ニュース
デジコン編集部 2026.4.14

ドローン測量×地中レーダー×磁気探査で1万年前の集落構造を解明。建設現場でも活躍する計測技術が考古学に貢献

CONTENTS
  1. 発掘せずに集落構造を「透視」。非破壊・迅速な地中探査技術の威力
  2. 「公共建築なし・住居密集型」の集落構造を確認。世界遺産ギョベクリテペとの違いが新たな謎を提示
千葉工業大学地球学研究センター、東京大学総合研究博物館、シャンルウルファ考古学博物館による日本・トルコ共同調査隊は2026年3月19日、トルコ南東部のハルベトスワン・テペシ遺跡において、ドローンによる地形測量と地中磁気探査・地中レーダー探査を組み合わせた調査を実施し、地中に埋没した多数の建築物の検出に成功したと発表した。

この研究成果は考古学専門誌「Archaeological Prospection」に2026年2月20日付で掲載された。

発掘せずに集落構造を「透視」。非破壊・迅速な地中探査技術の威力


今回の調査で中心的な役割を果たしたのは、建設・土木現場でも広く使われる3つの計測技術だ。

ドローンによる空中写真測量で遺跡全体(約5,900m²)の精密な地形モデルを作成し、続いて地中の磁気特性の違いを可視化する「地中磁気探査」と電波の反射を利用して地下構造を断面的に捉える「地中レーダー探査」を組み合わせて実施した。


大規模な発掘作業なしに遺跡全体の構造を非破壊かつ迅速に把握できるこの手法は、遺跡保護と調査効率の両立を実現しており、先土器新石器時代B前期(約1万800年前〜1万300年前)の遺跡への適用は本研究が初めてとなる。


「公共建築なし・住居密集型」の集落構造を確認。世界遺産ギョベクリテペとの違いが新たな謎を提示


調査の結果、遺跡中央付近に長方形の建築物が互いに壁を共有しながら密集して分布しており、巨大な公共建築物や広場のような構造が見られないことが明らかになった。


世界遺産ギョベクリテペ遺跡やカラハンテペ遺跡など同地域の大規模遺跡では巨大な公共建築物と小規模住居が混在していることが発掘調査で確認されているのに対し、ハルベトスワン・テペシは住居としての側面が強かったと考えられる。

【図4 ハルベトスワン・テペシ遺跡の地中磁気探査の結果。(A)磁気異常図。(B)Aと同じ図に注釈を書き加えた図。白い点線は遺跡の外周を示す。黄色い実線は過去の発掘調査で発掘された石壁の位置を表す。黄色い破線は本研究の地中磁気探査によって検出された石壁の位置を表す。遺跡の中央付近に長方形の構造が密集して分布していることが明らかとなった】

【図5 ハルベトスワン・テペシ遺跡の地中磁気探査および地中レーダー探査の結果(拡大図)。(A)磁気異常図。(B)磁気異常図にレーダー反射強度図を重ねたもの。緑色で示された部分が地中の石壁に由来する強い反射を表す。(C)磁気異常図にレーダー反射強度図を半透明で重ね、両者を比較した図。(D)Cと同じ図に、検出された石壁の位置を黄色い実線で示した図】

この結果は「石の丘群」遺跡に異なる機能を持つ集落が存在し、複雑な地域社会の階層性が形成されていた可能性を示唆する重要な成果だ。






WRITTEN by

デジコン編集部

建設土木のICT化の情報を日々キャッチして、わかりやすく伝えていきます。

会員登録

会員登録していただくと、最新記事を案内するメールマガジンが購読できるほか、会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。