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デジコン編集部 2022.2.8

熊谷組、建設現場内の車両走路侵入者をAIで検知するシステムを開発

CONTENTS
  1. 車両走路侵入者検知システムの基本構成
  2. AIによる人物検知アルゴリズム
  3. 車両走路侵入者検知アルゴリズム
  4. 実施工検証
株式会社熊谷組は、建設現場内の車両走路に侵入した人をリアルタイムに検知する AI システムを開発したと発表した。

場内のカメラ映像から車両走路に人が侵入したことをAIが正確に検知し、警報装置(回転灯)を動作させる。瞬時に走路内の侵入者を車両運転手に知らせることで、侵入者との接触を防止することが可能だ。

一般道から建設現場内に進入した車両は、場内を反時計回りに走行し、バックホウで土砂を積み、一般道へ退場する。


今回、AI検知エリアをAREA01~04と設定。(図-1)安全通路が設置困難なAREA01~04毎に、ネットワークカメラと回転灯を設け、車両走路内の侵入者をAIにて検知した場合、瞬時に回転灯を動作させ、車両運転者に侵入者の存在を知らせるAIシステムとなる。車道監視員なしでも車両走路上の侵入者との接触事故を未然に防ぐことが可能となる。

(図-1 AI検知エリア図)


車両走路侵入者検知システムの基本構成


ネットワークカメラの映像をAIが搭載されている推論マシーンに送信し、AIがその危険判定を実施。その判定結果をシグナルとして電源制御装置へ送信し、警報装置(回転灯)の動作を制御する(図-2)。

(図-2 AIによる車両走路進入者検知システムの構成)


AIによる人物検知アルゴリズム


本AIシステムは、事前に収集した現場内の映像から独自に作成した教師データを用いることで、検知エリアに関わらず、映像中の建設現場作業員の姿勢・服装の変化や現場環境の変化にも柔軟に対応し、正確かつリアルタイムに人物を検知し、矩形(バウンディングボックス)で囲うことが可能。また、その人物の特徴から個人を特定し追跡することもできる(図-3)。

(図-3 AIによる人物検知および追跡モデル)


車両走路侵入者検知アルゴリズム


車両走路内への侵入者検知は、AIによる人物検知アルゴリズムにより人物に囲った矩形と人物検知エリアとの重なり度合いで判定を行う。その際、矩形の足元に対して判定の重きを置くことで人物検知エリア境界線付近における侵入者の検知漏れを防いでいる。

映像のコマ落ちに対しては時系列的に人物を追従することで検知漏れを防ぐことが可能。この人物検知エリアは容易に設定することができ、様々なシーンへの対応が可能(図-4)。

(図-4 人物検知エリアの設定)


実施工検証


熊谷組・大豊建設中央新幹線東雪谷非常口新設工事共同企業体 東雪谷工事所にてダンプトラック走路による土砂運搬の実施工に本AIシステムを導入し、その効果を確認した。



今後、熊谷組では、 AI による人物・物体検知技術を応用して、安全通路の歩行状況、出面管理、場内機械等の稼働状況監視によるCO2削減システムなどさらにシステムの開発を進めていく。


WRITTEN by

デジコン編集部

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