約10分間削減した。
  • また、PLATEAUで提供されている3D都市モデルデータ等を取り込むことにより、荒川水系洪水浸水想定区域図の浸水深を重ねて表示するなど、水害時の浸水水面が3Dで一目で分かり、地域住民の防災意識の向上も期待できる、効果的な取り組み。
  • これまで部署ごとに所持していた各種台帳等のデータをGISの活用により統合することにより業務の効率を図るなど、先進性が高い取り組み


優秀賞  東洋建設株式会社北陸支店(石川県)


【取組名】
敦賀港(鞠山南地区)岸壁(-14m)築造工事(その3)

推薦者: 北陸地方整備局
発注者 :北陸地方整備局 敦賀港湾事務所
業者名: 東洋建設株式会社北陸支店
工期 :2021年02月12日~2021年09月10日
施工場 所: 福井県敦賀市
請負金額 :349,140,000円

【取組概要】
本工事は、鞠山南地区国際物流ターミナル整備事業の一環として岸壁を90m延伸するものである。


本体工のケーソンは、前壁と側壁にスリットを有し、片側のみフーチングがある左右非対称のため、一般的なケーソンより浮遊時の安定性が低く、浮遊状況に即応した安定性確保が求められた。

そのため、ケーソン据付システムを活用し起重機船と連携させる事で、浮函の水平バランスを確保するとともに効率的で高精度な据え付けを行った。

【講評】
  • 岸壁本体工等の施工にあたり、ケーソン据付システム「函ナビ」を使用し、ケーソン位置・挙動をリアルタイムで可視化するとともに、注排水管理の可視化・自動化により、作業人員3名を省人化(約28%)、1函あたり概ね2時間の施工短縮が図られた。
  • また、GNSSを活用した投入位置誘導システムの導入による捨石投入時の可視化や、360度VR画像を活用した施工管理システムの使用による重錘締固めを行い、潜水士の均し作業を26%軽減させるなど、ICT技術の活用により、安全性の向上とともに有効性の高い取り組み。
  • 非対称構造を有する異形ケーソンの据付けにおいて活用が実装できたことから、今後、現場に応じて他社の技術を活用することも含め、改良が進むことが想定されることから、波及効果が期待できる。


優秀賞  株式会社 廣瀨(新潟県)


【取組名】
大河津分水路山地部掘削その14工事

推薦者: 北陸地方整備局
発注者:北陸地方整備局 信濃川河川事務所
業者名:株式会社廣瀨
工 期 :2021年03月26日~2022年03月24日
施工場所: 新潟県長岡市
請負金額 :295,086,000円

【概要】
本工事は大河津分水路改修工事に於いて、左岸河道拡幅部(山地部)を58,940m3掘削し、他工事への有効利用土砂として運搬した工事である。



受発注者の監督・検査業務効率化のため、遠隔臨場を積極的に取入れ、完成検査では、VRを用いた実地検査を試行するという新たな建設DXに向けた様々な取組みを行った。

【講評】
  • 分水路改修工事において、山地部の土砂掘削に土質CIMデータと設計データを組合せ、ICT建機に取り込むことにより、過堀防止とともに作業員の減など、安全で効率的な施工を実施。また、施工進捗アプリを用いて、ICT建機から得られる施工履歴情報やドローン、レーザスキャナの活用により現場のデジタルツインを創出することで、現場進捗の3Dでの確認を可能とした。現場のDX化・見える化により、受発注者間の情報連携や、リアルタイムの施工管理(出来高確認、数量協議)が円滑に行えるなど、効率的で生産性向上が期待できる取組み。
  •  VR技術と遠隔臨場を組合わせたデジタル技術をフル活用した完成検査により、机上にて現地出来形確認が実施され、現場への移動時間削減、地上型レーザースキャナの点群データをVR上で表示することで臨場感のあるバーチャル検査も試行。
  • Web会議システムを組合わせ、発注者、現場事務所、現場の3箇所をタイムリーに中継し、書類検査からVRの実地検査までをスムーズに行えるよう独自のシステムマッチングを構築。

優秀賞   みらい建設工業株式会社 中部支店 (愛知県)


