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デジコン編集部 2025.12.16

三機工業ら、南極・昭和基地から日本へ3D点群データと映像のリアルタイム伝送に成功。Starlinkとスマホを活用し、極地作業のDXを推進

CONTENTS
  1. スマホ1台で計測・圧縮・伝送を実現。遅延は1秒以内
  2. 背景には「手作業による計測」の負担
三機工業、KDDI総合研究所、国立極地研究所は12月15日、Starlink衛星通信回線を活用し、南極の昭和基地とKDDI総合研究所本社(日本)間で、3D点群データと映像をリアルタイムに伝送する実証実験に世界で初めて成功したと発表した。

この技術により、専門家不在の極地でも、スマートフォン1台で設備の立体的な状況を計測・共有できるようになり、日本からの遠隔支援や業務効率化が大きく前進する。

スマホ1台で計測・圧縮・伝送を実現。遅延は1秒以内


今回の実証実験(2025年11月18日実施)では、LiDARを搭載したスマートフォンに専用の3D点群圧縮伝送ソフトウェアをインストールし、昭和基地内の設備を計測・撮影した。



データはStarlink回線を通じて日本へ伝送され、以下の成果が確認された。

  • リアルタイム性: 計測から日本での受信・モニター表示まで、遅延は1秒以内で、途切れることなくデータと映像を同期させて伝送できた。

  • 高品質なデータ: 受信した3D点群データは、日本側のエンジニアが3D-CADで製図できる品質を有しており、詳細な設備状況の把握が可能であった。
  • 簡易な操作性: 従来は専門的な機材が必要だった計測・伝送作業が、スマートフォン1台で完結するため、専門家でない隊員でも容易に操作できる環境が構築された。

背景には「手作業による計測」の負担


昭和基地では空調や配管設備の保守管理が行われているが、これまではメジャーや計測器を使った手作業での計測と紙図面への反映が必要で、隊員の大きな負担となっていた。

今回の技術により、現地の隊員がスマホで計測するだけで、日本のバックオフィスが即座に状況を確認し、図面化や技術的助言を行うことが可能になる。

これにより、極地や遠隔地における作業のDXが進み、人手不足解消や安全性向上に寄与することが期待される。




WRITTEN by

デジコン編集部

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