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デジコン編集部 2025.11.17

清水建設とGEOTRA、機械学習による滞在人口推定モデルを開発。都市開発前後の人口変化を高精度予測

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  1. 従来手法は全国一律の係数で過大予測の傾向、携帯電話GPS位置情報を活用
清水建設とGEOTRAは、機械学習を用いて都市開発エリア内の滞在人口の変化を高精度に予測できるシミュレーションモデルを共同開発した。

都市開発の前後における計画エリアの滞在人口分布の変化を平日・休日別、時間帯別、来訪者の属性別に分析できる。

従来手法は全国一律の係数で過大予測の傾向、携帯電話GPS位置情報を活用


まちづくりや都市開発の計画策定においては、開発後の街区の滞在人口を正確に予測し、都市機能や設備等を過不足なく配置したり、にぎわい創出の施策を立案したりするための検討が必須だ。

現状は国土交通省が作成した「大規模開発地区関連交通計画マニュアル」の基準に基づき、用途別床面積に全国一律の係数を掛け合わせて滞在人口を予測している。

しかしこの方法では地域ごとの特性を十分に反映できず、予測結果も実態と比べて過大になる傾向がある。


本モデルは膨大なトリップデータとエリア特性に関するさまざまな都市データを基に機械学習を用いて構築しており、従来よりも高精度かつ精緻に滞在人口を推定できる点が特長だ。

使用したトリップデータは携帯電話のGPS位置情報や性別・年齢等の個別情報で、都市データはエリア内の建物用途別床面積のみならず、鉄道駅やバス停などの交通施設、周辺道路面積、地価などの諸条件を統合してデータ化したものだ。

滞在人口の算出にあたっては、対象エリアの複数の開発案における建物用途や床面積などをシステムに入力することで、開発前後のシミュレーションを行う。

平日・休日それぞれで滞在人口を推定できるほか、朝・昼・夕・夜の時間帯別人口や、居住者・勤務者・来街者の割合も確認できるため、開発方針に合った計画を策定できる。

清水建設とGEOTRAは「交通・防災・観光データ分析プラットフォーム」開発プロジェクトの一環として、交通行動分析を専門とする東京理科大学創域理工学部社会基盤工学科の栁沼秀樹准教授の監修の下、本モデルを開発した。

今後、「交通・防災・観光データ分析プラットフォーム」の標準ツールとして本モデルを活用するとともに、清水建設のまちづくり計画支援サービス「マチミル」のメニューに追加し、地域の課題解決を目指すまちづくり計画の立案に活用していく方針だ。




WRITTEN by

デジコン編集部

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