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デジコン編集部 2022.1.4

奥村組、「メタバース技術研究所」を構築。施工工数やコスト削減目指す

CONTENTS
  1. 「メタバース技術研究所」構築の背景
  2. 期待できる効果
  3. 「メタバース技術研究所」とVRシミュレーションの概要
総合建設会社の株式会社奥村組は、奥村組技術研究所内施設(茨城県つくば市)の室内環境実験棟を活用した「メタバース技術研究所」を構築。XRやメタバース市場の創造に取組む「株式会社Synamon」が技術提供をした。

国土交通省の『令和3年度 BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業』に選定されている本技術研究所にてメタバース上のVRシミュレーションを通して各種実験のための増改築工事の検討精度を向上させ、設計・施工工数の削減を目指す。

左:奥村組技術研究所(茨城・つくば)、右:バーチャル空間に再現した「メタバース技術研究所」


「メタバース技術研究所」構築の背景


奥村組技術研究所では、免震技術の開発やICTやロボット、i-Construction、BIMの活用による設計・施工業務の効率化・省力化など様々な研究が行われており、年間を通じて各種実験のための増改築工事が予定されている。

増改築等の建設工事では作業の手戻りを減らすためにモックアップを作成し施工検討を行う。現実に近い素材を活用し実物大で再現する「実寸大モックアップ」、縮尺を変更し3Dプリンター等で再現する「縮尺版モックアップ」が存在するが、それぞれに課題を抱えていた。「実寸大モックアップ」は、モックアップ作成のコストが高く、施工検討期間の保管場所の確保が困難であり、検討後に産業廃棄になるといった課題が。一方の「縮尺版モックアップ」は、サイズが小さいためにモックアップ作成が困難であり、実物大ではないが故の手戻りが発生するといった課題があった。

上記の課題を解決すべく、バーチャル上でモックアップを再現し施工検討を行うことができる「メタバース技術研究所」を構築。メタバース上のVRシミュレーションを通して各種実験のための増改築工事の検討精度を向上させ、設計・施工工数の削減を目指す。


期待できる効果


  • 施工工数の削減
バーチャル上にモックアップを再現することで実寸大スケールであらゆる角度の施工検討ができるため、手戻り発生の減少に貢献。

  • BIMモデル活用にかかるコストの削減
BIM、i-Constructionなどの既存データを活用することでシームレスにバーチャル上に3Dモデルを配置できるため、コストをかけずにかつ手軽に施工検討が実施できる。

  • 関係者の合意形成
繰り返し実施される各種実験のための増改築工事について、バーチャル空間上で設計・施工における関係者の合意形成をおこなうことで手戻りのない実験計画を進めることが可能に。

  • SDGsへの貢献
バーチャル空間では現実の素材は一切使用しないため、産業廃棄物を減らすことができSDGs推進につながる。


「メタバース技術研究所」とVRシミュレーションの概要


本技術研究所の既存の維持管理BIMモデルを活用し、Synamon社のVRサービス「NEUTRANS(ニュートランス)」内のバーチャル空間上に技術研究所を再現。今回は7棟ある施設の中から室内環境実験棟の室内環境実験室におけるVRシミュレーションを実施。

本実験室は特定の日射条件におけるオフィスなどの室内環境の快適性や省エネルギー性などを検証するため、4つの異なる条件の居室を再現できる作りになっている。あらゆる条件の再現にあたり、内部のアルミサッシ増設・外部のアルミルーバー増設等の改修工事を行うが、この改修工事のBIMモデルを作製し、BIMモデルにおける仮想環境シミュレーションとともに、バーチャル空間における実験内容の確認や設計・施工検討を行うことで、実験の検討精度を向上させ、設計・施工工数の削減を図る。

室内環境実験棟室内環境実験室の外部サッシで施工検討を行っている様子 「メタバース技術研究所」の打ち合わせ風景


WRITTEN by

デジコン編集部

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