大林組やNTTドコモビジネスなど、仙台の建設現場でAIと通信技術の実証実験を開始。エッジAIと反射板で通信課題を解決へ

大林組、NTTドコモビジネス、東北大学、仙台市などの産学官コンソーシアムは12月5日、仙台市役所本庁舎の建替現場および東北大学青葉山新キャンパスにおいて、実現場でのAI活用に向けた実証実験を開始したと発表した。

建設現場などで課題となっている通信の不感エリア解消や、AI解析に伴う通信負荷の軽減技術を検証し、業務の省力化・省人化を目指す。

メタサーフェス反射板で「つながらない」を解消、エッジAIで通信量を削減

建設業界では労働力不足を背景に、危険な場所や広範囲な現場でのAI・ロボット活用が急務となっているが、遮蔽物による通信遮断や、高画質映像の送信に伴う帯域不足が導入の障壁となっていた。

今回の実証実験では、これらの課題解決に向けた2つの主要技術を検証する。

一つ目は、電波の反射方向を自在に制御できる「メタサーフェス反射板」の活用である。



仙台市役所の工事現場や東北大学キャンパス内の通信不感エリアに対し、この反射板を用いて5GやWiGigなどの電波を届けることで、ロボットやAIカメラが安定して稼働できる通信環境を構築する。

二つ目は、「異常検知エッジ・クラウドAI連携」による通信量の削減である。

現場のカメラやロボット（エッジ側）で映像の前処理を行い、異常を検知した必要なデータのみをクラウドへ送信する仕組みを構築する。


（東北大学青葉山新キャンパス）
（実証実験の構成）

これにより、常時大容量の映像データを送信する必要がなくなり、通信回線の負荷を大幅に抑えながら、噴煙監視や鳥獣監視といった高度な解析が可能となる。

実証期間は12月19日までを予定しており、得られた成果は建設現場だけでなく、同様の課題を抱える農業などの他産業への展開も視野に入れている。