【取組名】
令和3年度 名古屋港金城ふ頭岸壁(-12m)裏込工事

推薦者: 中部地方整備局
発注者: 中部地方整備局 名古屋港湾事務所
業者名: みらい建設工業株式会社中部支店
工 期 :2021年08月25日~2022年01月31日
施工場所: 愛知県名古屋市港区
請負金額 :369,490,000円

【概要】
ナローマルチビームによる起工測量、中間管理測量、出来形測量を実施。リモコンボートを用いて中間管理測量を多頻度化することにより、高頻度な三次元のビジュアル情報をもとに、出来形に応じた裏込石の投入を行い、投入過多や不足を回避した結果、効率的な石材の投入が実現。


さらに、ガット船の石材量の検収を効率的に行うため、人力による検収に代え、UAV(ドローン)による測量を実施し、省人化を図った。

【講評】
  • 岸壁の裏込め工の施工時に、リモコンボートによるナローマルチビーム測量により、測量作業の省人化(3人→1人)と、時間短縮(1日→1時間)となって、安全性・効率性が向上。また、船舶による石材投入では、ナローマルチビーム測量を多頻度化することで、不陸の少ない効率的な石材投入管理や、通常は1週間を要する起重機船の不陸調整作業を1日で完了するなど、3次元測量データを活用した有効性が高い。防波堤、岸壁の基礎工事などでの活用や海岸構造物への応用が考えられ、波及効果も期待できる。
  • ドローン測量を活用することにより、ガット船の積載量検収作業を行い、従来2時間・4人を要していた作業が、35分・1名で実施出来、高い精度での測定とともに、船上作業は無人化されるなど、安全性も向上している。起重機船や台船上の投入材積込み量の検収などへの応用が可能で、波及性も期待できる。


優秀賞 株式会社 荒木組 (岡山県)


【取組名】
玉島笠岡道路西大島地区改良工事

推薦者: 中国地方整備局
発注者: 中国地方整備局 岡山国道事務所
業者名: 株式会社荒木組
工期: 2020年04月01日~2021年11月30日
施工場所: 岡山県笠岡市
請負金額: 464,420,000円

【概要】
企業がICT施工を活用をしない要因として【3次元設計データを作成には道路中心線形計算書が必要】【作業土工や仮設工に道路中心線形計算書が存在しない】という課題がある。


本工事では、線形計算書を必要とせず、工事測量と理論が近いTIN(Triangulated Irregular Network)サーフェスによる3次元設計データ作成手法を採用し、現場技術者によるタイムリーかつ柔軟な3次元設計データの作成に取組んだ。

【講評】
  • 道路改良工事において、工事測量とTINサーフェス(三角形で構成された3次元の面データ)による3次元設計データ作成手法を採用。土工全般(仮設工や作業土工含む)をモデル化し、施工検討からICT施工、数量算出まで一貫した3次元設計データを、タイムリーで柔軟に作成している。従来の道路土工だけではなく、4工種(置換工、仮設工、作業土工にも)に適用工種を拡大し、施工検討では工事用道路と函渠床掘が干渉する事による修正設計を現場技術者が行うなど、効率的な施工となった。
  • TINサーフェスで作成した3次元設計データを2次元化する事で構造をチェックする手法を確立することにより、誤った形状の3次元設計データによる施工ミスの発生を防ぐなど、活用の工夫を行っている。

優秀賞  りんかい日産建設株式会社 四国支店


【取組名】
高松港朝日地区航路(-12m)浚渫工事

推薦者: 四国地方整備局
発注者: 四国地方整備局 高松港湾・空港整備事務所
業者名: りんかい日産建設株式会社 四国支店
工期 :2021年05月10日~2021年10月15日
施工場所: 香川県高松市
請負金額 :312,400,000円

【概要】
遠距離場所にて他事業工事との調整が伴う土砂投入施工であること、多くの船舶が輻輳する施工エリア、且つ潮流が速い場所での施工のため、「ハイブリッドシステムかつ自動運転機能を搭載したグラブ浚渫船とGNSSを搭載した均し台船」で施工管理を行うことで労務負荷の軽減を図った。


