ニュース
デジコン編集部 2026.9.7

東大発AIの燈、秋田の次世代モーターメーカー・アスターへ出資し経営参画。フィジカルAIとものづくりを融合し「AIネイティブな製造業」へ

CONTENTS
  1. 基幹ハードのモーター、需要拡大の裏で供給網が特定国に依存
  2. 独自積層技術「ASTERCOIL」のアスターと、フィジカルAIの燈
  3. 増資引受・「AIネイティブ工場」化・実機へのAI実装の3本柱
    1. 成長資金の供給と量産体制の強化
    2. 独自シミュレーション基盤「メルキオール」を活用した「AIネイティブ工場」への進化
    3. プロダクトへのAI実装と「フィジカルAI」ソリューションの創出
東京大学発のAIスタートアップである燈は、次世代モーターメーカーのアスター(秋田県横手市)と資本業務提携契約を締結した。

燈がアスターの第三者割当増資を引き受けて経営参画するもので、アスターの独自技術と燈のAI技術を融合し、秋田の製造拠点からグローバル市場に向けた新たな「AIネイティブな製造業」モデルの創出を目指す。

基幹ハードのモーター、需要拡大の裏で供給網が特定国に依存


モーターおよび各種パワーユニットは、世界の電力消費の大部分を占める産業の基幹ハードウェアだ。

近年、ドローンやロボティクス、次世代モビリティ、農業機械などの急速な普及に伴い、高効率な製品への需要が世界的に拡大している。

その一方で、サプライチェーンは特定国への依存度を高めているのが実情だ。

こうした課題に対し、両社は本提携を通じて、「日本国内における次世代ハードウェアの設計・量産供給基盤」の構築を目指す。

日本の強みである「現場のものづくり力」にAIを掛け合わせることで、グローバル市場で競争力を持つ高付加価値な製品を創出し、秋田の地から新たな産業モデルを確立する狙いである。

独自積層技術「ASTERCOIL」のアスターと、フィジカルAIの燈


提携の背景には、両社それぞれの強みがある。2010年に秋田県横手市で創業したアスターは、板状のアルミニウムや銅を重ね合わせる独自の積層技術「ASTERCOIL®」を保有する。

これは、従来のコイルに比べて内部の密度(占積率)を大幅に高めることで、モーターの小型・軽量化と高出力・高効率化を同時に達成した技術だ。

現在はモーター単体にとどまらず、制御機器(ESC)まで含めたパワーユニットを一貫して自社で開発・国産化しており、特定国に依存しないサプライチェーンを構成できる点が改めて評価されている。

一方の燈は、2021年の創業以来、黒字経営を続けながら建設・製造業などの基幹産業へのAI実装を進めてきた。

2026年1月には三菱電機から50億円の資金調達を実施している。

そうしたなかで燈は、ソフトウェアやAIの提供にとどまらず、自ら製造現場に深く入り込んで質の高い稼働データを取得し、ハードウェアや制御システムとAIを一体化する「フィジカルAI」を展開する必要性を認識するに至ったという。

増資引受・「AIネイティブ工場」化・実機へのAI実装の3本柱


資本業務提携の内容は、大きく3つで構成される。

成長資金の供給と量産体制の強化


第三者割当増資の引受けにより、ASTERCOIL®をはじめとする次世代モーターやパワーユニットの量産設備投資、人材採用に必要な資金を供給する。

独自シミュレーション基盤「メルキオール」を活用した「AIネイティブ工場」への進化


アスターの製造拠点に燈のシミュレーション基盤を導入し、デジタルツイン上での工場レイアウトや作業動線の最適化、設備制御の効率化を進める。

あわせて、各種センサーやデバイスから取得した現場データの蓄積・自律学習により、生産効率と品質を継続的に高める。

プロダクトへのAI実装と「フィジカルAI」ソリューションの創出


工場内で収集・蓄積した製造データやシミュレーションモデルをもとに高度化したフィジカルAIを、アスターが手がけるハイブリッドドローンやパワーユニット、将来的にはヒューマノイドなどの実機へ組み込み・応用する。

現場データとAIが双方で進化し続ける技術循環を確立し、ハードウェアの性能を極限まで引き出すフィジカルAIソリューションとして、グローバル競争力を高めていく方針だ。


WRITTEN by

デジコン編集部

建設土木のICT化の情報を日々キャッチして、わかりやすく伝えていきます。

会員登録

会員登録していただくと、最新記事を案内するメールマガジンが購読できるほか、会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。