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デジコン編集部 2025.10.9

クラフトバンクが中小建設業の人手不足・賃上げ調査を実施。68%が仕事を断る実態が判明

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  1. 賃上げの波広がるも小規模事業者には届かず企業規模格差が顕著に
クラフトバンクが運営するクラフトバンク総研は、2023年以降、全国の中小建設業を対象とした実態調査を行ってきた。2025年の調査を実施し、概要を公表した。

賃上げの波広がるも小規模事業者には届かず企業規模格差が顕著に


本年の調査では人手不足や賃金動向などの最新実態に加え、2024年問題の影響を継続調査している。総回答数は1,659件で、経営者・事務員・職人いずれも500名以上が回答した。

回答企業の68%が「人手不足で仕事を断ることがある」と回答した。人手不足の課題としては「人材採用」が最も多く、次いで「人材育成」「離職防止」が続く。

人材採用に関しては「応募がない」が33%「採用活動をしていない」が22%といった回答が目立ち、特に小規模企業で採用活動の停滞が顕著だった。

また、人材育成や離職に関しては「何もしていない・不明」が43%の回答も多く、人手不足対策が進んでいない実態が明らかとなった。

2024年調査と比較して「賃金が上がった」と回答した割合は32%と全体で増加した。賃上げは経営者層から先行しており、職人など現場職との間で賃上げの広がりに差が見られる。

年商1億円未満の企業に所属する人では「賃金が上がった」と回答が18%にとどまり、賃上げの波が十分に届いていない。「賃金が上がった」企業では58%が「業績拡大」と回答しており、賃上げしている会社ほど業績が拡大している。

「賃金が上がった」と回答した人の79%は「残業時間が変わらない・減った」と回答している。基本給や賞与の増加による実質的な賃上げが進んでいる。

業績は年商規模に比例して拡大しているが、年商1億円未満の企業では縮小傾向が強い。小規模企業では業績面での厳しさが際立つ一方、デジタル化や新規営業に取り組む企業では改善の兆しも見られた。

経営者の49%が「発注単価は上がった」と回答している。単価上昇が必ずしも業績改善に結びついていない企業も見られる。

参考として、2024年問題の定点調査では、回答企業の73%が未対応だ。前年からの改善はわずか1ポイントで、依然対応の遅れが続く。小規模企業ほど対応が進まず、制度面の支援や現場レベルでの運用改善が求められる。




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デジコン編集部

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