また「航路浚渫支援システム等」を活用し、安全管理を行うことで周辺船舶の動向把握を効率化し、安全性の向上等に取り組んだ。

【講評】
  • 「ハイブリッドシステム」と「自動運転機能を搭載したグラブ浚渫船の使用」により、効率的な浚渫が行われ、自動制御による浚渫・旋回・積込みにより約3割効率性が向上し、「航路浚渫支援システム」により最適退避時間と最適退避距離を自動表示することで作業効率が約1割向上、さらに不陸整正にGNSS搭載「均し台船」により施工し、工程も約1割短縮することができ、有効性が高い。
  • グラブ巻下げ時に発生するエネルギーを蓄電し、巻上げ時のアシストとして活用することで燃料消費の効率化(25~35%削減)し、排気ガスを低減(約50t-CO2削減)。
  • 「自動衝突予防援助装置付レーダーシステム」は、船舶の自動追尾と警報により、長距離土砂運搬における安全性が向上。「航路浚渫支援システム」は、経験の浅い技術者でも安全性を高めるこが可能となり、波及性が期待。


優秀賞 株式会社 熊野組(熊本県)


【取組名】
令和2年度竜門ダム法面災害復旧工事

推薦者 :九州地方整備局
発注者: 九州地方整備局 菊池川河川事務所
業者名 :株式会社熊野組
工期 :2020年07月30日~2021年05月31日
施工場所: 熊本県菊池市
請負金額: 145,860,000円

【概要】
平成28年の熊本地震において緩んだ地盤が施工箇所は,急崖形状を呈しており、岩盤部の風化進行も顕著であったため、安全性を確保した施工方法の計画・立案が重要となる。


そこで、UAVによる3次元起工測量、3D設計データによる施工シュミレーション、急斜面専用のICT法面掘削機による掘削施工を実施し、現場管理業務と掘削作業の安全性向上を図った。

【講評】
  • 熊本地震により、施工時の安全性確保に課題があった急崖斜面の現場において、起工測量から施工計画、急斜面の法面掘削まで、ICT施工技術の全面的な採用により、現場管理の安全性を格段に向上させた。
  • 従来、特に危険を伴う地形測量の実施では、急斜面部に一切立ち入ることなく詳細な地形情報を取得できた。3次元設計データで掘削シミュレーションを行い、そのデータを斜面専用のICT掘削機に登録・活用することにより、危険箇所での丁張り設置作業を一切行う必要がなくなり、省力化と安全性が大幅に改善された。
  • 施工箇所がオーバーハング形状を含む急崖部であるため、プログラム自動飛行による垂直方向撮影(従来方法)と、マニュアル飛行による水平方向撮影(今回採用)を併せて実施することで、高精度(誤差±5㎝未満)かつ高密度な3次元点群生成による地形測量を可能とした。


優秀賞  あおみ建設株式会社九州支店


【取組名】
令和3年度八代港大築島土砂処分場地盤改良工事

推薦者: 九州地方整備局
発注者: 九州地方整備局 熊本港湾・空港整備事務所
業者名:あおみ建設株式会社九州支店
工期: 2021年05月25日~2022年01月14日
施工場所: 熊本県八代市
請負金額: 1,094,445,000円

【概要】
八代港では航路の増深を実施しており、それに伴い発生する浚渫土砂の受入れ場所の確保のため、土砂処分場を整備を進めている。


本工事は、土砂処分場護岸の築造箇所に厚く堆積した軟弱地盤層の海上地盤改良工として、地盤改良ICTシステムを活用し、サンドコンパションパイル(以下SCPと表記)の施工に取り組んだ。

【講評】
  • 海上地盤改良ICTシステムにより、ケーシングの状況(深度、断面)と海底面をリアルタイムに可視化し、想定した打ち止め層を取り込むことにより3D画面で貫入深度を確認するなど、陸上の現場事務所からも施工管理が行われている。SCP打設に伴う海底面の盛り上がりに対応し施工途中で杭長データを変更を可能にするなど、有効性のある取り組み。
  • またSCP船のオペレータとの画面共有や帳票自動作成機能により書類作成の時間を80%削減するなど、効率化が図られている。
  • 施工管理がオペレータの経験や技量に依存されず、他の地盤改良工事にも適用が可能であり、波及効果が期待できる。


