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デジコン編集部 2022.12.29

国内初!大成建設が「建設用3Dプリンティング」に適用できる「環境配慮コンクリート」開発

大成建設が、国内で初めて建設用3Dプリンティングに適用可能な「環境配慮コンクリート
」を開発した。

CO2排出量を削減する環境配慮コンクリートの開発で培った「コンクリート材料や製造技術」のノウハウを活用したもので、本技術で製作した建設部材は、コンクリートの性能を確保しながら、複雑で多彩なデザインと機能を有しており、CO2排出量削減も同時に実現する。

また、これらの部材は、2022年度中に同社グループ企業の「大成ユーレック 川越工場」
のリニューアル工事で活用されるという。

(環境に配慮した多彩なデザインと機能を有する部材設計と3Dプリンタでの製作過程)

大成建設は、これまでCO2排出量の抑制や脱炭素型社会の実現に向けて、環境配慮コンクリートや、大気中や工場などの排気ガスより回収したCO2から製造した炭酸カルシウムを高炉スラグ主体の結合材と固化させることで、コンクリート内部にCO2を固定するカーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete/Carbon-Recycle」の開発を成功させており、シールドトンネルを始めとするインフラ構造物、研究施設や工場などの建築物への適用実績を重ねてきた。

また、コンクリート構造物の新施工法として、2018年から型枠を使わずに複雑な形状の建材を短時間で自動製作し、省人化施工が可能な建設用3Dプリンティング技術「T-3DP®(Taisei-3D Printing)」の開発を進めている。

2020年には、国内初となるプレストレストコンクリート構造を適用したコンパクトな歩行専用の「橋」を製作し、トポロジー最適化手法※に基づき、従来の型枠による施工では実現困難な軽くて強い構造体を完成させている。

※トポロジー最適化手法:構造分析、感度解析、モデル変更を繰り返しながら不要な材料を削り、最終的に軽くて強い構造になるような形を見つける手法。

本技術は、省人化や生産性向上だけでなく、型枠などの建設廃材や使用材料を削減するという面からも、CO2排出量の抑制など環境負荷低減に貢献する技術として注目されている。


そして今回、大成建設では、これらの保有技術を組合わせ、さらなるCO2排出量の削減を実現するため、3Dプリンティングに適用可能な環境配慮コンクリートを開発した。

これまで3Dプリンティングへの適用が困難であった環境配慮コンクリートの特性を踏まえ、その構成材料の組合わせや比率、混和剤の配合などを調整することで、最適な粘性と流動性を保ち、建設用3Dプリンティングに適用することが可能となった。

加えて、3Dプリンティングを活用することで、様々な用途や機能形状、大きさなど、多彩なデザインと機能を有する部材の製作が可能になるのも大きな特長だ。


参考・画像元:大成建設プレスリリース
WRITTEN by

デジコン編集部

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