国交省、改良すべき「踏切道」102箇所を新たに指定。事故防止と渋滞解消へ

国土交通省は、踏切道改良促進法に基づき、「改良すべき踏切道」として全国102箇所の指定を行ったと発表した。

いわゆる「開かずの踏切」や、歩道が狭く危険な踏切など、地域で課題となっている箇所を抽出。抜本的な対策やバリアフリー化を推進し、踏切事故の防止と交通の円滑化を図る狙いがある。

背景と目的：緊急対策が必要な箇所を特定

国土交通省はこれまでも、踏切事故の防止や交通渋滞の解消を目的に踏切対策を進めてきた。

今回指定された102箇所は、交通量が著しく多い箇所や、直近で事故が多発している箇所、通学路でありながら歩道の安全確保が不十分な箇所など、緊急に対策の検討が必要と判断されたものである。

指定された踏切道では、今後、立体交差化（高架化・地下化）や拡幅といった構造的な改良に加え、周辺の迂回路整備を含む面的・総合的な対策や、バリアフリー化など、各地域の実情に応じた対策が検討・実施されることになる。

新たな支援体制：「踏切協議相談窓口」を設置

今回の指定に合わせ、地方公共団体が鉄道事業者などと行う踏切対策に関する協議をサポートするため、各地方整備局等に「踏切協議相談窓口」が新たに設置される。

これにより、技術的な課題や関係者間の調整が難航しやすい踏切対策において、国が積極的に支援を行う体制を整える 7。

主な指定箇所と基準

指定対象となったのは、北海道から九州まで広範囲にわたる。主な指定箇所には、都市部の交通量が多い路線や、生活道路として利用される私鉄沿線の踏切などが含まれている。

【指定箇所】

【指定の基準（抜粋）】

今回の指定は、以下の基準などに該当する踏切道から選定されている。

• 開かずの踏切: 1時間の遮断時間が40分以上のもの。
• ボトルネック踏切: 1日当たりの自動車交通遮断量が5万台以上、または自動車と歩行者等の交通遮断量の和が5万以上かつ歩行者等が2万以上のもの。
• 歩道狭隘踏切: 踏切内の歩道幅員が接続道路より狭く、かつ自動車等の交通量が多いものの。
• 事故多発踏切: 直近5年間で2回以上の事故が発生したもの。
• 通学路・バリアフリー: 通学路で子供の安全確保が必要な場合や、高齢者・障害者等の利用が多い施設周辺で安全確保が必要な場合。

国土交通省は、これらの対策を通じて、地域の安全確保と円滑な移動環境の実現を目指すとしている。