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デジコン編集部 2025.10.15

大林組がプレキャストPC床版SJKSLABを開発。貫通孔ゼロで約60人工削減し長寿命化を実現

CONTENTS
  1. 新しいずれ止め構造と特殊プレートで貫通孔と吊り孔をゼロに
大林組は、道路橋リニューアル工事における床版取り替え工事の省人化を目的に、貫通孔や吊り孔のあと埋め作業が不要のプレキャストPC床版「SJKSLAB(エスジェーケースラブ)」を開発した。

昨今、社会インフラの老朽化が社会問題となっており、2030年には国内の道路橋の約54パーセントが建設から50年を経過すると予測され、橋梁のリニューアルが急務となっている。

新しいずれ止め構造と特殊プレートで貫通孔と吊り孔をゼロに


リニューアル工事では従来の鉄筋コンクリート製の床版を、より耐久性の高いプレキャストPC床版に取り替えている。

従来のプレキャストPC床版は橋の主桁と一体化させるためのスタッド孔をはじめ複数の孔があり、設置後は孔をモルタルで埋めるあと埋め作業が必要である。

あと埋め部は水や塩化物イオンの侵入によるコンクリート劣化のリスクがあるほか、床版内の鉄筋・PC鋼材位置が標準化できず設計・製作に多大な労力を要するなど構造上の課題があった。

従来のプレキャストPC床版は、床版を橋の主桁と一体化させるためにずれ止め構造を採用し、頭付きスタッドを差し込むためのスタッド孔、床版の高さを調整するための高さ調整孔、吊り上げ作業時に使用する吊り具のための吊り孔が必要であった。

SJKSLABは短い頭付きスタッドと孔あき鋼板ジベルを組み合わせ、高強度モルタルで一体化する新しいずれ止め構造を採用し、さらに床版側面に特殊プレートを取り付けることで貫通孔や吊り孔をゼロにする構造を実現している。

SJKSLABは従来構造と同等のずれ止め性能を維持しながら、スタッド孔と高さ調整孔の2種の貫通孔と吊り孔を設けないことで床版に一様なプレストレスを導入可能である。

また孔のあと埋め部は水や塩化物イオンの侵入リスクがありコンクリート劣化の原因となっていたが、SJKSLABではこのリスクを回避しさらなる長寿命化に貢献する。



従来構造は床版設置後に孔のあと埋め作業がある一方、SJKSLABでは不要となり現場作業の省人化が可能である。

橋長80メートル・幅員15メートルの床版取り替え工事では約60人工の削減効果が見込まれ、コストも約2パーセントの削減が期待できる。

床版取り替え工事では渋滞の発生を抑制するため、施工中の道路の工事規制期間を少しでも短縮することが求められる。

交通量の少ない夜間の車線規制のみで工事が可能な床版取り替え工法「DAYFREE」や、防水工を不要とする「スリムトップ」などの技術とSJKSLABを組み合わせることで、さらなる工事規制期間の短縮や、より高品質で耐久性の向上した床版を提供することができる。






WRITTEN by

デジコン編集部

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