【地方公共団体等の取組部門】


国土交通大臣賞  埼玉県


【取組名】
土砂災害警戒区域の照会迅速化

推 薦 整 備 局 等: 関東地方整備局
地 方 公 共 団 体 名: 埼玉県
取組主体: 埼玉県

【概要】
県土整備事務所の窓口では多くの問合せのうち、土砂災害警戒区域の確認は年間約160件程※対応している。


確認対象地の特定には、住宅地図や公図等を用いて、区域指定総括図と照合する確認作業に多くの時間とともに人的資源を要していたため、確認に必要な関連する情報すべてをGIS(地理情報システム)に搭載することにより、確認作業が瞬時に行われ、問い合わせに対しても迅速に対応が可能な体制を構築した。
※秩父県土整備事務所の場合

【講評】
  • 土砂災害警戒区域、砂防指定地、急傾斜地等の指定範囲のほか、各種砂防施設等の情報をGISに搭載することにより、デジタルデータによる情報管理、活用の利便性が大幅に高まった。
  •  情報のデジタル化により、複製やバックアップが容易になり、資料の劣化や紛失のリスクが軽減。情報更新も迅速に可能となり、いつでも最新の正確な情報を基に対応することが可能となった。これらは、住民の利便性の向上ととも業務の効率化につながり、行政サービスのさらなる向上が期待できるものである。
  • 従来は、特定が困難となった場合、多くの資料(104冊約7万ページ)を横断的に確認する作業が必要となり、半日程度の時間を要するケースもあったが、GISの検索が可能となったことにより同様のケースでも15~20分程度で確認、回答が可能となった。

優秀賞   大阪府


【取組名】
大阪モノレール延伸事業における関係機関協議の円滑化

推薦整備局等: 近畿地方整備局

地方公共団体名: 大阪府
取組主体 :大阪府

【概要】
大阪モノレール延伸事業において、概成化された市街地内に連続高架橋を建設するため、多くの構造物と交差・近接し管理者との移設・近接協議が必要となる。協議対象者が多岐にわたることから、協議者に合わせた資料作成が課題となった。


特に既存構造物及び計画される淀川左岸線及び門真JCT(NEXCO西日本)は立体交差しつつ工事期間が重複することから円滑かつ確実に合意形成を図るため、現況地物や地下埋設物を3次元モデルとして再現し、新規事業(大阪府・NEXCO西日本)の構造物をBIM/CIMモデルに可視化することで事業計画の説明に活用。

【講評】
  • BIM/CIMを活用することにより、立体空間での離隔距離及び干渉具合を可視化することで双方の施工重機の範囲・プラントの位置を設計段階で把握するなど、関係機関との調整や協議、地域への説明等、あらゆる場面で有効に活用しており、生産性の向上と有効性・波及性の高い取り組み。
  • 4Dモデルによる施工計画等を時系列化して表すことで、施工段階ごとに、施工ヤード、工法や工期の設定等について、関係者で確認することが容易となった。また、モデル作成により走行シミュレーションを行い、運転者目線での視点確認や、計画段階での信号・標識等の設置位置に関する協議等の合意形成が効率的に実施。


優秀賞 熊本県


【取組名】
道路情報収集活用のためのシステム構築(熊本県)

推薦整備局等: 九州地方整備局
地方公共団体名: 熊本県
取組主体:熊本県


【概要】
道路パトロールや各種調査委託により収集された道路情報を、課内に設置したサーバーに集積し各種アプリケーションの活用により業務の効率化を図るものである。


作業用Excelファイル(※)をプログラム化により極力自動化し、日報作成業務を効率化した。

また、現場での作業記録はデジカメ撮影のみとした事で、現場作業時間を確保できた。さらに、作業情報をデータベース化して、時期や路線毎に発生状況のグラフ化など「見える化」を図った。

※ 作業用Excelファイルとは現場の意見を取り入れて、県独自で開発したもの。作業はパトロール後に必要項目を入力


【講評】
  • 道路管理における各種情報をデータベース化することにより冠水や落石が多発する場所など、道路特性が確認でき、特性に応じた監視体制を取ることが可能となるため、維持管理の効率化が図られる。
  • また、蓄積されたデータをGISの活用で「見える化」することにより、各種事業の検討にも活用が期待出来るとともに、写真に位置情報を持たせているため、他業務で作成した防災点検情報などと重ね合わせる等、新たな視点での情報評価が可能であり、有効性の高い取組み。
  • 道路パトロール後の日報作成作業が短縮(約30分程度)されるとともに、汎用ソフトのプログラム化により構築されているため、道路以外の業務でも応用して利用する可能性があり、波及効果が期待できる取組み。

i-Construction推進コンソーシアム会員の取組部門

国土交通大臣賞 株式会社Arent(東京)


