ICT基礎知識
3次元(3D)データの活用で変わる建設・土木の未来
国土交通省が平成28(2016)年から推進する、アイ・コンストラクション(i-Construction)の取り組みで、重要視されているのが3次元(3D)データの利活用だ。
2025年までに建設業界の生産性を20%向上させることを目指しているアイ・コンストラクションにおいて、3次元データを活用することは必要不可欠とされている。
実際に、どのように3Dデータを生かせばよいのだろうか。
3Dによる設計、ドローンなどを活用した3D測量などが考えられるが、もう少し詳しくみていこう。
建設・土木業界で3Dデータを利活用することは、どれほど有効なのであろうか。
設計、測量から施工、維持管理など建設プロセスは、3Dデータを活用することによって、関係者間の情報やイメージの共有が容易になり、確認や修正が生じる場面でとくに効率化されるとされている。
3Dデータでは、コンピューター上でさまざまな角度から建設段階の構造物の状態を確認することができ、2次元の図面では確認が難しかった問題を発見することが可能だ。さらに図面の共有も、これまで以上に容易になる。
ただし、3Dデータでは、2Dよりもデータ量が増加するという問題がある。また、対応する機器やソフトウェアも必要となり、デジタル環境の整備の負担が生じる点が普及への課題となっている。
日本では、国交省の旗振りにより導入がはじまった建設分野での3Dデータの利活用。課題も多く、普及にはまだ時間もかかりそうだ。
いっぽう、海外では建設3Dデータの活用が進んでいる国もある。どのようなものがあるのか、少しみていこう。
BIM(Building Information Modeling)とは、これまで2次元で行われてきた設計を3次元で行うこと。設計、資材、構造、設備などの情報を1つのデータで管理するシステムである。従来なら図面のみでの管理だったが、図面の上に資材の仕入れ先や価格などの詳細情報までが記憶され、一括管理されているのである。
もともとはアメリカ発祥の技術であり、アメリカはもちろんのこと、シンガポールで発展している。2016年に「バーチャル・シンガポール計画」が考案され、3Dで建物や場所だけでなく、地上インフラも統合して情報を管理することを目標としている。
オランダの建設会社BIM infraは、アイントフォーフェンに全長29メートルもの世界で最大の3Dプリンター橋を開発した。3Dプリンターを使用することで、自由自在に設計できること、デジタル設計によって完成までの期間が短いことなどのメリットがある。
また、3Dプリンタは型枠を必要としないというメリットもあるため、デザイン性にも優れた橋が完成する。曲線を美しく形作ることが可能になるなど、これまでは実現が難しかったデザインを楽しむことができるようになった。
じつは日本でも「バーチャル・シンガポール計画」に類する3Dデータ活用計画が進められている。
アイ・コンストラクションにおいて取得される3次元データの活用法のひとつとして、国土交通省は、「国土交通データプラットフォーム(仮称)」というインフラ・データプラットフォームを構想しているのだ。
国土交通省及び民間等が保有するデータを連携し、業務の効率化や施策の高度化、産学官連携によるイノベーションの創出を目指す「国土交通データプラットフォーム(仮称)整備計画」を策定。
国土交通省は、構造物、地盤、地図など国土に関するデータ、交通、物流、観光など経済活動に関するデータ、気象、防災など自然現象に関するデータなどを多く保有しており、これと民間のデータを連携し「国土交通データプラットフォーム」を構築。
現実空間の事象をサイバー空間に再現するデジタルツインを実現することによって、業務の効率化やスマートシティなどの国土交通省の施策の高度化、産学官連携によるイノベーションの創出を目指すとしている。
これは政府・各省庁・地方公共団体・民間業者などの連携によって作られるとされており、民間建築物のデータ、各管理者の維持管理情報などを紐づけるための基本的な土台となる。
一例としては、基盤地図情報や地盤情報データを共通中間データに落とし込み、インフラの建設やメンテナンス時に入手した3Dデータをプラットフォームで統合する。これによって、国土情報が3D化されている「国土交通データプラットフォーム」を構築しようというもくろみだ。
このデータプラットフォームは、将来的に、地方公共団体や民間事業者が工事をする際に、3次元プリンターやロボットによって施工したり、適正な工期を設定したりするといった、施工高度化モデルに活用できるとされている。
そのほか、施設の管理に生かす「アセットマネジメントモデル(施設レベル)」、自然災害への対策に利用する「防災・減災モデル」といったものがプラットフォームの利用例として想定されている。
こうしたデータプラットフォームも、建設分野での3Dデータ取得が行われてはじめて可能となるものであり、アイ・コンストラクションは、建設土木分野だけにとどまらない、今後の国土形成に不可欠なものと考えられている。
建設分野での3Dデータ活用は、より積極的に広まっていくだろう。
2025年までに建設業界の生産性を20%向上させることを目指しているアイ・コンストラクションにおいて、3次元データを活用することは必要不可欠とされている。
実際に、どのように3Dデータを生かせばよいのだろうか。
3Dによる設計、ドローンなどを活用した3D測量などが考えられるが、もう少し詳しくみていこう。
3Dデータの利活用による効率化は可能?
