人機一体、椿本チエインと高耐衝撃性の電動シリンダを開発。重機の完全電動化へ道筋

人機一体は椿本チエインと共同で、建設機械の油圧シリンダを代替可能な高耐衝撃性電動シリンダ「人機並進駆動ユニット ver.6.0」を開発したと発表した。

独自の緩衝機構を実装することで、従来の電動シリンダでは困難だった衝撃への耐久性を確保し、重機の電動化を大きく前進させる技術となる。

独自の「力が逃げる」機構で破損を防ぎ、繊細な力制御を実現

建設現場で使用されるショベルやクレーンなどの重機は、大きな出力と耐衝撃性が求められるため、従来は油圧シリンダが主流であった。

しかし、油圧機構は緻密な力加減が難しく、油漏れのリスクや騒音といった環境面での課題も抱えていた。

一方、電動シリンダは制御性に優れるものの、外部からの急激な衝撃に対して脆弱であり、故障しやすいという欠点があった。

今回開発された「人機並進駆動ユニット ver.6.0」は、人機一体が独自に開発した過負荷保護装置「人機インパクトフォースリミッタ ver.5.0」を搭載している点が最大の特徴である。


この機構は、制御では反応しきれない急激な衝撃が加わった際に、機械的に力を逃がすことでシリンダ内部の破損を防ぐものである。

さらに、独自の力制御技術「プロクシベースト・アドミタンス制御」を組み合わせることで、初動以降の振動もソフトウェア側で処理し、高い耐衝撃性を実現した。

これにより、1.5トンの推力を維持しつつ、ボールねじやモータといった精密部品を保護することが可能となり、電動シリンダによる重機作業の実用化に近づいた。

本ユニットは、2025年12月3日から開催される「2025国際ロボット展（iREX2025）」において初公開され、ショベルアームに搭載した実機デモンストレーションが行われる予定である。