【取組名】
納まり検討工数を90%削減可能なRevit アドイン Lightning BIMの開発

【概要】
Arentは高い把握力・モデル力・実装力を持って、Revitアドインの開発に取り組んだ。何かと時間のかかる配筋関係の作業時間を90%減らすことができるのが『Lightning BIM 自動配筋』である。

配筋検討プロセスの各工程を自動化し、作業工程の高速化を実現した。技術の特長は以下の通りである。
  1. ファミリ情報から配筋自動生成
  2. ルールに従って自動定着パネルゾーンの自動接続
  3. 干渉を回避して自動配置

【講評】
  • 納まり検討の工数を最大90%削減することができる点が最大の特徴。構造設計ソフト SS7のデータ(STBデータ)をそのまま読み込むことができ、簡単で比較的シームレスな業者間・他部署間連携が可能。また、データを蓄積することが可能となり、工期の死守と、ノウハウ蓄積、職人技の暗黙知の伝承を全て行うことができる。
  • 業界初の機能として自動干渉回避等も実装。モデリングも、鉄筋1400本が約10秒で可能となる速さにより、抑えた時間をデザインの時間に割くことが可能。外部機械への連携も行うことができ、既存ツールとの相性も良い。
  • 2022年4月に本格ローンチし、すでに約35社※程度が使用、1社平均5アカウント以上を発行しており、200名ほどが構造設計、設計から施工まで幅広く利用。既存のユーザーグループが使用しているフォーマットを踏襲しているため、早く慣れることが出来、どんな方でも使うことのできるUIである。


国土交通大臣賞 国際航業株式会社(東京)


【取組名】
GNSS・IoTセンサ・衛星SARの統合によるインフラ点検の省力化・効率化の取組み

【概要】

GNSSやIoTセンサをクラウド上で統合し、24時間遠隔監視のもと、計測結果を直観的に表示・分析できるリアルタイム自動計測システムを開発した。


また、GNSS、IoTセンサ、衛星SARを統合することによる、面的かつ連続的に変位を把握する取組み「時空間的に連続したモニタリング」を始めている。

既にダム堤体や貯水池地すべり等でGNSS・IoTセンサ・衛星SARの統合事例があり、これらの技術は、技術基準やマニュアルにまとめられ始めている。

【講評】
  • GNSS、衛星SAR、IoTセンサを統合することで、「時空間的に連続な」変位計測が可能。衛星SARは現地にセンサ設置不要で測定できることから、貯水位急上昇時でも、モニタリングのトータルコストを低減。GNSS+IoT統合のリアルタイム自動計測は100以上、GNSS+IoT+SARを用いた計測は21の現場で試行導入している。
  • リアルタイム自動計測システムは、マウス操作だけで分析が可能で利便性が高く、現場・管理事務所・リモートワークなど場所を問わず、リアルタイムに、インフラの安全性を判断できる。より便利に理解しやすく、省人化・効率化を実現できる。
  • 切土のり面、盛土のり面などのインフラ監視や、災害現場(地すべり、深層崩壊)、大規模盛土や産廃処分場などの変動監視、広域地盤沈下計測など、さまざまなインフラの変位モニタリングにも適用可能である。


優秀賞 株式会社Polyuse (東京)


【取組名】
コンクリート構造物の施工工事における建設用3Dプリンタ

【概要】
型枠を使用せず、モルタルを積層してコンクリート構造物を作成する技術。養生する期間が1日と短期間の施工が可能であり、工期の短縮や生産性を向上させることができる。


加えて現在不足し、課題となっている型枠職人の熟練した技術がなくとも未経験者が2~3日で容易に技術習得することで同種構造物を製作できる。プレキャストと比較しても多様な形状を鋼製型枠を組み替えることなく1台のマシンで3次元CADデータに基づき造形が可能。

