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デジコン編集部 2025.10.27

戸田建設、AIで工事車両と緊急車両を自動識別。映像と音声の2つのAI技術で現場周辺の交通安全を強化

CONTENTS
  1. マーカー認識と音声検知で工事車両と緊急車両を99%以上の精度で識別
戸田建設はGRIFFYと共同で、工事現場の出入口における交通事故を防ぐ特定車両検知システムを開発した。このシステムはAIカメラとAIマイクという2つの技術を組み合わせ、工事車両の入出場時における安全性を大幅に高める。

マーカー認識と音声検知で工事車両と緊急車両を99%以上の精度で識別


本システムは、道路を走行する全ての車両の中から工事車両のみを識別する「AIカメラモデル」と、救急車などのサイレン音を検知する「AIマイクモデル」で構成される。

AIカメラモデルでは、工事車両に取り付けた特定マーカーを屋外対応の高性能AIカメラがリアルタイムで画像認識する仕組みだ。

工事車両を検知すると同時にLED式の予告看板が切り替わり、後続の一般車両に視覚的に注意を促す。また、出入口の回転灯も点灯し、現場のガードマンへの注意喚起も行う。

一方、AIマイクモデルは工事車両出入口の約100メートル手前を通過する緊急車両のサイレン音を集音マイクで拾い、AI解析部がリアルタイムで検知。

緊急車両の接近を認識すると、回転灯や遮断機が自動的に作動し、工事車両の出場を一時停止させることで緊急車両の円滑な通行を確保する。

従来の技術では工事車両が出場する際の安全確保が主な目的だったが、本システムは入場時における一般車両との識別も可能にした点が大きな特徴である。

さらに緊急車両への配慮も同時に実現したことで、工事現場周辺の包括的な交通安全管理を可能にしている。

(実証概要図)

救急病院に隣接し緊急車両の通行が多い現場での実証では、当初36.4%だったマーカー識別の正解率を99.4%まで、18.9%だったサイレン音検知の正解率を98.1%まで向上させることに成功した。識別アルゴリズムの改良を重ねた結果、実環境下でも高い信頼性を持って運用できることが実証された。

戸田建設は今後、交通量の多い幹線道路などを中心に現場適用を進め、教師データを拡充してさらなる精度向上を図る方針だ。



WRITTEN by

デジコン編集部

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