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デジコン編集部 2025.9.19

大林組。関西国際空港第1ターミナルビル大規模改修で国際線キャパシティー拡大を実現

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  1. 4つのフェーズで航空機運航を止めずに延61万m²の大規模リノベーション実施
大林組は、関西国際空港第1ターミナルビルにおいて開港以来初となる大規模改修工事を実施し、2026年夏の完成に向けて最終フェーズに入っている。

2024年度の国際線における外国人旅客数は1,983万人でコロナ禍前の2018年を上回り過去最多を更新する中、空港全体で年間約4,000万人の国際線キャパシティー創出を目指している。

4つのフェーズで航空機運航を止めずに延61万m²の大規模リノベーション実施


関西国際空港が開港した当初、国際線利用客は年間1,200万人、国内線は1,300万人と想定していたが、高まり続けるインバウンド需要を支える玄関口の役割を果たしている。

第1ターミナルビルのリノベーションは「国際線キャパシティー拡大」「エアサイドエリアの充実」「旅客体験の向上」を基本コンセプトとして計画された。

2021年からスタートした改修工事は、大きく4つのフェーズに分けられ、既存のターミナルビルを最大限活用している。

Phase1では国際線・国内線の配置見直し、Phase2では国際線出発エリアの中央集約、Phase3では国際線保安検査の集約・拡張と入国エリアの移設を実施した。

〈関西国際空港第1ターミナルビルの国際線・国内線エリア配置 見直し図。国際線ビル内面積の25%アップ、国際線使用スポットの6カ所増加(34→40)、国際線出国エリア面積の60%アップを目指す〉


現在のPhase4では新国際線商業エリア拡張に向けた整備が進んでおり、2026年夏の完成に向けて作業が続いている。

航空機を駐機するエプロンや誘導路のすぐそば、旅客荷物の搬送車が走る中で工事を実施するため、空港の運用影響を最小限にとどめつつ通行止めなどを実施する必要があった。

資機材の搬入は利用客が行き交う日中は制限され、深夜から明け方の時間帯に出し入れする必要がある。

工事エリアが各所に散らばっているため、通常は利用客が航空機に搭乗する際に利用する固定橋を活用した搬入を実施している。

国際線の利用者が保安検査を通過した後に入るエリアは「クリーンエリア」と呼ばれ、最上級のセキュリティーレベルが設定されている。

工事の大部分がこのクリーンエリアであり、作業員が行き来する際に手荷物チェックが求められるなど、国際空港ならではの厳重な保安維持体制が工事のハードルを引き上げた。

クリーンエリア内でも仮囲いでセキュリティーレベルを維持しつつ、工事エリアを確保できるルールを半年以上をかけて空港側と協議を重ねて作成した。

延32万m²を超える現場中を隅々まで歩いて建物の理解に努め、仮囲いの高さや隙間のふさぎ方、入り口を設ける場所など一つひとつ懸念点を地道に洗い出した。

設備工事では、1階から3階を貫くロングスパンのエスカレーターの設置も通常ならクレーンを使用するが、部材を分割して人が運ぶ必要があった。

天井に穴を開け、そこに吊り下げるための金具の溶接も必要で、数週間前から調整の上、施設を停電し配線や盤を切り替え、液体窒素で配管を凍らせて切り替えるなど施工スペースを確保し続けた。

2025年3月には出入国エリアの施設がほぼ完成しグランドオープンを迎え、2026年夏の完成に向けて国際線商業エリア拡充に向けた整備が継続されている。




WRITTEN by

デジコン編集部

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