一般社団法人日本建設業連合会(日建連)は、2025年12月版のパンフレット「建設工事を発注する民間事業者・施主の皆様に対するお願い」を公開した。
本資料では、止まらない資材価格の高騰や労務費の上昇に加え、2025年12月12日に全面施行された改正建設業法に基づく「新しい契約・協議のルール」について詳説されている 。
本記事では、発注者との協議や見積作成において根拠となる最新データと、法改正により現場の実務がどう変わるのかについて解説する。
まず押さえておくべきは、2025年12月12日に全面施行された「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」である。
これにより、建設業者と発注者(施主)の関係性は、法的に大きくアップデートされた。
資材高騰等に伴う請負代金の変更方法が、契約書の「法定記載事項」となった。
これにより、従来のような「いかなる場合も契約変更を認めない」といった一方的な契約は認められなくなる。
受注予定者は、見積書交付時等に資材高騰等のリスク(おそれ情報)を発注者に通知する仕組みが導入された。
契約後にそのリスクが顕在化した場合、受注者は変更協議を申し入れることができ、注文者には「誠実に協議に応じる努力義務」が課される。
正当な理由なく協議を拒絶したり、引き伸ばしたりすることは、「誠実な協議」とはみなされない。
現場の肌感覚としても「高い」と感じる資材価格だが、データで見るとその上昇幅は歴然としている。

2021年1月と比較すると、2025年11月時点での資材価格は、土木部門で41%上昇、建築部門で37%上昇している。
特に上昇が著しい資材は以下の通りである。

材料費割合を50〜60%、労務費率を30%と仮定した場合、ここ58ヶ月(約5年)で仮設費・経費を含めた全建設コストは平均で26〜30%上昇した試算となる。
つまり、5年前と同じ予算感で工事を発注することは、もはや物理的に不可能と言える状況だ。
資材だけでなく、建設技能者の賃金(労務費)も上昇基調にある。

2025年3月から適用されている公共工事設計労務単価は、2021年1月当時と比較して全国全職種単純平均で22.9%上昇している。
特に専門性の高い職種での上昇が目立つ。

また、2025年12月には「労務費に関する基準」が中央建設業審議会で決定され、公共・民間を問わず、サプライチェーン全体で適正な労務費を確保することが求められている。
価格だけでなく「モノが入らない」リスクも依然として続いている。
日建連の調査によると、高圧ケーブル、変圧器(トランス)、昇降機(エレベーター) などは現在も需給が逼迫している。
特に建築設備工事においては、工事の集中により職人の手配が困難になっている状況も重なり、工期への影響が懸念される。
発注者に対しては、設計図書と施工環境の乖離や、リスク情報の早期共有を行い、手戻りのない工程管理を行うことがこれまで以上に重要となる。
改正建設業法の全面施行により、建設業界は「価格転嫁」と「適正工期」の実現に向けて新たなフェーズに入った。
資材高騰や労務費上昇は、一企業の自助努力で吸収できるレベルを遥かに超えている。
今回公開された日建連のデータは、発注者に対して適正な請負代金と工期変更を求めるための強力なエビデンスとなるだろう。
建設DXによる生産性向上と並行して、こうした公的データを活用した「適正な契約」を結ぶことが、持続可能な経営には不可欠である。
本資料では、止まらない資材価格の高騰や労務費の上昇に加え、2025年12月12日に全面施行された改正建設業法に基づく「新しい契約・協議のルール」について詳説されている 。
本記事では、発注者との協議や見積作成において根拠となる最新データと、法改正により現場の実務がどう変わるのかについて解説する。
1. 全面施行された「改正建設業法」。価格転嫁と工期設定は“努力”から“義務”へ
まず押さえておくべきは、2025年12月12日に全面施行された「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」である。
これにより、建設業者と発注者(施主)の関係性は、法的に大きくアップデートされた。
契約書への「変更方法」記載が必須に
資材高騰等に伴う請負代金の変更方法が、契約書の「法定記載事項」となった。
これにより、従来のような「いかなる場合も契約変更を認めない」といった一方的な契約は認められなくなる。
リスク情報の事前通知と誠実協議義務
受注予定者は、見積書交付時等に資材高騰等のリスク(おそれ情報)を発注者に通知する仕組みが導入された。
契約後にそのリスクが顕在化した場合、受注者は変更協議を申し入れることができ、注文者には「誠実に協議に応じる努力義務」が課される。
正当な理由なく協議を拒絶したり、引き伸ばしたりすることは、「誠実な協議」とはみなされない。
2. 【資材価格】ガス管は2倍超。全建設コストは平均26〜30%上昇
現場の肌感覚としても「高い」と感じる資材価格だが、データで見るとその上昇幅は歴然としている。

2021年1月と比較すると、2025年11月時点での資材価格は、土木部門で41%上昇、建築部門で37%上昇している。
主要資材の高騰率(2021年1月比)
特に上昇が著しい資材は以下の通りである。

工事原価へのインパクト
材料費割合を50〜60%、労務費率を30%と仮定した場合、ここ58ヶ月(約5年)で仮設費・経費を含めた全建設コストは平均で26〜30%上昇した試算となる。
つまり、5年前と同じ予算感で工事を発注することは、もはや物理的に不可能と言える状況だ。
3. 【労務費】4年で22.9%アップ。適正な賃金確保は「待ったなし」
資材だけでなく、建設技能者の賃金(労務費)も上昇基調にある。

2025年3月から適用されている公共工事設計労務単価は、2021年1月当時と比較して全国全職種単純平均で22.9%上昇している。
職種別の上昇率(2021年1月比)
特に専門性の高い職種での上昇が目立つ。

また、2025年12月には「労務費に関する基準」が中央建設業審議会で決定され、公共・民間を問わず、サプライチェーン全体で適正な労務費を確保することが求められている。
4. 納期遅延リスクも継続。設備工事は要注意
価格だけでなく「モノが入らない」リスクも依然として続いている。
日建連の調査によると、高圧ケーブル、変圧器(トランス)、昇降機(エレベーター) などは現在も需給が逼迫している。
特に建築設備工事においては、工事の集中により職人の手配が困難になっている状況も重なり、工期への影響が懸念される。
発注者に対しては、設計図書と施工環境の乖離や、リスク情報の早期共有を行い、手戻りのない工程管理を行うことがこれまで以上に重要となる。
まとめ
改正建設業法の全面施行により、建設業界は「価格転嫁」と「適正工期」の実現に向けて新たなフェーズに入った。
資材高騰や労務費上昇は、一企業の自助努力で吸収できるレベルを遥かに超えている。
今回公開された日建連のデータは、発注者に対して適正な請負代金と工期変更を求めるための強力なエビデンスとなるだろう。
建設DXによる生産性向上と並行して、こうした公的データを活用した「適正な契約」を結ぶことが、持続可能な経営には不可欠である。
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