【講評】
  • 建設用3Dプリンタは現在不足している型枠工の適材適所配置に寄与することができ、工期短縮や生産性の向上効果を見込める。また、誰でもが簡易的に特殊な構造物を作成することができる点でも工種依存することなく利活用できる有効性がある。
  • 試験検証により、長期劣化耐性に対しても表層透気試験により通常のコンクリートと同等以上の劣化耐性を保持することも示され、国内の施工環境に十分に耐えうることが確認された。ニアサイドプリンティング、オンサイトプリンティング、オフサイトプリンティングに対応し、最も適した施工プランニングが可能になっている。
  • 2022年11月時点において27件の施工実績及び予定が決定し、国内の土木現場への建設用3Dプリンタ活用を一気に普及させる契機となった。国土交通省発注工事だけでなく、地方自治体や鉄道会社など公共、民間問わない幅広い現場で適応され、土木だけでなく建築領域への適応も加速している。


優秀賞 極東建設株式会社 (沖縄)


【取組名】
水中バックホウのマシンガイダンス適用による作業効率向上

【概要】
水中工事は今だ潜水士による手作業での工事が多いが、水中バックホウ(ハード)にマシンガイダンス技術(ソフト)を取り入れることで水中施工のさらなる効率化を実現。


水中用マシンガイダンスは、陸上建機用に市販されるセンサ、ソフトウェアが適用できず、水中環境用にセンサを選定。また、ソフトウェアも水中独自で対応している。

例えばマウンド形状をソナーによって計測、機体周辺の既設構造物の3D背景に即時、表示させることにより、水中透視度の低い濁水中でも安全で効率的な施工が可能となった。

【講評】
  • 水中施工に対し、水中マシンガイダンスを実現することで、透明度に依存しない水中の情報を直接確認することが可能となった。特に、マウンド形状を3Dで計測、画面更新できるソナー技術や、バケットの姿勢を遅延なく表示する磁歪式ストロークセンサの採用により、水中での作業環境を感覚的に空間把握することが可能である。
  • 音響プロファイルソナーにより、潜水士の目視に依存しない作業状況の認識が可能となった。従来、海底の認識は画面反映までは5時間程度要したのに対し、今回は1分程度で更新できるようになっている。
  • 外界計測ソナーを使用することで今まで透明度が低く水中バックホウによる施工が適応できなかった水域でも水中の機械化施工が実現可能となり、全国的な展開や、港湾だけでなく、河川、ダムへの展開が期待できる。


優秀賞  宮川興業株式会社(広島県)


【取組名】
AIによる道路区画線診断技術「ROADVIEWER(ロードビューアー)」

【概要】
走行車両からスマホでの自動撮影とAI技術による区画線の自動認識・剥離率の解析・判定結果の電子地図上への表示、補修数量の算出・表示等により、維持メンテナンスの効率化、定量化、可視化を実現した。


【講評】
  • GPSによる自動撮影機能の専用アプリをもったスマホを車両に取り付け、走行するだけで設定した撮影間隔のデータを取得し、そのデータをシステムに読み込んだ後は全ての撮影データを自動でAIが区画線を認識し剥離率で定量化する。
  • 人員の削減による経済効果を77.29%向上/100km、日数の削減を75%短縮/100kmした。また、個々の主観的な目視評価ではなくAI技術によるバラつきのない評価である。多業種で人手不足が懸念される日本社会において自動運転がもたらす人手不足解消と経済効果及び安全な交通社会に向け、全国全路線を対象に機関を問わず本システムを活用して道路区画線点検の効率化を図ることができる。
  • 今年度NEXCOより管轄する全国の高速道路を対象に自動運転車(自動運転レベル1)による道路区画線検知の走行調査を実施し、不検知となった全体の約14.3%(1290㎞)の解析業務を移動時間も含め2週間/2班で完了した。


優秀賞 株式会社Liberaware、CalTa株式会社(千葉、東京)


【取組名】
屋内自動巡回ドローンと画像解析技術を活用した施工管理DX

【概要】
水力発電設備の更新工事を遠隔地で効率的に施工監理することを目的に、自動巡回ドローンとデジタルツイン技術を活用した。


自動ドローンにより現地の映像を撮影し、別途整備した5G回線を用いてクラウドに送信し点群化処理を行うことで、遠隔地においてもPCやタブレット端末上で必要箇所の確認・計測ができる環境を構築し、施工監理を実施した。高速で精度の高い点群化処理とともに、点群が自動で位置が合わせられるようなマーカー配置と撮影ルート設定などを行い、リアルタイム性を追求した。

