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デジコン編集部 2025.10.6

飛島建設らがレーザー鉄筋ケレン技術「LSRシステム」を開発。騒音26%・粉じん53%低減を実現

CONTENTS
  1. パルスレーザーでモルタルを脆弱化しカップブラシで仕上げ
日本大学、飛島建設、光響、PCLは、鉄筋コンクリート構造物の断面修復工事における鉄筋の錆とモルタルを除去する鉄筋ケレン技術「LSRシステム」を共同で開発したと発表した。



鉄道高架橋における補修工事に適用し、安全性、周辺環境及び作業環境が大幅に向上することを確認した。

パルスレーザーでモルタルを脆弱化しカップブラシで仕上げ


現在、国内での社会基盤施設の老朽化が叫ばれている中、コンクリート構造物の維持管理においては、劣化が進行している構造物への対応が急務である。

劣化を生じた鉄筋コンクリート構造物を維持する方法の一つに断面修復工事がある。

この断面修復工事を市街地で施工する際には、周辺環境および作業環境に留意が必要であり、ジェットタガネ等の電動工具を用いた鉄筋ケレンでは騒音レベルが用地境界の規制値を超え、施工が実施できない場合があった。

このような社会背景を受け、日本大学生産工学部、飛島建設、光響とPCLは、騒音・粉じんを抑えて周辺環境および作業環境に配慮した鉄筋ケレン技術について共同研究開発を進め、この度、その研究開発成果であるLSRシステムを完成し、現場での適用を開始した。

鉄筋の腐食によるひび割れや浮きが発生したコンクリート構造物に対して、劣化部分をはつり落とし、除去した部分を修復する工法がある。

この工法は断面修復工法と呼ばれ、その作業フローには、腐食した鉄筋の錆を除去するケレンし、防錆剤を塗布する工程がある。

固定足場を設置し、施工箇所周辺を防音シートで覆った状態での施工が可能であれば、電動工具を用いる。

しかし、施工箇所を防音シートで覆うことが難しい場合、特に、住宅や店舗が密集する地域では、施工時の騒音や粉じんが問題となり、作業する時間などに配慮した施工が行われている。


そこで、周辺環境および作業環境の改善を目的として、橋梁の塗り替え工事などにおいて実績があった、レーザー光を用いて塗膜及び錆を除去する技術に着目し、サンドブラスト、ジェットタガネやカップブラシなどの代替としてレーザー照射によるケレンに関する研究開発を共同で進めてきた。



その研究開発の成果であるLSRシステムは、パルスレーザーによって錆の除去とともに、鉄筋に付着しているモルタルを脆弱化させ、最終的にカップブラシで仕上げる工法である。

これにより、鉄筋ケレンの騒音、粉じんの発生を低減することができ、周辺環境及び作業環境の向上を可能とした。


主な特長として、従来工法であるジェットタガネを用いたケレンと比較して、騒音・粉じんの発生を大幅に低減できる。従来工法と比較して、施工時間は1.5倍程度。

鉄道高架橋補修工事における床版張り出し部での適用事例について、仕上がりは、LSRシステムのみで全てのモルタルを除去することはできないが、照射後にカップブラシで仕上げることで、従来工法と同程度の仕上がりを確保することができた。




作業速度は、単位面積当たりの最終仕上げまでの要した作業時間は、LSRシステムが3時間毎平方メートル、従来工法が2時間毎平方メートルとなり、LSRシステムは従来工法と比較して1.5倍作業時間が長くなった。

さらに、騒音および粉じんの測定結果では、LSRシステムは、騒音が従来工法のタガネと比較して26パーセント低減でき、粉じんが53パーセント低減されたことが確認された。




WRITTEN by

デジコン編集部

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