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デジコン編集部 2025.12.12

清水建設、夜間工事照明の生態系への影響を高度に評価するシステムを改良。暖色LED利用の費用対効果を即時に可視化

CONTENTS
  1. 昆虫誘引を抑制し、食物連鎖への影響を定量評価
  2. 暖色LEDとコストを両立
清水建設は、ダム工事などに用いる夜間工事照明が建設地周辺の生態系に与える影響を定量的に評価する「夜間工事照明影響評価システム」を改良したと発表した。

今回の改良により、照明の色温度と気温条件を反映したシミュレーション機能が実装された。これにより、季節や地域特性を評価に反映できるようになり、環境対策効果と経済性のバランスを考慮した、より費用対効果の高い照明計画の立案が可能になった。

昆虫誘引を抑制し、食物連鎖への影響を定量評価


近年、自然豊かな山間部の土木工事においては、猛禽類などの希少生物を含む生態系保全の重要性が高まっている。

この環境対策の一つとして、夜間工事照明による昆虫類の誘引防止対策が挙げられる。照明に誘引された昆虫は生存が難しくなり、食物連鎖上位の生物(鳥類やほ乳類など)の餌資源が失われる可能性があるためだ。

同システムは、照明に誘引・死滅した昆虫類のカロリー量から、食物連鎖の中位・上位生物に与える影響度を定量的に算出するツールである。

暖色LEDとコストを両立


従来、昆虫類の誘引率が低い暖色LEDが有効な対策とされてきたが、白色LEDと比較して消費電力が大きく、コスト高や視認性の低下が課題となっていた。


同社は、6現場で計33万匹の昆虫を捕獲・分類する誘虫試験を実施。この結果に基づき、LED灯の色温度別に評価できる新システムを構築した。

新システムでは、以下の情報を入力することで、環境影響とコストを即時に算出できる。

  • 現場周辺の環境(水田、森林、草地などの面積割合)
  • 特定期間の平均気温
  • 照明の種類や台数

照明の色調や気温条件を変更すれば、餌資源量や照明コストが更新されるため、環境保全効果と経済性のバランスを考慮した最適な照明計画を迅速に立案できる。








WRITTEN by

デジコン編集部

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