【講評】
  • 自動巡回ドローンを活用することで、現地の状況が自動で点群などの3Dデータ化に変換され一定時間おきに蓄積されることから、施工会社と監督員は同一時間で現地を確認する必要がなく、両者とも自分のスケジュールに合わせて施工管理・監理が可能となる他、監督員の移動時間の解消等、大幅な生産性向上につながった。
  • 対象物に近接して画像が撮影できるというドローンの長所を生かし、高精度な点群を取得することで、現地で現物を見ての施工確認と遜色ない施工監理が可能となった。遠隔地の建設工事現場の数は多く、これらの現場への波及性は非常に高い。
  • また、リモートワークの導入がしにくい建設現場において、PCやタブレット端末さえあれば、どこでも施工監理できるような手法は、働き方の多様性が求められる現代のニーズとも非常にマッチしている。


優秀賞  株式会社フォトラクション(東京)


【取組名】
建設DXのためのデジタルワークプレイス「Photoruction」クラウドサービスとAI BPOが実現する飛躍的な生産性向上

【概要】
Photoructionはアプリケーションとオペレーションの両面から生産性向上を支援できる。

具体的には、写真や図面など、建設生産におけるデータを一元管理し、書類作成や検査業務などを効率よく実施できるオールインワンのクラウドサービス(アプリケーション)と、アプリケーションだけでは効率化が難しい課題に対してAIを活用したBPOサービスを提供している。


すでに、150,000件※以上の工事現場で利用されており、生産データとオペレーションを標準化する新しい働き場所としてのデジタルワークプレイスを提供することで建設DXを推進する。

【講評】
  • Photoructionを活用した配筋検査の事前準備作業は、主に「①図面情報の設定」「②参考図の作成」「③黒板の作成」「④検査ピンの作成」の4つのタスクに分かれる。AIを活用することでそれぞれ平均で65%以上の工数削減に成功した。
  • 建築図面に対して対象の情報を取得するAIをディープラーニングを用いて開発したこと、そしてAIが解析した結果を人が効率よくチェックするというシステムを構築したことで、建設業におけるAIの汎用的な実務利用を可能にした。
  • 建設業特化のAIに関してはデータが個社ごとに独自な内容も含まれるが、基盤は共通のものを活用しているため、他の企業でも同様の業務を行なっていれば応用可能となっている。また、タスクごとにAIを構築して対応可能な業務を増やすことで、幅広く建設業界へ普及することが可能な取組である。


優秀賞 シェルフィー株式会社(東京)


【取組名】
安全書類電子化サービスで、建設業全体に「業務時間の削減」と「管理体制の強化」を生み出す

【概要】
Greenfile.workは建設現場における安全書類業務をweb上で作成から提出・受け取り、保管できる書類管理サービス。



全ての書類をクラウド上で一元管理でき、また協力会社サービスに招待することで、書類の回収や是正を効率化する。それにより現場業務の効率化と、安全管理の品質向上の観点で建設DXを実現する。

【講評】
  • 安全書類業務において従来の紙・エクセル運用と比較した場合、Greenfile.workを活用することで73.8%の時間を削減。その余剰時間により、「①安全書類をより注意深くチェックし管理体制の強化」と「②現場のより本質的な業務に注力でき、工事全体の品質向上」に繋がっている。全国10万の企業に導入している。
  • 安全書類の作成・管理だけではなく、サービス上で蓄積したデータを利用して建設キャリアアップシステム(CCUS)との連携や入退場管理、基幹システムとの連携など、業界のスタンダードとなる環境構築を広く浸透できるように提供している。登録した「現場情報」や「編成情報」等が自動でCCUSと連携されるため、その親和性の深さと利便性の高さからより一層の波及が予想される。
  • 安全書類は工事や工事規模に関わらず作成が求められるため工種や規模問わず活用可能となっている。また、登録したデータは異なる元請会社や現場を越境してクラウド活用できる。





参考・画像元:国土交通省プレスリリース
WRITTEN by

デジコン編集部

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