建設・土木業界で3Dデータを利活用することは、どれほど有効なのであろうか。
設計、測量から施工、維持管理など建設プロセスは、3Dデータを活用することによって、関係者間の情報やイメージの共有が容易になり、確認や修正が生じる場面でとくに効率化されるとされている。
3Dデータでは、コンピューター上でさまざまな角度から建設段階の構造物の状態を確認することができ、2次元の図面では確認が難しかった問題を発見することが可能だ。さらに図面の共有も、これまで以上に容易になる。
ただし、3Dデータでは、2Dよりもデータ量が増加するという問題がある。また、対応する機器やソフトウェアも必要となり、デジタル環境の整備の負担が生じる点が普及への課題となっている。
3Dデータの活用の海外の事例
日本では、国交省の旗振りにより導入がはじまった建設分野での3Dデータの利活用。課題も多く、普及にはまだ時間もかかりそうだ。
いっぽう、海外では建設3Dデータの活用が進んでいる国もある。どのようなものがあるのか、少しみていこう。
シンガポール:インフラへのBIM(ビム)の活用
BIM(Building Information Modeling)とは、これまで2次元で行われてきた設計を3次元で行うこと。設計、資材、構造、設備などの情報を1つのデータで管理するシステムである。従来なら図面のみでの管理だったが、図面の上に資材の仕入れ先や価格などの詳細情報までが記憶され、一括管理されているのである。
もともとはアメリカ発祥の技術であり、アメリカはもちろんのこと、シンガポールで発展している。2016年に「バーチャル・シンガポール計画」が考案され、3Dで建物や場所だけでなく、地上インフラも統合して情報を管理することを目標としている。
オランダ:3Dプリンター橋
オランダの建設会社BIM infraは、アイントフォーフェンに全長29メートルもの世界で最大の3Dプリンター橋を開発した。3Dプリンターを使用することで、自由自在に設計できること、デジタル設計によって完成までの期間が短いことなどのメリットがある。
また、3Dプリンタは型枠を必要としないというメリットもあるため、デザイン性にも優れた橋が完成する。曲線を美しく形作ることが可能になるなど、これまでは実現が難しかったデザインを楽しむことができるようになった。
日本のインフラ・データプラットフォーム構想
じつは日本でも「バーチャル・シンガポール計画」に類する3Dデータ活用計画が進められている。
アイ・コンストラクションにおいて取得される3次元データの活用法のひとつとして、国土交通省は、「国土交通データプラットフォーム(仮称)」というインフラ・データプラットフォームを構想しているのだ。
国土交通省及び民間等が保有するデータを連携し、業務の効率化や施策の高度化、産学官連携によるイノベーションの創出を目指す「国土交通データプラットフォーム(仮称)整備計画」を策定。
国土交通省は、構造物、地盤、地図など国土に関するデータ、交通、物流、観光など経済活動に関するデータ、気象、防災など自然現象に関するデータなどを多く保有しており、これと民間のデータを連携し「国土交通データプラットフォーム」を構築。
現実空間の事象をサイバー空間に再現するデジタルツインを実現することによって、業務の効率化やスマートシティなどの国土交通省の施策の高度化、産学官連携によるイノベーションの創出を目指すとしている。
これは政府・各省庁・地方公共団体・民間業者などの連携によって作られるとされており、民間建築物のデータ、各管理者の維持管理情報などを紐づけるための基本的な土台となる。
一例としては、基盤地図情報や地盤情報データを共通中間データに落とし込み、インフラの建設やメンテナンス時に入手した3Dデータをプラットフォームで統合する。これによって、国土情報が3D化されている「国土交通データプラットフォーム」を構築しようというもくろみだ。
国土交通データプラットフォームの利用方法
このデータプラットフォームは、将来的に、地方公共団体や民間事業者が工事をする際に、3次元プリンターやロボットによって施工したり、適正な工期を設定したりするといった、施工高度化モデルに活用できるとされている。
そのほか、施設の管理に生かす「アセットマネジメントモデル(施設レベル)」、自然災害への対策に利用する「防災・減災モデル」といったものがプラットフォームの利用例として想定されている。
こうしたデータプラットフォームも、建設分野での3Dデータ取得が行われてはじめて可能となるものであり、アイ・コンストラクションは、建設土木分野だけにとどまらない、今後の国土形成に不可欠なものと考えられている。
建設分野での3Dデータ活用は、より積極的に広まっていくだろう。
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