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デジコン編集部 2026.3.26

世界初、宇宙ごみへの15m接近を達成。アストロスケールのADRAS-Jが293日間のミッションを終え運用終了へ

CONTENTS
  1. 遠距離接近から15mの超近傍まで。前例のないRPO技術を軌道上で実証
  2. デブリ問題は宇宙インフラの持続可能性を左右する構造課題
アストロスケールは2026年3月25日、商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J」の軌道上での運用を終了し、軌道降下の運用を開始したと発表した。

ADRAS-Jは現在、5年以内に自然落下・大気圏再突入できる軌道へと高度を下げており、最終的には大気圏で燃え尽きる予定だ。

本ミッションはJAXAの商業デブリ除去実証(CRD2)フェーズⅠとして実施されたもので、2024年2月の打上げから293日間にわたって運用された。

約1,500日間の開発期間を経て宇宙へ送り出された同衛星は、全長約11m・直径約4m・重量約3トンという日本のロケット上段の大型デブリを対象に、世界初となる本物のデブリへの近距離撮影と接近を成功させた。

遠距離接近から15mの超近傍まで。前例のないRPO技術を軌道上で実証


ADRAS-Jの主なミッション成果は、「非協力物体」——すなわち接近を想定した機能を持たない漂流するデブリ——へのフルレンジRPO(ランデブ・近傍運用)技術の確立だ。


遠方域での絶対航法から始まり、対象デブリから50mの距離での定点観測・周回観測、そして15mという極近傍への接近まで、段階的に技術を積み上げることに成功した。

接近の途中で衝突リスクを自律検知して安全な距離に退避する「FDIR」による自律アボートも経験したが、チームの冷静な判断でミッションを継続し、複数回のアプローチを実現した。

また、次フェーズのADRAS-J2での捕獲を想定している衛星分離部(PAF)の状態把握にも成功しており、2027年度に予定されるデブリ除去ミッションへの布石も打った。

デブリ問題は宇宙インフラの持続可能性を左右する構造課題


宇宙デブリの増加は、通信衛星・測位衛星・地球観測衛星など現代の社会インフラを支える衛星群の運用リスクを高める構造的な問題だ。

建設・測量・防災の現場でも衛星データの活用が進む中、宇宙環境の持続可能性を守るデブリ除去技術の確立は、地上インフラのデジタル化を支える基盤としても無関係ではない。






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デジコン編集部

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