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デジコン編集部 2025.10.28

太陽工業のコンクリートキャンバス、NETISでVE評価を取得。水をかけるだけでコンクリート層を構築する工法が活用効果を認定

CONTENTS
  1. 特殊セメント封入の布材に散水するだけで薄層の高強度ライニング層を形成
太陽工業が販売する「コンクリートキャンバス」は2025年9月25日付で、国土交通省が運営する新技術情報提供システム(NETIS)において「VE評価」(活用効果評価済み技術)の認定を受けた。

水をかけるだけで高耐久なコンクリート層を構築できるジオシンセティックセメント複合マットとして、災害復旧などでの効果が認められた。

特殊セメント封入の布材に散水するだけで薄層の高強度ライニング層を形成


コンクリートキャンバスは、英国で開発された「ジオシンセティックセメント複合マット(GCCM:Geosynthetic Cementitious Composite Mats)」と呼ばれる複合材料である。

特殊配合のドライコンクリートを立体織物(表面:ポリエステル織布、裏面:塩ビフィルム)内に封入した構造で、敷設後に散水または水中に浸けることでドライコンクリートが硬化し、薄く高耐久で耐火性の高いコンクリート層を構築することができる。

本技術はあらかじめ特殊セメントを内部に封入した布材に表面から水を散布・浸透させることで、内包するセメントを水で満たし水和・硬化させて、薄層の高強度・高耐久ライニング層を簡易に形成する工法で、法面保護工、防草・防竹工、水路工、水路補修工などで多くの導入実績をもつ製品だ。

水をかけるだけで薄く高耐久・高水密・耐火性に優れたコンクリート面を作ることができるコンクリートキャンバスは、現場打設のための重機や特殊技能を必要としない。


平成30年7月豪雨(西日本豪雨)による末政川破堤の復旧、令和7年7月完工した舞子架道橋西方法面整備工事(施主:山陽電気鉄道)でも使用された。

また、複雑な形状に馴染みやすい特徴を生かし、万博サウナ「太陽のつぼみ」の床面でも採用されている。太陽のつぼみは2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の主催者催事で、太陽工業はシルバーパートナーとして設計施工を担当した。


〈万博サウナ「太陽のつぼみ」で使用されたコンクリートキャンバス®(床面)〉

NETISでのVE評価取得により、コンクリートキャンバス工法は国土交通省の公共工事等において活用効果が認められた技術として位置づけられることとなった。災害復旧や法面保護、水路補修など、幅広い用途での活用が期待される。

太陽工業は大型膜面構造物のリーディングカンパニーとして、軽くて丈夫な素材の特性を活かし、建築事業をはじめ土木や物流、環境分野などにも事業を展開し社会の安全・安心を支えている。




WRITTEN by

デジコン編集部

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