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デジコン編集部 2026.10.21

1,000km先から、トンネル内の0.2mmのひび割れを検査。安藤ハザマ・NTTら、IOWN技術で坑内の遠隔施工管理を実証

CONTENTS
  1. 高精細映像や3次元データの安定伝送が、遠隔管理の壁に
  2. 椿原トンネルで光ファイバを1,100m敷設。発破・粉塵・湧水に耐える構成に
  3. 0.2mmのひび割れを遠隔で発見、AI検出にも成功。約20GBの点群を1分で伝送
安藤ハザマ、NTT、富士通グループでネットワーク事業を担う1Finity(神奈川県川崎市)の3社は、安藤ハザマが施工中の山岳トンネル建設現場で、IOWN®技術を活用した大容量高速データ通信の実証実験を実施した。

粉塵や湧水のあるトンネル坑内に、IP65準拠かつ総延長1km以上の坑内延伸に対応できる光通信ネットワークを構築したものだ。

1,000kmの長距離通信を模擬した大容量・高速のAPNと接続し、トンネル最奥部(切羽)を含むカメラ15台の映像を伝送しながら、4K映像を通じて幅0.2mmのひび割れを遠隔で確認した。

高精細映像や3次元データの安定伝送が、遠隔管理の壁に


山岳トンネル施工では、人手不足や熟練者の高齢化、災害リスクの高い切羽近傍での作業を背景に、遠隔管理が求められている。

一方で、従来の現場ネットワークでは、遠隔管理における現場技術者の施工判断に不可欠な高精細映像や、レーザースキャナなどで取得した大量の3次元計測データを、リアルタイムで安定的に伝送することが課題となっていた。

今回の実証実験は、トンネル坑内から遠隔拠点までのAPN構築による大容量ネットワーク化を目的としたものだ。


IOWN Global Forumにおける「トンネル工事現場の革新に向けたユースケース」である遠隔監視、遠隔検査、遠隔解析、リモートモニタリングなどを実現するための技術基盤の構築を目指す。

切羽をはじめとする坑内の任意の箇所のデータを大容量伝送できることは、これらのユースケースの実現にとどまらず、今後の施工自動化・最適化を支えるAI活用やデジタルツイン構築、ロボットの遠隔制御に必要な通信インフラとしても重要となる。

椿原トンネルで光ファイバを1,100m敷設。発破・粉塵・湧水に耐える構成に


実証実験は、東海北陸自動車道(4車線化)椿原トンネル工事で、2026年3月に実施された。

トンネル坑内に光ファイバケーブルを1,100m敷設し、切羽から100m間隔で6台の光伝送装置を設置。


IOWN® APNを模擬した環境により、遠隔拠点との通信環境を実現した。

山岳トンネルでは、日々の発破作業に伴う瞬間的な振動・粉塵の発生に加え、湧水による湿潤環境など、一般的なオフィスや局舎とは大きく異なる環境条件となる。

そのため、通信機器を発破による粉塵・振動や水滴に対応できる収容箱へ保管し、壁面のワイヤに吊架する設置とした。

0.2mmのひび割れを遠隔で発見、AI検出にも成功。約20GBの点群を1分で伝送


実証実験では、主に5つの成果を確認した。まず、光通信ネットワーク区間ではパケットロスがなく、ジッタ(通信遅延のばらつき)は100ナノ秒以下を維持し、24時間以上の連続稼働を実現。

また、粉塵・振動・湧水のあるトンネル坑内でも、IP65規格の収容箱内に設置した通信機器が安定動作することを確認した。

さらに、無線規格「WiGig」を用いて、通信機器の設置間隔である100mかつ遮蔽物がある場合でも、0.2mmのひび割れの目視確認に必要な通信帯域を確保した。

加えて、15台のカメラに相当する映像監視データの通信を継続しながら、レーザースキャナで取得した約20GBの3次元計測データを、坑内から現場事務所まで約1分間で伝送することに成功している。

そして、1,000km離れた拠点を想定した遠隔検査では、4K映像と音声を伝送し、坑内の幅0.2mmのひび割れを遠隔から発見できることを確認した。

この0.2mmは、国土交通省の施工管理基準などで対象とされる管理基準の一つだ。

さらに、凹凸のある壁面画像を学習させることで、AI画像解析によるひび割れ検出にも成功。

役割分担としては、安藤ハザマが実証実験環境の準備と推進を、NTTが遠隔検査・AI活用のひび割れ検知のための無線・システム構築を、1FinityがIOWN® APNを模擬した環境構築と技術的知見・機器の提供を担った。

3社は今後、IOWN® APNの実環境を活用した運用トライアルを実施する予定だ。

複数のトンネル現場をつなぎ、遠隔監視や遠隔検査、AIによる遠隔解析と施工現場へのリアルタイムフィードバック、光ファイバ設備を活用したリモートモニタリングなどを検証する。




WRITTEN by

デジコン編集部

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