ニュース
デジコン編集部 2021.12.14

三井住友建設、転圧回数を見える化する「AR転圧管理システム」開発。バックホウによる法面仕上げにも適用検討

CONTENTS
  1. 「AR転圧管理システム」の開発背景と特徴
三井住友建設は、土工事における転圧作業において、振動ローラの運転手が操縦しながら転圧回数を確認できるAR技術を活用した「AR転圧管理システム」を開発したと発表した。

「AR転圧管理システム」は、転圧回数の色別画像を運転席のフロントガラスに設置した透過型ディスプレイにARで表示するもので、運転手目線を変えず転圧回数把握しながら操縦できるため、安全性と生産性の向上を実現。今回、実現場で試験導入して有効性の確認を行い、実用化に目処をつけた。


「AR転圧管理システム」を搭載した運転席の様子


「AR転圧管理システム」の開発背景と特徴


高速道路工事や宅地造成工事での生産性向上を目的として、土工事へのICT導入が進んでいる。従来の振動ローラによる転圧作業では、転圧回数を運転席内に設置したタブレット端末に表示される色別二次元画像で確認をしていたが、操縦中に目線を動かすために安全性や、画面が小さいため、転圧箇所の確認精度向上が課題となっていた。

そこで三井住友建設ではAR技術を用いて、盛土の転圧回数の色別画像をフロントガラスに設置した透過型ディスプレイに、実際の盛土に重ね合わせて転圧回数を見える化する「AR転圧管理システム」を開発。

  1. 運転手の目線に合わせたAR画像の補正表示
    透過型ディスプレイ上に設置した2台のアイトラッキング(視点計測)カメラが、運転手の目の動きを認識し、目線に合わせてAR画像の表示(範囲や方向)を補正。
  2. 加速度センサーによる車体傾斜の自動認識
    透過型ディスプレイ上に設置した加速度センサーによって、車体の傾斜(前後左右)を自動認識し、AR画像の表示を補正。
  3. 360°カメラによる車体方位の自動認識
    GNSS(Global Navigation Satellite System / 全球測位衛星システム)による車体位置の特定に加え、車両前面に設置した360°カメラによって車体の方位を自動認識し、AR画像の表示を補正。


振動ローラの設置した各種カメラとセンサー


「AR転圧管理システム」を搭載した振動ローラ


現在、国土交通省の主導でi-Constructionが推進されている。今後は、「AR転圧管理システム」を実際の造成工事現場で稼働している振動ローラに導入し、盛土転圧作業における作業性と安全性について確認していく。さらに、今回開発したAR技術を用いて、ブルドーザの敷均しバックホウによる法面仕上げ等にも適用を検討していくという。





WRITTEN by

デジコン編集部

建設土木のICT化の情報を日々キャッチして、わかりやすく伝えていきます。

会員登録

会員登録していただくと、最新記事を案内するメールマガジンが購読できるほか、会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。